第4話

陽の光を浴びて輝く茶色の髪。

気崩された制服。

耳にはピアスと鎖骨にはネックレス。

そして鋭い目付き。

そんな彼にまっすぐに見つめられ

「な……なんでしょうか?」

私は完全にビビり上がっていた。


そんな私から彼は視線を逸らすことなく淡々とした様子で口を開く。

「俺、あんたと付き合いたいんだけど」

頭上から振ってきた言葉を私は瞬時に理解することができなかった。

「……」

咄嗟に返事を返すどころか黙り込んでしまった私に

「あんたに一目惚れしたから付き合ってほしい」

彼はもう一度――今度は悩む必要がないくらいに分かりやすく言い放った。


私は幾度となく彼が言った言葉を脳内でリピートした。

何度も反芻して

「……えっ? 付き合う?」

ようやく私が発せたのは彼の言った言葉で、今の私にはそれが精一杯だった。


どうやら彼はわたしに告白をしているらしい。

告白というと心の中に秘めていたことをありのままに打ち明けること。

またはその言葉のこと。

その定義に当て嵌めると彼は今、心の中に秘めていたことをありのまま私に打ち明けているらしい。


完全にパニック状態に陥っている私とは対照的に彼は

「そう」

淡々とした様子で頷いた。


その表情には余裕すら窺える。


これが秘め事を打ち明ける表情なんだろうか?

私はそんな疑問を抱いた。


「わ……私とですか?」

「あぁ」

……もしかしてこれって罰ゲームかなんかだろうか?

もし、そうじゃないなら

「それって人違いじゃないですか?」

もうこれしか考えられない。


「人違い? それってどういう意味?」

……どういう意味って……そのままの意味ですけど……。

私は喉まで出掛かった言葉を慌てて飲み込んだ。


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