年上妻と年下彼女

拓哉は朝早く帰るからと

言っていたのに、

帰って来たのは、お昼を過ぎていた。


「遅ーい‼」

顔を見るなりミクは叫ぶ。




「嘘嘘おかえりー♡

怒って無いから安心して‼

でも遅かったね、ちょっと心配した

よ。」


「あ、アハハヤバ待ってた?

ゴメンゴメン、つい朝まで

呑み明かしちゃってさ

寝たのさっきアハハ」


「…そうなんだ

ん?お風呂入ったの?」

ミクはアッケラカンと聞いてくる

慌てて拓哉は答える


「え、アァう・・ん。勝成んちの風呂

デカくてさ気持ち良かったよ。

アイツ本気で嫁探ししてて

参っちゃうよ。」


「え、昨日会社の飲み会じゃあ

無かったの?」


「あ、かい、かい、会社の

飲み会だよ。

何いってんの〜


女の子も何人もいたけど

皆スペックいいだろー


既婚者の俺なんか蚊帳の外さ

既婚者だって皆知ってるし

皆イケメンだしな、


好き好んで俺なんか相手に

されないよ。

付き合い付き合い、ただの、

お付き合い‼」



「だよねぇー皆稼ぎいいし

イケメン揃いだし・・・

まあ心配無しってとこね。」


「そうそう。」

男経験の無いミクをたらし込むのは

超簡単。

然し少し焦ったヤバ


「そーだよ

若い子は元気よくてサー

疲れ半端ない‼

俺もオッサンかもな〜」


「アラ、私32、拓哉よりも上

なんだケド」


「男と女は違うでしょ

ミクは若いし綺麗」

そんな事を言う拓哉をミクは

可愛いと思った。



「あれ?スマ〇・・・

テカッてるよ。音消してんの?」



無謀さに置いてあるテーブルの

上の拓哉のスマ〇がチカチカと

光っていた。


「ああ、昨日のまんまだ

気づか無かったな‼ハハハ〜(꒪꒳꒪;)〜」



多少動揺していた拓哉はトイレ

トイレと言いながらスマ○をバシッと握りトイレに消えた。


フーッあっぶねぇー

スマ○を胸に押さえ込みトイレで

一息吐くとニヤニヤしながらタップする。

「拓哉さん、もう会いたくて

ライ〇しちゃいましたー♡ 」


ウオッ‼久しぶりの恋人感


「俺も会いたいよー葵を抱きしめ

たいよ。」


「嬉しい、今度はいつ会えますか?」


「うーん仕事もあるし

ちょっと無理かなぁ」


「えー😰寂しい」


「嘘嘘、月曜日、晩御飯食べよう。

俺も葵に会いたい。


月曜日楽しみにしてるよ♡

葵の好きなとこで会おう、夜は

泊まれないけど日付けが変わる

頃までなら大丈夫だよ。」


「ホント嬉しい。

又連絡しまーす♡」



ふふんふーんふふんふーんニヤニヤ

拓哉は超ご機嫌でトイレを出た。


パタン

(((;꒪ꈊ꒪;)))ギョッ


トイレの前には仁王立ちの古女房

と口から飛びでそうな言葉を

飲み込んだ!もう心臓飛び出すぐらいの動悸‼ビックリクリのクリ‼


「いたの・・ミク‼

い、い、いつから・・😰」


ミクは不思議な顔をして


「え、飲みすぎたみたいだから

ぶっ倒れてないか見に来たの‼

ねえ大丈夫?」



「う、うううん大丈夫大丈夫‼

心配してくれたんだ、有難う。」


冷汗💦ドーッと掻きながら拓哉はミクに愛想笑い、ハハハ。


「あ、ああ、そ、そうだ

か、か、買い物、買い物‼

買い出し行かないとな!」



「いーよ!

拓哉疲れてるし

又今度でいいよ。」


「いやいやミク仕事してるし

遅くなった時どーするの

疲れ出る時だってあるし、

なっ‼ 行こ‼イコ。」


俺はやっと、この時後ろめたさを

感じたんだ。

そう、ミクのご機嫌を取ってしまった。


若いエキスを得たからか

全然疲れない。


それから買い物中に葵から又

連絡があった。


「拓哉さ〜ん。

今先輩から連絡網が回ってきて、

合コンメンバーで、

温泉行きが決まりましたー」


「え?いつ?」


「GWの、4、5でえーす。

拓哉さんOKにしちゃいました。」



「ハハハ葵にはかなわないなぁ

ハイハイ了解、了解。」




顔がニヤニヤしてる拓哉、誰と

連絡取ってるのだろう。


後輩かな?


ちょっと不自然な感じを醸し出す

拓哉のニヤニヤ、


あんな拓哉見た事ない。



「ダーレ?」

携帯を覗いて見たら・・・


ブハッブハッブハッ

(((;꒪ꈊ꒪;)))

拓哉は携帯を取り落としそうに

なった。



「なーんか怪しい怪しい。」


此処でようやく女のカンが始動する。


今迄の拓哉はミクにベッタリ

ミクといる時は携帯なんか気に

しなかった。


それに今日の買い物も任せっきり

前は拓哉が指導権を握り

アッチ、コッチと率先して動いて

いた。


ソレが無い・・・


おかしい・・・


絶対怪しい。




それから拓哉は普通になった。

考え過ぎだろうか?


「明日日曜日だから

今夜はゆっくり宅飲みしょうか?

俺ツマミ作るよ

簡単なやつだけどね。」

と変わりないテンション。




「そうね五月連休の予定決めよう。」


「え‼(꒪ω꒪υ)連休?」

一瞬拓哉は曇った顔をした。


「そうだよ連休‼」


「れ、連キューエエエッ?

ちょ、ちょっと急じゃない?

俺4、5は用事あるんだー

それ以外なら大丈夫。」


「え、なんで今年の連休は

休み長いからミクとアレコレ

しょうって言ってたじゃない。

つい2、3日前の話よ。💢」


「えっとっととと社員旅行。

俺もさっき聞いてビックリ


本当、急だよな〜


ほらさっきトイレに入ってた

時・・・。」


「社員旅行って急に決まるの?

聞いた事無いけど・・・

ねえ断ってよ

家庭持ちなんだから・・・ね。」


「え、行くって言ったし‼

今更断れるか💢」

拓哉には珍しく我を通す。


「私行きたい所があるの

もう予約してあるし」


いっもミクの予定を優先してくれた

その拓哉がガンとして譲らない。


「じゃあさ4、5の前か後に行こう

いつ行っても一緒だろ!

我儘言うなよ。」


「拓哉、 マジで言ってる?

忘れたの?」


「いいじゃないか!

毎日一緒にいるし

連休こだわり過ぎ! 俺だって

たまには会社の連中と

過ごしたい時はあるよ‼


しかもミクと出掛けたとしても、

混むし運転俺だろー

疲れてんだよ、

休みの日は休みたい時もある。

運転したくないしー」


「え、え‼」

ミクは拓哉の発言に驚いて

目をパチパチさせた。


「休みにサー

なんでわざわざ疲れる所

行くの?


俺は行きたく無いから、それに

2人だけで、どっか行って

楽しいかー?


とにかく俺は社員旅行にいくから

譲らないからな!


行きたけりゃお袋とかバーちゃん

誘えよ。

交通費出すから、ミクはミクで

楽しめよ。


あ‼ ほら成美さん、誘えば

ミクもその方がオレといるより楽しいだろ!

な‼ な‼」


それからミクは何も話さなくなった。

気まずい雰囲気


「ミク・・・

言い過ぎたよゴメン。

帰って来たらちゃんと

付き合うから、4、5だけは無理‼」


「ミク、ミクちゃん、ミクさん?」


フンツ プイッ


「機嫌なおしてよ。

面白く無いだろ‼

年寄りの癖に拗ねてんじゃ

ねーよ!」

ガビ━━━━━ン

“年寄り?“


「アアアち、違った、

言い間違い‼

アハハヤバ…

間違えた、ゴメンゴメン‼

歳上のくせに、の間違いだって‼」


それから拓哉はあの手この手で

ご機嫌を取って見たがミクは又

ゲストルームにこもったしまった。


拓哉も不貞腐れて酒を飲み眠って

しまった。


「たかが言い間違いくらいで

冗談だって分かれよ。

ガキか‼」


夜中ミクは抜き足、さし足で

寝室のドアをソロりと開けた。


拓哉はソファに、ふて寝していた

「ん〜ミクごめん。」

拓哉は寝言でミクに謝っていた。


ぷッ〃

「拓哉ったら・・・」


自分もただの言い間違いにムキに

なり大人気無かったとミクも

反省していた。


ミクは毛布を取りに寝室へと向かい

片手に毛布をもちリビングへの

扉を開けた。

チカチカとテーブルの上のスマホが

緑色の光を放っていた。


オープン画面は葵の文字


「ん?葵?初めて聞く名前だな?」

男?女の子?どっちだろう。

携帯を右手で持ちジツと見つめていた。


ピコーン

旅行楽しみでーす。😊❤❤❤

拓哉さんとずーっと一緒だもん。


ボサツ

ミクの腕から毛布が落ちる。

ミクは呆然としていた。

全身の血がサーッと引いた。


フラフラと拓哉の前でドスン

体を落とした。

葵は女だ、可愛らしい文章に絵文字

しかも旅行?



社員旅行じゃ無かった・・・の?



ミクは拓哉の寝息と長い睫毛を

ジッと見ていた。


ミクは何かを決心したように

飲んで眠っている拓哉の親指を

摘み携帯のロックを開けた。



『ミクやめてくれ、見ないでくれ

ゴメン、ゴメン

ミクやめてくれ━━━━━━━‼』


魂の俺は携帯を掴もうと

頑張るが掴めない。

ミクは真剣な、目をして

携帯とにらめっこ‼

あーもうアウト👍


拓哉はロックをしない人だった

なのに、ロックがかかってる。

見られたら困る・・・ってか?

不安の中スクロール


しかしミクの期待通りLINEの文字は

踊っていた。


それは疑惑の金曜日の飲み会から

始まって、彼女の弾ける裸体で

終わっていた。


拓也にこんな趣味があったのか?

可愛い彼女のカメラ目線のお座り

ヌード、


「柔らかそう〜」


ミクはガックリ項垂れた。

この写真を眺めながら拓哉は

夜な夜な楽しんでいたのか?


隣に眠る嫁のミクを笑いながら

そしてミクの30過ぎた体と

若い葵の体を比べながら!

笑っていたに違いない。

今度ばかりは、許せ無い‼



若いかなり若い💀

SHOCK、肌からピッチピチピチ

拓哉とのハ〇撮りもある。

目を覆いたくなる。


拓哉が?拓哉が撮ったの

彼女と2人だから拓哉だよね。


『ミク‼違う。

見るな━━━━━━━‼』

魂の俺はミクを止めるがミクには

聞こえない。


写真を全部ミクの携帯に送り

拓哉のアルバムに保存された写真

を全部削除 した。



拓哉は五月五日の子供の日

私達の結婚記念日さえ忘れる程

彼女にのめり込んでいるの。


結婚記念日、脳内削除ってか・・・

有り得ない!

バカヤローウ。



なんで寝言であやまるの?

ミク、ゴメンって・・・拓哉は、

何に謝ってるの?


悪いと思うならこんな写真

大事に持つなよ。


次いでにミクの写っている写真も

削除してあげた。

コレいらないでしょ。


ぷップハハハア

「年寄りか・・・

そりゃあ20代前半と比べたらね。

ってか比べ無いでよ」



ミクは子作りする前で良かった。

可愛らしい、若い子に精力使い

果たせばレスになるよね。

若いって素晴らしいよね。


綺麗だった肌のハリも全然違う。

拓哉はあの体を貪るように抱いた

に違いない。


拓哉のあの手でこの体で

葵を疲れるまで抱きまくったの

だろう。

あの写真は拓哉に愛されたあとの

写真だ。



今疲れて古女房のいる家で

古女房の作った飯を食い、

精力をつけ又彼女と

一戦を戦うのか?

想像は膨らみを増し叫びたくなる。


ミクは布団に顔を埋め


“苦しいいいーっ“

ミクは胸を抑え縮こまる。



辛そうで見ていられない。

『ミクの苦しむ姿は、俺を苦しめて

いた。こんなに苦しむミクを

俺は・・・

俺は・・・なんて事をしてしまったんだ。

魂だけの俺にはミクを慰める

事すらできない。

こんなミクを見るのは辛い。』


しばらくすると

ミクは、悲しみも苦しみも無い

虚脱感、体が動かないし、

だるい事に気が付く何も・・・出来ない。


日曜日、ミクは部屋から出なかった。


対象的に上機嫌な拓哉は朝早くから

出ていったミクを気にする事無く

でもミクにとっては、それで良かった。

会いたくなかった。

玄関の音が閉まるとミクは何故か

ホッとした。


魂の俺は、拓哉を見送り

ミクの部屋に入って行った。

ただただ物言わぬミクに寄り添った。

そしてずっと側にいた。



拓哉は、彼女の所へ行ったんだ・・・

ミクは何故かホッとした。


嫌われて迄、一緒に暮らす意味は

無い。


それからの拓哉はミクを避けるように過ごし始める。

朝食も食べない、顔を合わせ無い

勿論会話も無い・・・

夜は帰ったり、帰らなかったり

休みの日も居ない。


これって夫婦の意味は

あるんだろうか?

避けられっぱなしで

たまに顔を合わせるとΣ(OωO )ビクッ!?

ソソソと逃げるように部屋に入り

又ソソソと逃げて行く。


こんなの夫婦じゃないよ。


一日中泣いて目が開かない。

「うわぁぁぁ顔見れ無い

髪ボッサボサ

顔、シワクチャ包丁持てば

山姥、鏡怖い」


サングラスかけて帽子を深く被り

例のドラッグストアへ


ちっちゃい声で

「肌が綺麗になるパック下さい。

20代に負けねーような‼」


「は?」


「だから、肌がキレイになる

パック下さい

もう言わないから‼」


店員さんは色々説明しながら

サプリメントからローラから

出してきた。


全部お買い上げ。


夜遅く拓哉は帰ってきた

「ミク、何か食べた!」

アレからの初めての会話


「もう構わないで、何も要らない‼」


「食べないと体に悪いぞ」


一応心配はしてくれてるらしい。

彼女を抱いた体で

ミクを心配するのか?許せ無い‼



五月三日

ミクは拓哉が出る前にせめて

最後の晩餐をしたくて、

最後に拓哉の大好きな

ビーフシチューを食べさせて

あげたくて

夕食の約束をしたかつた。


どんなに許せ無くても一度は愛し

合った仲だ、黙ってサヨナラは

ミク自信が惨めすぎる。



以前のように明るく、過ごすぐらい

罰は当らないだろう。


しかし拓哉は、

そんなミクの精一杯の、

思いを関係無いように

ソソソーと、いつものように部屋から現れ出て行こうとしていた。。


「拓哉、朝ご飯は?」

😱⚡️ビクッ


「あ、あ、いらん、いらん

仕事行ってくる»»»」


「随分ご飯一緒に食べて無いから

今日ぐらい、どうかな?

晩御飯。」


「いゃあ〜どうかな?

遅くなるし・・・

多分、む・・・り‼じゃないかな〜」

ナナメ上を見ながら冷や汗を拭き

拓哉は答えた。


(⊙_⊙)じ━━━━━━━つ

((;⚪︎Д⚪︎;))な.な.な.なに?


「そう、行ってらっしゃい。」

ニッコリ笑うミクの唇は

小刻みに震えていた。


もう彼は私を愛していた拓哉では

無くなってしまった。




拓哉はドアを閉めながら

はああぁぁ━━━━━っ


ミクに聞こえていないと

思ってたのか深い長いため息を付いた。


ミクはその溜息に、拓哉の想いの

全てはミクにはなく、

年下彼女の葵に

向けられてしまったのだと、

なんとも言えない

悲しみに胸が詰まっていた。








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