第10話 レグナスの目覚め

 ボス部屋を出るとダンジョンの入り口近くだったので、入り口にいる職員に死亡者が出た旨を報告するとかなり驚いていた。

 慌てて一旦ダンジョンに入る許可をしないようにして、鍵をかけていた。

 そうこうしているとレグナスが意識を取り戻し、顔を真っ赤にしながら当夜の腕から降りて、自らの足で立ち上がったのだ。

 そして装備が変わっている事への驚きと、鎧の胸部が女性のそれ用の膨らみがあり、自分が女性である事を隠していたのがバレた事を悟り、項垂れていた。

 その場を離れる前に、道端に死んだ奴らの装備品を置いていると伝えてその場を引き上げ、ギルドに向かった。


 レグナスが自分に何が起こったのかアモネスに質問していた。


レグナス「ねえアモネス、ボスはどうなったの?あの犬の大きい奴の攻撃を貰ってから記憶が無いのと、装備も変わっているのだけど?」


アモネス「あのねレグナス、私達の前に入ったパーティーが全滅していて、ケルベロスが出たのよ。貴女が魔法の攻撃のにより大火傷を負って気絶した後、当夜様の魔法でケルベロスを動けなくし、ルナ姉様がトドメを刺したの。そして瀕死の貴女の傷を当夜様が治してくれたわ。

 それは酷い火傷だったわ。胸は半ば炭化していたもの。今貴女が着ている服は当夜様が脱いで渡してくれて、私達が着させたの。それとね、もう分かっていると思うけど、女だって完全にバレちゃったのよ。上着はさらし共々燃えちゃったし、ズボンも燃えたわ。おっぱいは勿論としてね、あ、あとね、あ、あそこも見られてるからね。キャッ♪」


 アモネスが股間を指さしていたのを見て何処を見られたか把握したレグナスは、わなわなと震えてぺたんと座り込んでしまっていたが、当夜に抱きついて


レグナス「あ、あの治療して頂き有難うございました。恐らく当夜様とパーティーを組んでいなかったら、あの冒険者と同じ運命を辿っていたのでしょうね。当夜様は命の恩人です。女だと隠していて申し訳ありませんでした。あ、あとその私の体を見られたとか?恥ずかしいのでどうか忘れてください」


 当夜は少しにやけて意地悪を試みた


当夜「うん、確かに女性だったとは驚いたけど、助かって良かったよ。でもね、君の素晴らしい裸体を忘れるなんて無理だよ。もうすっかり頭の中に刻まれてるよ!目の保養になったよ♪てへ♪」


レグナス「あ、あ、あ、あううううう、は、は、恥ずかしいので本当に忘れて下さい!おねぎゃいしみゃす」


 焦っていて噛み噛みなレグナスだ。レグナスは女としてみると背が高いがすらっとして顔も綺麗だ。どうして男装をしてるんだろうか?と当夜は疑問に思い


当夜「所で何で男装していたんだい?女性を抱く趣味が有る様には見えないけど」


レグナス「は、はい女性どうしで愛し合う趣味はありません。当夜様のような素敵な男性が好きな普通の女の子なんですよ。女だけのパーティーだと分かると、体目当ての者がたかってきて、気がつけば犯されているなんて事も聞くので、一番背の高い私が髪を切り男装をして、男のいるパーティーを装っていたんです」


シャクラ「ちょっとレグナス、あんた抜け駆けするの?今は告白しないって決めたでしょ」


 と意味深な事をシャクラが話し出した三人に、もはや定番になった空気を読めない当夜が


当夜「えっ!俺の事好きだって事?」


 そう聞いてしまったのでレグナスは慌てていた


レグナス「そ、それは物の例えです。例えですよ。当夜様の事はそんなんじゃありませんから。からかっただけです。当夜様のばか」


 もじもじしながらレグナスが離れていき、二人から「鈍感」や「女心が分からないなんて死になさい」等と何故か罵倒される当夜だが

『まあ、そうだよな、俺なんか金がなければもてる訳ないもんな。しかし相手はまだ子供だよな、しかも美少女だもんな。はあ』

 と当夜は自分でもよくわからない支離滅裂な心のぼやきをしていたのだった。


 当夜から見た彼女達の人となりはこうだ


シャクラは気の強いお姉さんチックな強引な性格。根はとても優しく素直だ。しかし見た目が幼いので言葉とのギャップを感じる。弄られキャラ担当かな。


 アモネスは見た目も行動もザッツ美少女。ちょっと乙女チックなのと、思い込みが激しい部分もあるが、しっかりしていて、年齢より大人びている。三人のまとめ役。


 レグナスは男装の麗人で、物怖じしない。少し世間擦れしていて、アモネスに窘められている。純粋な女性で暴走する傾向がある。正義感がかなり強く融通があまり効かない。しかし細かい所によく気が付く、素敵なレディーだ。


 三人共心の綺麗な女性で、悪い事をしたり許せる性格ではない。この子達を世間の闇の部分から守りたい、決して穢してはならないと当夜は本気で思ったのだった。

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