第03話 閉ざされた村



 僕はガイアの背中に乗せてもらい一気に村へと向かっていった。あれだけ苦しい道のりを登ってきたガイア山。それがほんの僅かな時間で村へとたどり着く。


 するとガイアがいきなり現れた村は大騒ぎ。対抗できないと分かっていても村人は武器を持ち、ガイアと僕を待ち構えていた。


 ガイアがたどり着くと僕は直様ガイアから降りて村人へと叫んで伝える。


「村のみんな! 何も問題はない。僕だ! トキだ! 」


 すると村のみんなは隠れながらも僕を見つけると心配しながらもみんなが少しずつ姿を現してきた。村のみんなは僕の左腕がないことに気づき、ガイアがいるにも関わらず僕の側へとやってきてくれ


「その腕はどうした? 」と心配の声をかけてくれた。その優しさに僕はとても嬉しく感じながらも、まずガイアのことを話さなければと


「みんな! まずは僕の話を聞いてくれるかい? ガイアはちょっと待ってて」


 僕はそう言うと、ガイアも


「ああ、わたしを見て村の人の子も驚いているだろう。ちゃんと説明をしてやってくれ」


 そう言った後、ガイアは体を休めるために体を地面へと降ろし少し眠るような態勢で待っていた。


 集まってきた村のみんなへと今まであったことを説明した。山を向かってからのことを。けれど話の中心はガイアのこと。そして交渉をして山から降りてくる使獣をガイアも退治の手伝いをしてくれることになったこと。最後に僕はガイアとともに過ごすことになったこと。


 村人は僕のことを心配してくれていたが、僕としてもガイアと過ごす事を楽しみにしている事を説明すればなんとか理解してくれたようだった。完全には不安が無くなる様子はなかったけれど。


 そんな村のみんなに


「これからガイアと僕たちは付き合っていくことになる。ガイアは巨体だけど純粋な龍なんだ。襲ってくることもない。そんなガイアと仲良くなるために今日はみんなで飯でも食べて騒がないか? 」


 僕がそう言うと、村のみんなはまだ不安がありながらも、休んでいるガイアを見て


「そうだな」「トキが頑張ってくれたもんな」「龍、格好いいな」なんて声が聞こえた後、みんなも了承してくれて交流の場を持つことになったのだった。


 食事はガイアが1度飛び立ち、使獣を数匹捕まえてきてくれた。はっきり言ってこれだけでもこの村にはごちそうだった。

 女はそれを料理し、お酒は寒さを防ぐためにこの村には多くあるのでそれを出す。


 子供たちは怖い者知らずで親が心配するにも関わらずガイアへと近づいて触りまくり、上にも登ったりと遊んでいた。それを見ているガイアはとても嬉しそうな顔をしているようだった。ガイアもこうやって触れ合えることはとても嬉しいのだろうと僕は思っていた。


 そんな僕に村のみんなは「龍は怖いと思っていたがそうではなかったんだな」とガイアに理解を示す人が子供のおかげか増えていっていた。


 ガイアが大きいため村の中には入れない。そのため村の外で交流の場を準備した。

 準備が出来ると開始の合図もなくみんなで騒ぎ出す。ガイアの元には最初は子供ばかりであったが、次第に興味を持った大人も近づいては言葉を交わしていた。

 それを見ていた僕は、実際ガイアを連れてきて上手くいくか心配だったけれど今の様子を見てとても安心していた。

 種族が違えどこうやって仲良くなれるんだ、理解し合えるんだって心の底から思えた。ただ、この風景を見ると人もこんなふうに理解し合えたら良いのにと悲しい思いも溢れてしまったけれど。

 この村に閉じ込める国の人達。その人たちとはこうしてわかりあえる気がしなくて。


 こうして遅くまで村のみんなとガイアで楽しい時を過ごしていった。みんな家にも戻らずガイアに寄りかかり眠る人が多数。それを嫌な顔もせず嬉しそうな顔で見守るガイア。


 結局朝まで村のみんなとガイア、そして僕は心を通わせられたようにひとかたまりになって眠ったのだった。


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