第02話 ガイア


「それにしても、お前はなぜここに来た? お前の名前は? ここまで来るには私を守ろうとする凶暴な獣が多くいただろう。その左腕も獣に喰われたのではないのか? 」


 ガイアは、襲ってくることもなく僕に多くの質問をしてきた。だから僕は名前やここに来た理由をガイアに素直に話す事にした。逆らってもガイアが気に入らなければ踏み潰されるだけだとそう考えながら。


「トキ、申し訳なかったね。私がいるせいでそんなことが起こっているとは。けれど私も生きている。人の子にとって私がいる事で困ることになろうとも」


 ガイアは私の話を聞いて困惑したような顔をしているようにみえた。確かにガイアも生きている。生きるためには何もしないわけにはいかないと話を聞けば僕にもわかった。


「人の子が呼ぶ使獣だけれど多くは私の言うことを聞くが、全ての使獣が聞くとは限らない。そんな奴らがきっとトキの村まで降りて行ったのだろう」


 ガイアは僕に申し訳無さそうにそう告げてきた。その話を聞いてガイアだからと全て管理できる訳ではないことがわかり僕は理解するも残念な思いが溢れそれを隠すことはできなかった。そんな僕に


「1つ考えたのだがもしこの山から降りていった使獣か? 現れた場合、私が防ぎに行くことにしようか? 人の子に被害がないように」


 ガイアはそう言って僕たちの味方をしてくれると話してくれた。けれど問題はある。まずは村の人達に理解してもらわなければならないこと。これだけ大きな龍。村人は恐れるかもしれない。だが、それが出来れば村人が怪我や死ぬことがなくなるのだ。


「わかった。僕が村人に説明して納得させる。だからお願いしてもいいかい? 」


 と僕はガイアにお願いする。そんな僕に


「けれど1つお願いがあるのだが……」


ガイアは僕に一つ条件を付けてきた。僕にできることなら何でもしようと考え


「僕でできる事なら。生贄がなにかか? 」


 と僕が聞くとガイアはちょっと困ったような顔で


「生贄というものではない。ただ、そう思われても仕方がないことかもしれないが。トキよ。お前に私と共に、一緒にいてもらえないだろうか」


 ガイアは少し照れたような顔をして僕にそう言ってきた。そしてガイアは続けて


「私は今までひとりだった。いくら守る獣が居ようと話をするものもおらず、ただ私はひとりここで生きてきただけなのだ。トキと会い話す楽しさ、誰かが側にいる嬉しさを知った。だからもっと味わいたい。そしてそれを味合うならトキがいい。お願いできないだろうか」


 そう僕へと伝えてきた。そんなガイアを見て僕はとてもかわいく見えてしまった。巨体な割に心は純粋な龍。こんなガイアを見ていると最初の怖いイメージなんてもう僕には無くなっていた。

 だから僕は苦笑しながらガイアとともに過ごすことに不満等全く起きず


「いいよ。僕と一緒でいいのなら。僕としてもガイアと共に過ごすの楽しそうだしね」


 僕がガイアにそう答えるとガイアは喜びのあまりか大きな叫びを上げたのだった。




 僕とガイアはしばらくお互いの話をした。僕はガイアの銀色の体に寄りかかり、ガイアを撫でながら。つるつるとして気持ちよくいくら触っても僕は飽きなかった。


「撫でられるのも気持ちいいものだな」


「そういえばガイアって雌なの? だったらあんまり撫でるのってやめたほうがいいのか? 」


「何を今更。私は確かに雌だぞ。けれどトキならいくらでも触ってくれ。私も嬉しいのだから」


 そう言って笑ったような顔で僕にそう答えてくれた。


 数日間、僕とガイアはお互いを理解するため一緒に頂上で過ごしていた。食事は使獣。ガイアを守るための使獣なのに食べてよいのか疑問に思っていたけれど、トキなら食べて良いと、食事がなければ生きられないだろうと言ってくれた。

 また、ガイアも食べているという事だった。ガイアの食料に使獣はなっていたのだった。




 数日過ごした後、僕はガイアに


「そろそろ村に説明に行こうと思うんだけど。もうこうなったら一緒に行く? 」


 僕は少しずつ説明しても話が進まない気がしたので一緒に行くことを提案してみた。すると


「いきなりわたしが村に行って驚かせないか? 」


 ガイアは心配をしているようだったが、僕は


「早いか遅いかの違いだよ。だったら一気に話してしまおう」


 と僕が言うと少し考えたガイアは


「確かにそうかもしれないね。分かったよ。ふたりで一気に説明しようかね」


 そう言ってニッコリと僕に笑いかけてきたのだった。


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