ガイアとトキの物語〜たとえ違えどふたりは共に〜
ここです。
第01話 出会い
ある国にある小さな名前もない村があった。
この村はある目的を持って作られていた。この世界には龍が住むという場所がいくつかあると言われている。そしてこの村の側にはそのひとつガイアと呼ばれる山がそびえ立っていた。
その山には龍に使える獣と言われる「
その村に住む僕はトキ。この村の男は毎日使獣に対抗できるように訓練を行っていた。だから僕も毎日訓練を行うという日々だった。なお、女は農業を行い食糧を確保することが仕事であった。そう、この村の者達に自由はない。使獣に関することのみ行って暮らすのみだ。
けれど、そんな僕にも救いがあった。僕の両親は使獣に殺されたらしい。幼い頃だったため覚えてはいない。それでもこんな閉じ込められた村ということもあるのだろうか繋がりが強く村のみんなは身内のいない僕であっても優しく見守ってくれていた。そして小さな頃から幼馴染がいつも一緒にいてくれた。その娘はアヤ。その娘は本当に僕の救いだったと思う。
けれど、ある日、国からの使者が「この娘は神に選ばれた」と言う僕等には理解できない理由で彼女を連れ去ってしまう。
僕はアヤを連れ去られてはと反抗するが、殺される寸前まで殴られ蹴られ気絶してしまう。村のみんなが庇ってくれたおかげで命までは失わなかったらしい。けれど僕が目覚めたときにはアヤはもう連れ去られてしまっていた。
アヤを失い僕はしばらくの間荒れていた。奪い返しに行きたいと考えもした。しかし、この村から出ることも出来ない。出てしまえば村のみんなにも迷惑がかかるのだ。
村のみんなのこともあり、僕は家でただただ閉じ籠もり数日を過ごしていた。悩み悩み悩んで。
どうしたらいいか
何をしたいか
何ができるかと。
そんな時間を過ごしたことで僕はあることを考えた。そしてすぐに行動を起こし村のみんなにガイアへと行くと説明した。
ガイアの山頂へと行き龍に会って、現状を変えることができれば村から出ることもできるかもしれないと考えて。村のみんなは「無茶な事だ」「死にに行くようなことだ」と止めてくるが、このままこの村で死ぬまで生きていくことを考えれば失敗して死んでも悔いはないとそう思えたから。僕はみんなが止める言葉も聞かず飛び出してガイヤへと向かったのだった。
使獣一匹程度なら僕でもなんとか倒せる程度の実力はあった。けれど二匹以上を一度に相手にするには力不足。そのため、慎重に慎重にガイアの山を登っていく。
しかしうまく行かないこともあり二匹以上と出会ってしまえば戦いながらうまく逃げるということを繰り返す。無理に戦わない。無茶をするのは勇敢とは言わない。無謀でしかないのだから。
失敗してうまくかわせず左腕を失ってしまった事もあった。使獣が僕の腕を食べるのに夢中になってくれたおかげでなんとか逃げることができたが。僕は松明に火をつけ傷口を焼く。出血を抑え、血の流れで後をつけられないように。焼けば痛い。叫びそうになるが、叫べは使獣は集まってくる。我慢して我慢して隠れ休憩を取り止血の疲れから気絶するようにその時は流石に眠ってしまった。
簡単に頂上につくわけもなくもう何日経ったかわからない。食事は倒した使獣を生で食べる。使獣は食せることがわかっていたのでその点は安心だった。ただ、焼いて食べることは匂いを放つのでそれは出来なかった。
もう何日が経ったかわからない。それでもそんな生活もあと少しだとわかった。眼の前に頂上が見えていたからだ。僕はもう少しだと気をつけながら登っていく。けれどその僕の考えは甘かった。
いきなり僕の周りが暗くなる。なんだと思ったときにはなにかに僕は包まれていた。よく見てみればそれは大きな手だった。そして聞こえてくるは大きな声。
「人の子か。こんなところまでくるとは。ここまで来た人の子は初めてだね」
そう僕にもわかる言語で話してきたのは龍だった。銀色に輝くとてもとても綺麗な巨大な龍だった。
僕は龍の手に掴まれて握り潰されるのかと諦めかけていたのだが、いつになっても潰される気配がない。不思議に思い
「ガイアよ。握りつぶさないのか? 」
僕は龍へとそう叫んで伝えた。すると
「ガイアとはなんだ? それになぜ潰す必要がある? 捕まえたのは近くになにかがいると感じて思わず捕まえただけだよ。なんなら降ろしてあげるよ」
そう言って龍は僕を降ろしてくれた。そんな中僕は気になったことを聞いた。
「あなたの名前はガイアではないのか? そう聞いていたのだが」
「いや、私には名前はない。人の子は見たことはあったがこうやって話すのは初めてだよ。だから私に名前があったとしても人の子が知るはずはないのだが……けれど私はガイアと呼ばれているのか。ならガイアでいいぞ」
ガイアはそう言った後、名前が嬉しかったのかなんとなく笑ったように見えたのだった。
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