「Cold Rain」

身体の芯まで凍る冷たい雨が降る

涙を流せない俺の代わりに泣くように

周りと自分とを遠く隔てる雨が降る

俺の存在などありはしないと阻むように

どこまで行っても独りきりだと

どこまで行っても誰もいないと

護るものも 頼るものもなく

立っていることすらできず

無意識に天をあおぎ

息をすることすら煩わしく

呆然と地を見つめた

そう思わせる

そう思っている

雨が…降る

雨が心に突き刺さる


あのとき

君の言葉を聞き入れていたら

俺は変わっていたのかもしれない

あのとき

君が差し出した手を取っていたら

俺は変わっていたのかもしれない

でも できなかった

怖くてできなかった

君も俺を置いていってしまいそうで

俺の前から連れ去られてしまいそうで

どうしてもできなかった


雨が…降る

俺の中に残る君のぬくもり

それすらも奪い去って

雨が降る

唯一の救いすら拒絶したまま

俺は独り 雨に打たれている

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る