「Purgatory」

知っている

息をひそめて見上げるサファイア色の空を

闇夜終わりを告げ 明け染めるその瞬間を

ゆるやかな静寂のなかで明けの明星の見ながら

何かの懐に抱かれたまま迎えるやすらか朝を


ダンテが見ていた空が見えたのだろうか

一瞬にして

ドレの挿絵がモノクロからカラーに変わる

眼の前ではなく 脳裏に


私は「煉獄」の意味を理解していなかった

山の頂を目指す亡霊は無限の苦痛を強いられているのではない

頂を目指しながら 自分自身と向き合うのだ

自分と同じ人間が二人いないように

「道」もまたひとつではないのだと

向き合うことができれば「浄化」がはじまる


いま 私は煉獄山の中腹にいるのかもしれない

夢幻ゆめばぼろしのなかで嘆き悲しんでいるのか

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