12 お兄ちゃん



「はははっ、まさかそんな細かい所まで見られてたなんてね。そうだよ。僕がお姫様を貶めたんだ」

「どうしてそんな事を、あの二人は想い合っていたんじゃないの?」

「出世のために利用しただけ。別に好きじゃなかったよ。一緒に心中なんてごめんだったからね」

「そんなっ」

「傷ついたの? それとも怒った? 騙された君の方が悪いんだよ」


 違う。

 そんなのお姫様が可哀想。

 きっと大好きな人の事、最後まで信じてたのに。


「勘違いなお姫様をもう一回だまして、利用できると思ったのに残念だったな」


 その場に崩れ落ちる私だったけど、私の肩を支えてくれる誰かがいた。


 振り返るとそこにお兄ちゃんがいた。


「和沙、お前がショックを受ける必要はない」

「お兄ちゃん?」

「和沙を泣かせたな。これで二度目だ。もう許さねぇ!」


 お兄ちゃんと明久君は今度こそケンカになった。

 今度は止める人がいないから。


「俺は、俺の大事な人間を泣かせる奴は許さねぇって決めてるんだよ。もう二度と、涙を流させやしないって、あの炎の中で誓ったんだっ!!」


 もしかして、お兄ちゃんにも前世の記憶が?


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