11 断りの理由
明久君が「どうして」と尋ねてくる。
「私の夢の中に出てくる男の人はいつも格好よくて、お姫様に優しそうにほほえんでた。あんな人と似てる明久君と付き合えるなんてなったら、私とっても嬉しいだろうなって思ってたんだ」
「だったら」
「だけど、たまに別の夢も見るの。今まではよく覚えてなかったんだけど」
「別の夢? それって」
「顔の見えない誰かが、燃え盛る景色の中でお姫様に冷たい言葉をなげかけてる夢」
明久君はそれ以上なにも言わずに無言でこちらの言葉を促してくる。
「あれは、お姫様の傍にいた人と同じ人なんだよね。明久君」
「どうして僕にそんな事を聞くの? ひょっとしたら違うかもしれないじゃない」
「そうだね。でも、似てるんだ。昨日お兄ちゃんと向かい合っていた時の明久君の動作に」
「動作?」
「腕を広げて自分を大きくみせるような動作をするの。他にももっとこまかいところはあるけど」
ただ偶然似てるだけかもしれない。
そう思った。
けれど、夢にでてきたあの人と明久君の姿がかぶってしまうのだ。
だから、こうして真実を確かめる為に聞いたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます