03 お兄ちゃんが重度のシスコン
放課中。
教室の中で、遠くから大好きな彼を眺めているのが私の至福の時間。
そのまま浸っていたかったけど。
「だぁぁぁっ、めだぁぁぁぁぁ!」
「ちょっと、お兄ちゃん。煩い!」
明久君の様子を窺っていると、上級生であるお兄ちゃんが邪魔しにきた。
このちょっと声の煩いお兄ちゃんは、私が誰かと付き合うのが気に入らないみたい。
「あいつは駄目だ。きっとロクデナシだ! たぶん人でなしだ! おそらくとんでもない奴に違いない」
きっととか、たぶんとか、おそらくとか言ってる人の情報の信憑性なんてないに等しい。
「そんな奴に俺の大事な和沙はやらんぞっ! 和沙と付き合うなら俺を倒してからにしろっ!」
私はそんな煩いお兄ちゃんを、きっとにらみ付けた。
「よく知りもしないのに明久君の事悪くいわないで!」
「確かによく知らないがっ、あいつは悪い奴なんだ! 和沙はあの見てくれに騙されてるだけなんだっ! やめとけマイシスター」
私はお兄ちゃんの懇願するようなまなざしをスルーし、肩に置かれた手を振り払った。
そしてあっかんべー。
「そんな事言ってるとお兄ちゃんとは絶交なんだからねっ!」
「なっ!!」
ショックを受けてるお兄ちゃんを教室から追い出す。
昔はこんなお兄ちゃんじゃなかったのにな。
頼もしくて格好よくて、「絶対、お兄ちゃんのお嫁さんになるんだ」って思ってたくらいだったのに。
何でこんな残念なお兄ちゃんになっちゃったんだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます