03 お兄ちゃんが重度のシスコン



 放課中。

 教室の中で、遠くから大好きな彼を眺めているのが私の至福の時間。

 そのまま浸っていたかったけど。


「だぁぁぁっ、めだぁぁぁぁぁ!」

「ちょっと、お兄ちゃん。煩い!」


 明久君の様子を窺っていると、上級生であるお兄ちゃんが邪魔しにきた。


 このちょっと声の煩いお兄ちゃんは、私が誰かと付き合うのが気に入らないみたい。


「あいつは駄目だ。きっとロクデナシだ! たぶん人でなしだ! おそらくとんでもない奴に違いない」


 きっととか、たぶんとか、おそらくとか言ってる人の情報の信憑性なんてないに等しい。


「そんな奴に俺の大事な和沙はやらんぞっ! 和沙と付き合うなら俺を倒してからにしろっ!」


 私はそんな煩いお兄ちゃんを、きっとにらみ付けた。


「よく知りもしないのに明久君の事悪くいわないで!」

「確かによく知らないがっ、あいつは悪い奴なんだ! 和沙はあの見てくれに騙されてるだけなんだっ! やめとけマイシスター」


 私はお兄ちゃんの懇願するようなまなざしをスルーし、肩に置かれた手を振り払った。


 そしてあっかんべー。


「そんな事言ってるとお兄ちゃんとは絶交なんだからねっ!」

「なっ!!」


 ショックを受けてるお兄ちゃんを教室から追い出す。


 昔はこんなお兄ちゃんじゃなかったのにな。

 頼もしくて格好よくて、「絶対、お兄ちゃんのお嫁さんになるんだ」って思ってたくらいだったのに。


 何でこんな残念なお兄ちゃんになっちゃったんだろう。


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