『もの言わぬ迷い子②』
『もの言わぬ迷い子②』
「じ、『自分の子を連れ戻しに来た』と……!?」
「緊張の色からしてそのようですが……まったく、我が弟子も
「え、ええ、っ、どどど、どう、すれば——っ"!?」
因りても大神の言及に相違なく。
"咄嗟に行った救助"の流れで『鈍色の卵』を手にした青年女神の元へと向かって——回転する空気を球状に左右で抱きしは
「おおぉ!!
「
「古き伝承の
「いや、"
その宛ら
上で大きく下の小さきを補助的にも間に円を描く
まだ見上げる遥か頭上に強烈な日射と吹き荒ぶ風の中。
朧げな龍の形しか見えていない人の興奮を背負いつつも状況を分析する
("狙いを付ける視線"の方向は、こっち——"卵を抱えられた様子"を見ているのか?)
長く伸びる尻尾の先に硬化した体表面の
(それなら『子を案じての威嚇に敵意』と分かっても——"
揺れのけたたましくは
(『前には威圧的な龍』と『背後には多くの
正に
熱気としても物々しい気配は漏れ出て、その怒る刺々しい波長を前にも青年で『善意に動く身』が然しての間もなく『対処の判断』を迫られる。
(少し離れてこの揺れの感覚だと接近する
よっても身を乗り出す青年の決断。
いくばくもなく村に到達しきる龍の熱線へ向けては水の厚みを
(——"危険"だ——っっ"!!)
即ち人里に収まる卵を見て『子を奪われた』と認識する
時に『相手の興奮しきる今に卵を割らず返してやるのも困難が極まる』と見ては、その一つを諦める選択にも"現状に理想とする目的"へと切り替えて『【互いに
『そうだ。『誰にも脅威が届き得ぬ』のなら、"其れは善良な一般市民でいられる"。即ち悪くをさせない判断と見ても……我が弟子は流石です』
『ア——デス、ッ……さん……!』
『貴方は物分かりに実践も早い自慢の教え子であって、見事だ。今日も今日とて行いに
『今日、とてっ"、そうまでを考えられた訳じゃないですけどっ! でもっ、アデスさんの【誰も傷付かぬ理想】を少しでも理解したい! "迫る努力"はしたくて——だからとにかく! 今は
そのまま溶かした片腕を広げて『
苦しくも掛け声は
『……"援護"?』
『
『"自身を安売りするな"——それも、眼前の
『でも、やはりっ、"
『……』
『割と相手の力が強くて穏便な撃退に手間取りそうですしっ、それならアデスさんの力をお借りして【速やかにも無傷に追い返す】のを、何とか……っ!』
それも"
その"善にあるだけでない存在"に対して『利害の一致』を果たせねば過去には『傷病の治療』に見られたように『今を生きる命の扱い』には協力を取り付けられぬから。
つまり青年から『命の悪意なしに終われるのも一つの理想的な形』と冷たく胸奥に抱くのだろう悪魔へと『ある種の
『……知っての通り私は【
『"今が休憩中でお食事を楽しんでいる"のも分かった上で、それでもお願いします!』
『……』
『完璧な遂行のために
『……仕方のない』
それでも二者の間に秒さえ過ぎぬ交信の
『"——"』
それも片目を動かす
黒衣に包まれる少女の形で
その片目に宿す『
「……また、有難うございます」
「……?」
「……"例え口振りは素っ気なくとも応じてくれる眼差し"に『茶目っ気』だったり『優しさ』の垣間見えて——"今日も素敵なアデスさん"でした」
「"——"」
その後で空飛ぶ巨体の遠去かる今にも礼と添える賛辞の言葉も忘れず。
"好き者の青年"ぐらいしか意を取れぬよう『満更でもない』と言いたげな口角が微小に上がる様を見せた後に『くるしゅうない』と揺らす
(……流れで追い返しちゃったけど、悪いことをしたかな)
一難を終えて、続く一難の去って。
張り詰めた集中の失せる奥義もそこそこに『今度こそ暫くは状況整理の時間を得られるものか』と暫定的な安堵に思えば——けれど、二度あったことの次などは今更に何か
(でもそしたら、次に考えるべきは卵の……その『親子の処遇』をイディアさんの戻ってきた時にでも一緒に考えてもらえるよう頼んで——ん?)
(——え"? なんか、"この卵を揺さぶるような感覚"は、"中から
"三度目の有事"に
青年の
(————"生まれる"————!"?"?")
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