『ひたむきダッシュ⑥』
『ひたむきダッシュ⑥』
それも猛烈な勢いに暫し呼吸の感覚も忘れ、腕の振りに風を切って
少し前には
「"
往復を繰り返しては体力気力の限界近く。
それでも、しなやかな
「そして——ここです!!」
客席に指導を担った女神の玉声が結界に阻まれて届かずにも人で『やるべきこと』は分かっている。
胸で軽く衝撃ごと球を受けては、それを足の甲に落とすまでに眼前で認める光景。
今の十三番が立つ
体力の少ないのは相手でも同様であるなら『
「ふ——っ! はぁッ"!!」
よっても彼女自身の、"彼女のみに預けられた
其処で何より得点に必要な
ユメコという人に『未だ見ぬ自己実現に幸福の景色があるなら見てみたいのだ』との思い切り、上へと跳ねすぎないようにも横の回転に方向性を詰め込んでやって——。
「
胸元の高さで地面と平行に振り切る脚が
体重を増やすのと引き換えに急いで伸ばしていた
(——どうだ)
彼女という選手の
地面を跳ねる感覚が大きく調子を変えつつでも相手キーパーや周囲の守り手に弾道の射線に飛び込む力の入れどころを狂わすよう直進。
「っ! でも——"
だが故には『強烈でも真っ直ぐに来る』と見抜かれて惜しくもキャッチ——いや僅かにも抑えきれぬ回転で
「————」
よっては
間もなく刻限の終了を『ゼロ』と表される前には、再度の再度で地に転がるボールへ——今度こそ『
「"ウホォォォォォォォ"———"!"」
今まさに『付き添う
転がった先に猛烈ダッシュの背番号の『
「——わ、わ……! 凄い評価の
「そのようです」
「では、失礼して——『いいよ』・『いいよ』・『いいよ』——本当に素晴らしかったです……!」
即ちが
試合終了に響く
「ウッホ、ウッホ——!」
「っ……ナイスゴール! ゴリミ!」
「——ウホー!」
色取り取りに包まれる場所。
祝勝ドラミングのダンスパフォーマンスもそこそこに、ゴリミは喜んで抱き着く他のチームメイトを背に腹に宛ら子ゴリラのよう担ったままでも最後まで走り抜いた相方へと早足に駆け寄って両手のハイタッチ。
「それにしても、この時間であの推進力が出せるとは……本当にゴリミの理想も
「『守って攻めて仲間を助けてチームを勝たせる』のもゴリンバス・ミーコの目指すパーフェクトスタイル——それでなくても『体格で勝る分に高さで勝負しよう』と意識を傾け過ぎていた私へ『【走って・蹴る】の基本』を思い出させてくれたのは
「そうです?」
「そうウホ。本戦でない試合にすらああも頑張りを見せられては、エースの私とて『応えたくなってしまうもの』と……それに危うくオウンゴールの危機も助けられたゴリし」
「いや、いや。あれは仕方ない。それに私が自陣へ戻るまで貴方が先んじて守りに入って時間を稼いでくれたのも事実だから……何より、限界近くの往復へ
「"——"」
そうして他の皆でも『煮詰まりかけた思考へ風を通してくれたぜ』、『魂の籠るナイスな全力プレー!』、『ナイスガッツ!』と集まる人々で笑顔の輪。
大会前最後の試合を勝利とし、不調から完全復活のような選手を加えても先に明るい見通しを思わせる青色チーム。
「ああ。本当に貴方がピッチに入ってくれて雰囲気も変わった。闘志溢れるプレーでも全体を
「キャプテン……!」
相手チームとの感謝を交わす儀礼を終えては監督兼任の
「それこそユメコで元より様々なポジションでプレーした経験のあれば立ち場の多方面から物を考えられ、一芸に特化した人にも多く己の
「それは……」
「何より長く不調に沈んだ時期も知っていれば、同様に悩んだ者への『
「"!" では……
「勿論、"進退を考えていた君"さえ良ければの話だが——」
「それも——"はい"! また改めて宜しくお願いします……!」
こうしては当落線上にあった代表にも無事にユメコは選出されることができ、不調から抜け出せた事実に加えて更に駆け回るプレーの幅も広がり、大きく人の成長できた段階で女神たちの支援も一件落着。
・・・
「——なので、また暫くは競技を続けてみるつもりです」
「……良かったです。フジョウさんでも、貴方の納得のいく結果を得られたようで」
「その件については本当に、御協力を有難う御座いました」
「いえ。今日は素晴らしい活躍ぶりも拝見させて頂き、我々でも
よっても、別れ際にさえ笑顔り浮かべる人と向き合う背後には、『管理者からの謝礼』の一つとして
「それに、『教えて貰った心構え』に『
「……はい」
「やはりは少しでも、"理想に近付く思い通りの動きが出来ると楽しい"。少しずつでも『成長の実感』が喜ばしく思えるのですから——此度は
「……そうですね。我々でも今後に続く貴方の充実した日々を願い、再びお力添えの機会があれば是非、お会いできれば」
競技場の外には支援者たちと人で辞儀を交わしてからの別れ。
「有難うございました——!」
手も降る時には其処で未だ青年に『確たる自分が見つからない』のだとして、『己に価値のようなものが感じられない』のだとして——『それでも』と。
例え一時的にも『
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