『ひたむきダッシュ⑤』
『ひたむきダッシュ⑤』
斯くしては場内に響いた
六十分の
「——"!"」
全体全員と連動してはフジョウのユメコも走る走る。
棚引かせる桃色を背後に『出し切る』との助言を実践し、どの道に進むとして
復帰明けの初速にも全力を込める彼女が女神たちと特訓に励んでいたのも『つい先日』のことであったが、『人を助く技術』に溢れる同地で勿論に『休息環境』も整えられていれば疲れ知らずが俊敏の走り。
「——"!!"
其処には復帰明けでも残る一日を合同での練習にしさえすれば大崩れもなくて、踏み込む要所に水を纏う足裏で摩擦を少なく
「——いきなりボールを奪えました! とても"いい
よっても、"教え子の好調"を思わせた動きに喜色を見せる青年の手前で試合に入れ替わる
再三に述べた通りで此処には『自分に出来る最高を求める人々』の技量を培ってきた
故にも『攻撃の機会を奪われた』とて動揺なく迫り来る素早い守備に応じ、十三番を背負うユメコでも狙われるボールを手ならぬ
時に『
「「——"!"」」
相手の守備とボールに足の届かぬ距離を維持しつつの安定志向は——されどの次にはユメコでパスを受ける瞬間に前へとボールを
「上手い! これは
「「「「「"エアー・ラフレシア"!」」」」」
「——"らないっ"!?
「"
だが、対戦相手にも
五人の
辺りで足蹴とされた模造の芝も浮遊しつつ一点へ吸われて行けば、その目に優しい色に当たる光の屈折が煌びやかにも競技の場で『
「——くっ"!」
したがって寄せてきた守備の人員に対し、先んじては『身の
それも剰えは『攻防一体の必殺技』で相手の陣形に於いて中央に位置する『司令塔』の足下へと、謂わば『絶好の
「"
「でも、ゴリミさんも守って——
「あれらの技も全て
「——大丈夫ウホか」
「ゴリミ。助かった」
「構わんウホ。守備も出来なくては今の私の目指す『パーフェクトストライカー』ではないからゴリね」
「
「また相手チームは攻めに際しても『開く花』のような陣形でボールに対して妨害にならぬ程度で選手個々の身が『
「——ええ」
「その相手に見え難い位置でも素早く転がして突破を狙い……慣れるまでは大変だが隠された
「では、より
「"見えぬでもボールは一つ"。『足に触れた音』を頼りに所在を探ることはでき、ボールや選手の動きに応じた『皆の目線』でも追従は出来る」
「了解」
「それに何よりユメコで表情を見れば要らぬ心配かもだけど、引き続きミスも恐れずに」
「ああ」
「挑戦も恐れるなウホ。私でカバーするゴリから」
「ええ。私でも『同様の意』を返します」
そうして時の切れ目に再び身を寄せ合っても、低い方の身長に合わせて腰を折った巨躯と肩口に密談とする二者。
同色の青に身を包むユメコとゴリミで旧知の仲は共に
しかして、何方も『下振れに波の少ない安定した質を有する』という点では『共通の特徴』——『よってプレーの
「「"——"」」
・・・
因りても先んじて試合に参加していたゴリミのアドバイスと連携もあって、聞き入ったユメコで修正された集中に意識が再びの奔走を諦めねば。
「——ッッ"!"」
「——っ、よこ、っ、せ!」
「ぐ、ッ——っ、っっ"……!!」
なれど、『攻撃に切り替わる味方の
比較的に大柄な選手を背負っても苦しい場面に
「残りおよそ、
近付く刻限に焦る青年で静かな応援の見守る中にも競技場内で俯瞰の光景に、
今日で皆には負けて敗退となる試合でもなければ、されども『大会を前に控えて少しでも好材料を多く行きたいぜ』の形を成す思いがチーム全体としての引き分けでなく『勝利』を目指して人の群れが
「————っ! は、っ……っ"、、く……っ!」
その前向きな中でも補助の姿勢を欠かさぬユメコとて競り合う保持の限界に倒れ込みながらもボールは味方に渡し、そのまま即座に立ち上がっても自身は忙しなく振り回す首に『反撃を狙う相手の位置確認』さえ抜かりなく。
油断もなく。
目まぐるしく変化する状況で『不意の裏抜け』に備えて複数の選手を視界に収めれば、皆の上がりに合わせて自身は守備の意識に走って必然にも他の選手と入れ替わるようにポジションを下がり目へ。
「——こぼれた!」
「っ——"
接触の衝撃で保有者なく転がるポールを目掛けては疾走しつつも味方に指示を飛ばす手振りの『
そのユメコという一人の引き出す可能性に『
拾った球を手短に
また受けても止めて、自身以外に新たな出し手になって欲しい時は味方の足下に、また別に動いて球を運んで欲しい時は味方の少し前へと走る動きも促して——『相手の守備陣形が整うのが早ければワンタッチ、ツータッチで守りが整いきる前に攻めのリズムを作らないと』。
(『力を出し切ろう』との姿勢は出来ている——これなら)
自身のチームが人数を掛けた追い込みの守備に狭く押し込められがちなら、ユメコ自身で動きながら横に流れつつ球を散らしても印象から息苦しさを緩和できるように。
中央から端へ、また端から中央へと幅広く駆け回る活発な支援。
「
そうして果敢な相手が勢いよく踏み込みで取りに来た瞬間にボールだけを脱出に成功すれば、『上手く引きつけて確実に一人は無力化』の意図も仲間たちと実演がされる。
「
それは青年女神の視界にも『人の心が思わず走り込みたくなる』ように。
"切り込み役"はドリブラータイプの選手の近くで
「——"シュートで終われ"!」
助ける選手の周りを細かく足踏みして位置を変える様子が『軽快に踊るような連携』でも、送り出されて切り込んだ選手の深い位置から
「ぬ"ぅ"ぅ——ウッ"ッホ!!」
だが、ゴリミを要警戒の分厚いディフェンスには蹴り出されたシュートの射線を常に身で塞ぐ守備陣で阻まれ——跳ね返った物が白線を出ても勝ち越しの得点とはならず。
「あぁ……!
「流石に達人たちで
「はい。皆さん動きが
「何と連続で『人の内に秘める
砲弾の如きシュートで突き飛ばした相手の手を引いて再起を助けるゴリミ。
その仮に大陸外なら『鉄骨を砕く威力』にも神の庇護下で人々に一切の怪我はないまま——。
「——ユメちゃん! やっぱりゴリゴリシュートだと事前に読まれる時間のあって、寄せも
「……分かってる。そうして——」
「だから、何とかしても"読みきれない"だったり、"
「だったらそうして、皆がゴリミを中心に攻めの意欲を示し続けてくれれば、"最後まで守りへの意識に優先度を高く残っている私"でも、きっと——」
・・・
(——でも、フジョウさんの投入から悪くないプレーが続いて全体としての雰囲気も上向いたのは事実……これなら、本戦のメンバーにも選ばれる可能性は十分にあるはず)
だが、『負傷者なく』は純粋に勝負事の推移にも気を揉める青年で『好転への期待』に騒めく心境も真剣勝負は
「我が友。残る試合時間も
「は、はい(……何より『彼女が続けたい』と、『まだ楽しい』と思えていたなら——)」
試合の終盤も終盤には『勝ち越し』を目指して前掛かりになっていた手薄へ。
必然にも金色のチームに良い形でボールを持たれれば『決定機の到来』が間もなく。
「——"!?" しまっ……」
「——あ!」
「"
青色の一人で『読まれる意思を持たないゴールポスト』を経由してのパスで好機を作るつもりが、コントロールを仕損じて相手の足元にボールが渡る。
即ち前がかりに
「"キーパー!"」
それによっては一瞬にも虚を突かれて止まる足たちの間に
「くらえ!
そのユメコのチームの守る陣内では地面に
「サ・ク・カ——エクスプロージョンッッ"!!」
「技には
「ええ、あの『アサガオ』とかの——兎に角いいシュートです! "危ない"!」
対して『自身が最終防壁』と告げられたキーパーが相手の蹴り出す衝撃の気配に向かって右の弾道予測へと思い切って身を飛ばせば——予測は見事に的中なれど、チームとしての頑張りが不運にも真っ先にディフェンスへと戻ったゴリミに当たって弾道は
「
だがしかし、絶体絶命の場面ではゴールラインとボールの間に"滑り込む者"——いや、殆ど白線の
「っ——ぐ、っ……"!!"」
今日に進退を掛ける彼女で側面より割り込んで頭から身を投げ出す必死の飛び込みで『ボールを思い切りに弾かん』と。
各種の制度に加護として大神の計らいに包まれる人では顔を接触の振動に歪めずともよく、外目で
「そうしてボールは——"
「"
それも幸いに
この時に六十分制とはいえ皆で始終に全力を出して気の途切れる間際にも、『それでもユメコに負けず劣らず』と"全力の様子"に感化された者たちで少ない余力を振り絞っても再びに走り出す勢いが——前へと。
("
そのまま狙いの甘くやや安直にも『撃たねば入らぬ』とチーム
よってもキーパーの手の届く範囲だろうと枠に向かって蹴られたボールが——なれど此方でも決断的な動作で射線に身を乗り出した相手守備。
その鍛えられた太い
「ボールは————"!"」
女神も含めて皆が追うボールの行方は
同点のままで試合終了間際にも屋内を天高く舞った
その意味するのは『次に大きく蹴り出されれば時間的にも試合終了か』との
「"彼女に"、ボールが——フジョウさんの前にボールが!!」
自陣でボールを跳ね返した
その正しく『
「————"!!!"」
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