『ひたむきダッシュ④』
『ひたむきダッシュ④』
————————————————
斯くして、地区の代表選手を決める最終選考の試合を当日。
場所は引き続きのテノチアトランで
「……前半は正直、"あまり良くない流れ"でした」
「ええ。こうなってしまうと
円状の観客席には遠方からの
即ち『スポーツの観戦は中継が主流』と住民の皆で文化背景の様子は現地で試合を見下ろす女神たちの周りにも目立つ喧騒なければ、それは宛ら『無言で映画を眺める』ようにも"静かな鑑賞"の一幕。
「先制までの当初はゴリミ選手の動きも凄くて『
「"あくまで集団競技"ですからね。個人の活躍だけでも試合を決定づけるのは難しいのでしょう」
「はい。相手チームもミスなく繋ぐパスが見事なものでしたので『ここまでの連携を浸透させるまでには恐らく様々な努力があったのだ』と思うと、それこそ『思わず
一度の休憩時間に芝の上から去る選手たちを眼下に試合の経過を見届けてルティスとイディアと背後に控えて鎮座のアデスが感想の言葉を交わす。
彼女たち三柱の眼前で既に終えられた
なれど、相手チームも専門家の寄り集まる集団なら、立て直しにも迅速な修正を加えたプレーが強靭なエースの力強い動きにも対応の素早く。
良い形にシュートまでを入れぬよう先んじてボールに触れさせぬ
「……ですがそうして、フジョウさんのチームでは
「はい。大会前最後の試合としても苦しい流れを断ち切った先に"良き弾み"を得たいところでありましょうが……しかして其れも相手にさえ『常に勝利を目指して同様』なら双方で油断ならぬ展開が続きます」
「……はい」
よっては、両チームで負けず劣らずの攻防は静かな緊張を維持したまま、四方で声なきながらも競技者たちで『個人』と『
その"静かとされた狙い"としても『良きにせよ・悪しきにせよ』とは『選手たちの精神にも光景や声で揺さぶられる影響を少なく』・『パフォーマンスの向上に専心できるよう』との"管理者からの配慮"に安穏と身を置いて。
されど同時に天井には吊り下げられた
暗色の下に選手たちが宛ら『
「そうしましては、成る程。
一層と静まり返る時に控室で選手たちがハイパー酸素の補給を受ける中。
同地の都市構造そのものから機嫌を伺われる大神女神では白い
「寧ろ『
「練習内容で細かく『バストアップ』の項目があったのも頷けます」
「うむ。また改めて間近で見るに大まかな競技規則は『
「あの先刻に『
「今し方であれなるは『接触時の判定』や『選手の保護』も兼ねて『
「はい。何か選手たちで『
「散布する粒子で囲む四方よりの領域展開が競技者と観戦者で内外を隔てても『人の出会う環境を事無くと安定させる』ものだ」
「では、"大神も支援する
「申請を済ませた以外で物品の持ち込みも弾かれれば、外部からの物質の流入や環境変化を防ぎ、"細かくとも全身を覆う
「……果たして、フジョウさんの出番は来るのでしょうか」
「『流れを変える意図』では人員の入れ替えも考えられますでしょうし、加えて彼女は様々な場面にも安定したプレーが出来ますので戦術や陣形の変更に合わせても『便利な役柄』として
「……そうだと、いいのですが」
しかして三者に『飲料と同じく運動する人に向けて用意していたが同地で質の良い食物には困らぬ故に出しそびれていたレモンの蜂蜜漬け』を摘んでも後半が間もなく。
過ぎた前半に勝負の場を疾走した顔ぶれの中には女神たちより指導を受けたフジョウ・ユメコの姿が見て取れなければ、先まで大枠を作る白線の外側で念入りに
「大丈夫ですよ、我が弟子。貴方でも"人の流体に掛かる負荷の軽減"として彼女の装いが、"ウニ"……"ユニ"?」
「……? どうしたんですか急に、可愛い音を出して——」
するとそうして、大神に遅れても——『果たして進退を掛けた一戦に出番のなければやりきれない』、『後半の少しでも出番はあるものか』と青年で
「——"!" あ、あれ! 『
「
「では……!」
「"待ちに待った
「——! 頑張ってください……!」
神の見通す其処では後半開始に備えて選手の戻る入り口に、先までの膝下に伸びる外衣と打って変わって
(どうか、"彼女にとっての
そのため残る三十分が最後のプレーになるやもしれぬ練習試合でも
件の人物は一人との入れ替わりで競技の場に入ると全身に皮膜の加護を貰った瞬間からハッキリした機敏の足遣い。
軽快に風を切っても自身の
「——……よし」
既に『戦術変更の中で一定の自由を与えられている』ことも控え室での指示に確認が出来ており、それでも彼女の下には復帰したばかりの身と心を気遣うように近くにいた選手が距離を詰めて軽くの声を掛けてくれる。
「——おかえり。ユメコ」
「ゴリミ」
「プレーは出来そうウホか?」
「……まだ『続けるべき』か分からない部分があるのは事実だけど」
「……」
「でも、少なくとも今は『全力を尽くしたい』と思っている」
「……悪くない表情ウホ。リフレッシュも出来たようで何よりゴリ」
「お陰様で」
また相手側の
「そうしたら、チームとしての動きを改善しつつ『ここだ』という時が見えたら自分の色を出していくとしても——あくまでも『
「そうウホ」
「ただ
引き締めの終わりには『生活を支えてくれる神への信仰の証』として縦に三と横に一の
指先が『誓い』の形を描きながら、頷きを交わす正面のゴリミや周囲に離れた位置の他のチームメイトとも状況への理解度を認め合ってから『協力』の場へと神妙の面持ちが臨む。
「
「……ええ」
「『ゴリドリ
「——"
「『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます