『約束を探して⑩』
『約束を探して⑩』
「痛み苦しむ者らに正常な判断など望むべくもなく、待てども状況は悪化するだけなら『此処で皆を救わず無意味な
「「……」」
「——"このよう既に
アデスで自身の纏う『冥界の神』や『魔王』としての振る舞いに一通りの解説を述べても『注意』を伝えん。
「本来『在るべき』とする『皆の生存権』を問答無用で『己のものにせん』として、邪悪にも身を落とした我が身で『
「往々にして世界を
その語り口は結びに向かう中でも未だ
「何より私は『
「『皆が穏やかも激しくもいられて不幸という不幸もない世界が実現できる』と、『その理想を実現可能な力が己に有ってしまったのだから踏み切るべき』と……『例え悪しき道にも歩みを止める気はない』と決意した」
彼女で開いて眺める
「……よっても『
「「……」」
「——どうか聞き知った二者で今後に『反対』や『賛成』して『協力する』ことがあっても、"自らの内で
「『
ならば『大神』にして『魔王』の彼女は『悪魔的』であっても『指導者』にさえあって、『
「そのよう再三に口煩い
「即ち『
「「"……"」」
「『理想』や『幸福』も先ず以て『他でもない自身』で思い描いた
「広く『
(…………——"
自然な流れにも真顔で言いのけられた
身構えていた余りに少しでも『守り』として自分に寄せようと傾けていた茶の中の水分を放して——
「あ——すみません。
「いえ。私としても『休憩を挟む頃合い』と思っていた所で却って程よく。取り立てて『
「(……だから、駄洒落)」
「しては、それでよい。『
同時には茶会で次なる指鳴らしが『青年の慣れ親しんだ
反射する日の明度を増しても確保してくれる計らいには教え子から見ても暗黒で気色に変化のあり、"身を包む温かな加護の感触"にも『平時の【庇護者】や【恩師】の色味が【魔王】を薄めて戻ってきたのだ』と知る。
「……では、再び
「構いませんよ。言葉だけでも印象に
「いえ。複数の例を交えても伝わり易く『意の
次には緩む雰囲気にイディアでも口を開き直すとし、
「そうして『確認』とは」
「聞き知るに即ち——『
「……
「そうして多く『
「……
「では、やはり……それは
「……果たして、そうなのだろうか」
「何故なら女神アデスとは『
(——"!" アデスさんとイディアさんは『仲のいい
「これ。
「より早く『その先へ』なら私にとって貴方も『参考とすべき
「またも『
「『我が友への
ここまでの要約としては『
そうして『息抜きに気軽とする質疑応答で
「……うむ。そうして青年の動揺を気にせぬ場であれば何と
「?」
「
「つまり『大神の記録する性能に敵うはずもなければ新規の発見に繋がる余地も少なく
「その通り。物分かり良くも
「それは……はい。女神グラウのみならず大神の貴方でも『
「そうなのですよ。我らは必ずの『味方』でもなければ、さりとて『敵』でもなく。そうして私が『破滅的な手段』より模索する
「そうして今のような意見交換の場にも『協力者』の我々で可能な限りでも得られた情報を分け合えて頂けるとのことで……本当に有り難く思います」
だが、すると事実として『親しき恩神たち』への喜びもそこそこに。
(なら、やっぱりアデスさんは……彼女という『
自身が幸福を実感する中にあればあるほど『残るは他者』と外部に向く意識が表情から消し去ってゆく笑み。
今し方に『世界の全てを優しく包み込まんとする恩師』という『偉大な神』の存在を直接の語りで示された青年で、よっては追加や補足の情報にも現状を再考せざるを得ない認識が
(……でも、それなら『他者ではないアデスさん自身』は——"
青き眼前に『冥界』や『死』の概要についても詳細な仕組みは兎角に『成り立ちの思想』を説明された今、それを聞いた者で『"冥界を管理する神自身"への心配』も
つまり宛ら『自己を犠牲にする』ような馴染みある気配を察して、青年の中に『近しい
「——あ、あの……!」
よっては核心を尋ねる物怖じにも発した声へ。
するとも顔合わせしていた女神たちで振り向く
「……どうしました? 我が弟子」
「貴方のことが『
「……?」
「でも、
「……そう言った
不安な当事者の言語化より早くは青年の心情を察する神で無理なく見せる
「……ですが事実として、"小さい自分"には想像も出来ないような、きっと『見て
「……」
「仮の本当に『貴方以外の全てが傷付かぬ』となったとして、けれどそこまで『多大な
「……」
「もしそうならやはり、アデスさんのように『誰かが
やはり青年の『邪悪の神』に対しても変わらぬ『物思いの姿勢』へは見守る神で
「"それでいい"」
「っ……でも」
「"皆の静まる
「……『大変なこと』ですのに」
「折角に『
「……」
「『運用の担い手に
「……例え『
「……」
「貴方だけに、"その果てしない
他方の青年では他者の視点に至らぬ想像にも『無限に続く時間』という『
「心配には及びません。『
「……」
「何より、そうした『
「……」
「なので
泳ぎなからも示される『落ち着きない
だがその『
「他にも軽く見通しを言えば『
「……アデスさん」
「ふふっ。今から青年に囲まれる生活がどう見えても楽しくなってきました」
「……それでも……"そのように
「……」
「それも『自分に少なからず恩をくれた貴方』へ、遠いそれでは『自分で貴方の助けに
即ち『
だが、『それでも』と旅には付いて行けぬ青年で勝手ながら『自身にも安心を得よう』との素朴な働きが『確たる
「……実を明かせば私も、"青年と挨拶を交わせぬ日が
「でしたら……もう少し、なにか」
「だがそれでも『いつ終わるとも知れぬ脅威』に『皆の恐怖が
「……」
「そのように考えたからこそ、同様の青年でも『
「……それは」
「『永続する苦しみ』——"それ以上の恐怖はない"と」
「……」
「結局の所、大神である以上は私も"貴方と似ている"部分のあり……そうした
「……」
「よっても『食う』・『食われる』、『脅威に
及び個々に『理解の及びやすい共感』にも言い切られては『自分でもそうした』と納得の心地で反感もなく。
加えて『相手の信じる最善の理想』を"一方的な
「……真実として気持ちは嬉しくあるのです。"青年でもこのような私のことを
「……っ」
「だがそれでも、"寂しさに
「……」
「可能であれば『
「……」
「よっても此れよりの許容範囲拡大とは難しく……しかしそれでも、青年。やはり私は『貴方のような者にも幸せになってほしい』との自身の抱く願いにさえ嘘偽りはないのです」
「……」
恩師から『
「そうして私の作る暗黒の世界なら『皆を護りたい』・『皆に救われてほしい』といった——」
「貴方で
相手が『
「よっても例え"今のような時間"。"青年たちと過ごせる限られた時間"の中にも」
「"その愛おしい瞬間の連続が自らの決定によって途絶えてしまう"のだとしても——"それでも私は貴方で満たされる幸福を手にしてほしい"のです」
斯くして真意の読み切れぬ
なれど、『気遣いの意を寄せ付けぬままでも青年は己の非力を苦しく
「そうして
「例えて『生涯に一つの花を持つ植物』はただ一輪で咲き誇ればよい。『差別』や『迫害』などの温床となる『比較の悪』に脅かされることはなく、怯えることもなく」
「
「
「……」
「……」
「それら誰しも望まず与えられた『
「同様に
「「……」」
「ならばそして望まぬそんなものにも付き合わされる義理はない、"強いられる必要"などあって然るべきではない」
「『
暗愚の己とは違い、『少なからずの絶望を知りながらも未だ【
「"各位が己の幸福を探し求めるに能う場所"——不完全に満ちた現状の世界ではそれの与えられず、皆には『
「己の幸福と向き合って、願望の見つかれば、その『叶えるための無限の
「……」
「……」
「"だから私は
「『死』という『等しき終わりの約束』で以て皆の全員に
(…………)
「そのようにして全ての命が『
「そうして、それら『
「——"?"」
「…………(……今、
「よっても
「我にも騒ぎ立てる邪魔なくば皆の眠りと夢を守りつつ、永い目で神は『現状の
その『
「……では、『死して各位が其々の幸せな世界を生きる』——だけでは終わらない」
(……イディアさん?)
「今し方の口振りで"
「"現時点での私には認められぬ"が、だとして『実際の他者と関わりにある喜びだって叶えてはやりたい』と言ったな」
「はい。先程は『手紙』などの例で」
「よっては『
「それは……『
「どうしては返せるのだろうか」
「広く『
「……」
「つまり謂わば『
「……」
「時にそれは『皆を囲う冥界の必要性』がなくなれば発動の——『
「其処までを至れば『
「な、なんと……"
問われても『防衛戦略』や『安全管理』の観点からは『"冥界という術式"の詳細な設定開示』はなくとも
「え、え? じょ、情報が洪水……
「つまり『確約は出来ずとも絶望の化身にも夢は見える』として『それ以上の計画、可能性の実証が出来れば
「"?"」
「よいか。
応じる語りにはこれまでに『世界の法則』として示されたもの以外で、そこから発展しての"未知なる領域"についても
「? は、はい……!」
「普段から私が『青年を
「——"!" そ、そうでした! 『
「うむ」
「でしたら『その手のアデスさんで何か色々と助言をしてくれている』?」
「『
「イディアさん……!」
「概ねとそのようであり、物分かりの良い青年には後で褒美に『
「「"——"」」
「斯くなるは『自らの行い』を
「無限の前には凡ゆる土地が替えの利く。そしてなら例え海が割れて大地が裂けても『真に考えるべき』は『其処に息付いていた
「「"……"」」
「
それは『迷うなら目指してみよ』との示す方向性。
述べるは『例え自己の願望が定まりきらずとも皆の願いに望みが叶う環境さえあれば何れに事は成せるだろう』と導く神の
「重ねて即ち『私の
「"
「『幸福の追求』には『他者の不幸あってこそ』と願う者たちも数多く。それは大なり小なり皆の心に『実現を願いたい
「"幸福の中に不幸があることの矛盾"」
「故にも『事無し』を願う我が基本的な方針としては関わりを、『
「それこそが魔王の齎す『
「そうしてそれでも『魔の手の邪悪』を
(似た所で『戦うことが嫌ならば、抑の利害の衝突で戦わなければならない状況こそを何とかしてしまえばいい』という、いつもの……"
「しかして私は
「皆を幸福で満たすものでなければ『不完全』なぞに永続は与えられぬ。例え僅かの一つにも『不幸や犠牲ありき』のものをのさばらせる訳にはいかず——よっても"
冥界創設の神で掲げられるは『完全性の否定』。
意訳して『真に完全へ至るならば欠けるもの何一つとしてない完璧と我の攻勢にも耐え抜いて見せよ』と。
それ謂わば『【不完全を殺す者】たる彼女の存在する限り世に完全性は顕現し得ない』なら、逆説の即ち魔王の彼女こそが『不完全を体現する化身そのもの』であるのだ。
「え、で、では! もしもアデスさんに『
「平たくは、はい。少なくとも『大神の己にも及ばざるがあっては考えも改めざるを得ず』の、そのようになるのでしょうか」
「……『冥界や死の存在する必要』もなくなれば皆が円満に再会を果たせるかもしれなくて——"何より貴方"でも気が、軽く……?」
「"私にとっても未だ見ぬ仮定の範疇"なので現実味を帯びた
「"……"」
「だとして『何をどうしようとも皆が幸福』とは『私が殊更に口煩くする理由もなくなる』ということですので……仮にそうなれば
しては情緒も滅茶苦茶に。
事実として『恐怖の大王が恐怖を取り払おう』としてくれても感情の置き所が分からなくなった若者で押し留めていた水の流れが潤む目に溢れ出す。
「——ご、ごめんなさい。不安の中にも希望のようなものが見えて、何だか心の動きが……どうしてよいのか」
「……"青年が失意に沈んだままでない"なら、それでも構まいません」
「っ、、ずみませ"ん」
「やはり私は暗黒でも話が重く、暗すぎるのでしょうから、多少に冗談じみた気配も交えた方がいいのだろうて」
「……アデスさ"ん」
「そうして次の
「……はい」
「女神イディアでは未知に触れて調子も戻ってきたようですが、貴方で情報の整理も
「"……"」
そうした青年で自ら服の袖が涙を拭いながらも気遣われて笑顔さえ溢れる場に。
「即ち私が世界に突き付ける行いは『皆が確約のないことに苦しむ現状より遥かに
「……」
「よってこれ以上の、『私以上の実行可能な策は現時点でない』とを今の結論として、提案を退けて
「……はい」
「其処でもやはり私は『個別に異なる幸福論へは
青年が濡れ顔に色を整える最中にも少女の姿で慈愛が見守る微笑みを絶やさずに『まとめ』とする。
「例として時に『整った声や顔立ち』や『印象の良い立ち居振る舞い』に語られれば、それがどれだけ荒唐無稽な内容でも『正当性は
「よって『真に世界征服を成し遂げる者』がいれば、それは『誰にも疑いを持たせぬ
「「……」」
「それは
「……」
「それでも青年で、ただ
笑みには『暗黒に出来る分断それ以上を実証できたら皆がまた笑い合える可能性もあるかも』として——裏には『そうをならない』と思う"果てしない
「では、当然に
「そうしたことについては主題が大きく変わりますので後にしなさい。青年が混乱する現状には話し難いこともある」
「はい」
「……ですが言われたよう『研究者』や『学者』の側面でも私は『大神ですら知らぬ
「それも思案に研究を重ねて何れは『実証の段階』へと……でも今は皆が優先だ。見て見ぬふりとはできませぬ。皆が苦しんでいる状況を改善してからこそ『
言い示すようには『私なりにも自身を超えるものを探すと頑張ってはみるけど』——そうしたら私だって何をも気にせず青年と
"そうしてやりたい"、"そうなりたい"のは山々だけど完全が見つからなくば気兼ねなくとは出来ないんだ——『見果てぬ筋道に弱音を吐く』ようなのはオブラート。
口では言わぬ。
頼りなくば告白に震える青年で、"またも涙が止まらなくなってしまいますから"。
「ならそうして、どうすれば……どうすれば未知の解決法を——"貴方にも何一つ欠けることのない充足"を掴む、その『助け』になれるのか」
例えそれでも今に出来ることは『壊れた情緒の泣き笑いに涙を流す青年』を一層に柔らかくなる笑みが優しく撫でて。
今は『邪悪に卑しい私』と面を向かっても落ち着きなくて逆効果ならば、『神の約束しようとする真意』を知ってから思い悩むようにも黙るイディアと共に置き場のない感情を共用空間へ押し出すとする。
「どうすれば、"アデスさんのためにも"……」
「……貴方が魔性の神さえ気遣ってくれて嬉しく、それだけでも今日は『
「……」
「それに多少なりとも青年が『新たな希望への意欲』も持ち得て表情に活気を取り戻してくれたなら、重ねて上々。少しずつ我々で『互いが元気になれる方法』を探しましょう」
「……はい」
「多くのことにも、ゆっくり。時間を掛けて
「……分かりました」
涙も触手に拭われては、青年たちで帰される最中に。
「女神イディアでは暫く青年を頼みます」
「はい」
「私も
「分かりました。では、
「"——"」
残る神で『誰へも届かせぬ声』が
「……
"今はまだ互いの幸福のために
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