『約束を探して⑧』
『約束を探して⑧』
「一つ結論から言えば、美の女神の推察した通り確かに私は——"
茶の満たす杯を置いて
「そうして『私という
「……」
「……」
「私という神で皆に多くを
それは『
質問で尋ねた二者の前に少女の形をした老婆が『
「だが、究極的には『皆で一つの同じ世界を共有している現状』で誰もがそうはできないからこそ、『
それは『美が【幸福の約束】なのではないか』との問われた一案に
「『
その音調は
事実として『現世に鎮座する法則性の
此処に『命には必ずや終わりがあるのだ』とする『決まり』について、他でもない『
「『常に誰かが苦しむ』ことを私は
「
「……」
「……」
「例え苦しみを積み重ねた末に何か『
「故に現行の『
繰り返す『ならぬ』とは強調される『
普段は『
「仮に『総人口が
「他でも無い『私の理想』のために。『この世界は【皆の幸せ】という
("…………")
「現にそういった『不完全の
「『
(…………っ)
「よってお前たちでも此処で見聞きしたものを
眼前には真意を容易く明かさぬだろう神の言葉が湯水の如く。
口数で対照的には『既に下された重大な決断』の意気に呑まれて『安易に口を差し挟むべきでない』と共通に押し黙る若者ら。
話の区切りで語り手の回す視線に対しては感情の無い美の女神で『承知』の頷きを返しても、複雑な胸中の青年では碧眼も左右へ揺れるように泳いでしまう。
何を口に出すことも、思案することすら『
『……青年』
『……大丈夫です』
『……』
『気分が悪い訳ではないので……気にせず続けてください』
『……分かりました』
間近に添うそれは、どれだけ優しくとも真実として『
周囲で何を言ったとして『万能な
続く論理展開なら『不完全である以上は皆を幸せにするものでなく、僅かとも不幸を認めるもの』——『故に滅ぼす』と確固たる言論を備えた有り様。
言うなれば、その『揺るぎない王の
時に『キャラが立つ』と言えば分かるかもしれない。
いつの何処でも『その者』は『その者として立つ』——『如何な状況でも【自身】は自ずと立つだけの
例え何をせずとも言わずとも、何であれば其処にいなくとも『不在の理由』を考えさせて存在感に留まることを知らず。
豊富な要素や謎を無限に秘めても『あらゆる事象』に『あらゆる概念』や、『あらゆる存在』に関連して通じる『
「"……"」
故にも『多くを見てきた者』に何を言えようか?
当然に『
——『反論するなら
——『全てなら"私の理想も含んだ皆にとっての幸福を"』
——『私以上の論理展開、"理想世界の実現"を見せてくれ』
そのようにも恐らくは『反論も全てに向かう一部』と『神で都合の良い方向に誘導される』のだろうから——だから何か『単純な力で
「続けます」
そうして少女の口に
「よって『
「よって其処に『絶対の正しさや義などというものはない』と、『全てから正当性を奪う』からこそ我が身は『魔王』の名にも
「……」
「……」
「時に『差別をしないようにしよう』なんて形式を表面に
「よって何かを『賛美する』それ自体が『差別と隣り合う
「そうして
(……?)
「世界の構造そのものに手を加える——"法則を書き換える"」
「即ち『しないように』の『
それは彼女が『不完全の世界』へ突き付けた『
「即ち『
言い切っては数秒の
再び茶の湯を口とした神で和らげる空気に質問を許し、厳粛が尾を引く場は理解を深めるため『議論』の様相を呈する。
「では、『原初の女神が皆にする約束』とは……それこそが『
「はい」
頷くアデス。
向かいでは魔眼に見つめられる場へ臆せず言葉を選べる
(……『
人としての理解を超えた話の展開。
ともすれば『世界の真理』に迫る場面を前にして、青年で必要のないはずの息がやはり緊張で動作の重く感じられる。
しかし、それでも『未知の可能性』に
「聞くに『死』という、謂わば『冥界という
「平易には『意の異なる者たち』で『対立』や『紛争』など『揉め事の起こらぬよう』、よりも言葉を砕いては『傷を負わぬように』」
「……」
「例え『
イディアと対話するアデスでは
「例え誰で
続き分身した
「『各位で干渉のできる居場所を切り分ける』とも言えようか」
「そうして、"境界を越えられぬように"?」
「
「……"発展して
「然り。今では『
そうして即席の刀剣に魔は視線を落とし、語りの方向が一旦には青年へと向かう。
「現には此処にいる私も、どんなに相手を『
「……それは」
「『
「……そう、
「……しかし、恐れたことはありますでしょう。『理解できぬものは何をしでかすか分からず、"
「……」
「……それでも、構いません」
暗黒は用済みとなった危険物を片手で粉砕しても、質問を練っていた美の女神に向き直って続ける。
「それは『生ける物』として自然な働き、『自己を予測困難な危機から遠避ける安心を求めての情動』であって」
「しかして青年のみならず、細かな差異のあれど皆が『自身の理解が及びきらぬ
「では、またも確認となりますが、『冥界の神は死によって以降の苦しみや痛みがないように約束する』……『皆を静かな時空へ隠す』のだと?」
「各地を旅慣れた女神に多く語る必要もないだろうが、実際として世界には『他者を害さんとする可能性』で満ちてもいて、それら危険からは『冥界という
「それは……ですが過去には存在しなかったと聞く『
「"——"」
頷く、それは『
「
「
「平たくは『
「"
「そうして
「……」
「『際限なく膨れ上がる
(アデスさんは、『少しの怪我も許したくないのだ』と……?)
"痛む感情のある青年"へは『過去に大神の為した
その意訳を介した例には『宇宙には皆を傷付ける危険が満ちている』、『星は爆ぜて危ない』、『そうして星を超える光の神は保有の
それには実際として『光に手を焼かれるなどしていた青年』にも飲み込みやすい変更であり、されど『大元の意は変えず、
「故には
「其処では『王』という『
「『
「……? ("冥界にも色々な物がある"……"与えられる"?)」
「よっては『働かざる』が何なのです。『無能の働き』がどの様にして悪しき結果を齎せるのだろうか——隔てられた世界には関係がない、"他者に物を言わせる
「そうして仮に『他者との関わり合いに生じる幸福を見たい』としても、第一にはそのよう願う『自己の目的』と向き合ってから」
「他でも一部の『
(……? 聞き慣れない情報が多くなってきて……混乱してきた)
話は『死』から、また『その先について』へと移行し、青年にとって殆ど全て『未知の領域』に差し掛かっては奥義のない状態に体内で流れの
「ですが……"?" 当然とよく知らぬのですが女神の口振りから察するに『死』とは……謂わば
「
「……では?」
「寧ろ各位で『満たされる
「『思い描くまま』と先に言っていたような?」
「ええ。望みの例として『戦場に
すると魔眼に睨む先では分身のメイド
一体は疲れ目のように眉間を歪めた青年へ暖められた触手を『アイマスク』のように差し出し、もう一体は『重い女に疲れたのなら私で肩をお揉みしましょうか?』と目を細めた笑み顔が誘う。
「……いえ、大丈夫です。今は兎に角、『アデスさんの発言』と『イディアさんの出してくれる疑問や纏め』を自分でも記録しておきたいので、お気持ちだけで」
その『
肩を撫でようと近寄った『魔性の私』が『気遣いの中で自然に青年へ触れようとする』のを『
「……つまり、『死という眠りの中で幸福な夢を見る』と?」
「……」
「『無言』なら、そう言った訳でも……"ない"」
だがして、その『現実』と『冥界での生活』を切り分けるようなイディアの伺いには首を縦にも横にも振らずの大神。
「では、"冥界にも明確な自己で思案が許される"。そうして述べられたように『接触がないのみ』であるなら……『死』とは単に『神の進める
「……そうとも言えようか」
「であれば、"
「……」
「そうして『単に冥界の法が先述の行為のみを強く禁止する』のであれば……話は本当に『魔王が統治する国へ皆で移り住むだけ』のようでもあると」
「さりとて、そう
常に"己すら非難する"のが『
「そうしても『私という不完全』で、『
「真実として私は、"皆に出来うる限りの幸福を約束したい"」
「その意の現れとして我が齎す『冥界』という世界法則では『
「「……」」
「——望まぬものはない。
「なぜなら『
(…………)
「故には『
「その『
掲げる理想に強まる語気で神の
「それこそが『冥界』。私という
「『
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