『vs覇王少女⑧』

『vs覇王少女⑧』





「"何を知っている"のか!? 暗黒卿あんこくきょう……!」

「……」





 問われるアデスで——『振り返って、あれは……"ちちふさとの戦い"であった』との秘める回想が以下である。





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「『いる』という意味でも、『ただす』という意味でも『強制きょうせい(矯正)』は不本意であり……故にこれもまた『提案』です」





 過去の暗黒が『自らの弟子』と呼ぶ青年へ語る。





「"その差異さい"——?」





 案を述べた時期としては『イディア』や『ウィンリル』や、また『忌々しき王の女体にょたい』との出会いやで『暗黒と比しての大きな乳房への執着』を青年に見た頃合い。

 多くの視点や考えを内包する彼女自身は特に『教え子の性癖』を問題と思わずとも、しかし他でもない青年が『"大切な友らに非礼のないようしたい"なら』と——合意のもとで開始された訓練くんれん





「……——、っ"、は…ぁ、っ! ……は、っ、ぁ"……!、」

「……悪くない。既に『みず』は貴方のあつかえる内側うちがわにこそって」





 大神の方では自身の小玉体に起こす『髪型』や『装飾品』や『衣服』や『体型』の変化で若者の反応を『手始め』と試す調査。

 そうして、その最も速く『神界しんかいにさえ水際立みずぎわだ執心しゅうしん』から、『わたし青年でし』が世界でも有数の『乳房ちぶさ大好だいすき』と『暗い笑顔に確信を得た指導者』はくの如きにも言ったか。





「そうだ。乳房ちぶさの"ふくらみ"に"れ"から転じて——『膨張ぼうちよう』と『振動しんどう』」


「同様に『丸みを帯びた物質』では、"波動はどうの変化"を——『みず』を基準に捉えよう」





 一連のそれは、"あいよくの起こす奇跡きせき"?





水泡世界すいほうせかいに『膨らみ』を、『揺れ』を"よ"」





 狂いし発想は魔王。

 今も『人心じんしんの根深い青年』で『ねん』や『おもい』と呼ばれる各種も『』には出来ず——ならば、"時に反対はんたいみちを行ってみよう"。





「"捉えて離すな"。おのれの、"おのれだけの"——」





 その『魔を統べる神』のもとで『神にも人にも成りきれぬ半端者の青臭い若さ』は——『有念有想うねんうそう』のままに『空前絶後くうぜんぜつごの高み』へとのぼらん。






——『奥義おうぎ』を」






 ・・・





「そうは言えども、むねいたい。靭帯じんたいこころあたりが痛い」


「青年が熱心に何度も見遣るものだから、それも『大きければ』と平時の私より目の色を変えての傾注けいちゅうを」





「う"。それは……本当に、ご迷惑をお掛けしています」

「……うむ。ですが『正直者であろうとする』ことも貴方の美徳であるからして、やはり私では『良き』としましょう」





 そうしての拠点奥で密に訓練を続ける師弟の一幕。

 第一に『大きな胸』、次点で『耳の装飾』や『衣の山形やまなり』など。

 つまり『揺れ物や膨らみに敏感』とも知ってからに、白髪を巻いて耳や指で『ジャラジャラ』とさせる巨乳の恩師と距離を近くの密室は——慣れぬ当初で直ぐに『で』追ってしまい、再試行。

 因りて重ねる時と進める段階の次には『間近で揺らされてもこころまなこで見るように』の特訓→『水を伝って視力などの表面的に依らず周囲の状況を把握出来るように』として、残る後が『精度向上』の流れ。





「兎角、そうしての鍵となる認識が『膨らみ』と『揺れ』——得てして『物の動き』は『熱』と密接に関わる『膨張』と『振動』だと忘れずに、引き続きの集中を」

「……はい」

「……『多感な時期に数度の臨死りんし』を経ても『強化された生への渇望かつぼう情念じょうねん』が『渡りの女神の有する熱感知の権能』と合わさって開けたのが、"可能性"」

「……」

「分かり易く例の欲しければ、『水の入ったなべに掛ければじき煮立にたって蒸気じょうきのぼる』ことも分かるだろうに……その一連前後いちれんぜんご因果関係いんがかんけいを素早く知っても『いまぬをむ』ようであります」

「それは……知識ちしきかみかたが仰っていたように『積み重ねた経験けいけんに基づく予測よそく』の話で何となくは分かっている……と、思うのですけれど」





 訓練後で水浸しの青年でもおよ一年間いちねんかんを掛けて精度の高い動きが『一分いっぷんほど』であれば可能となり。

 また『対象の相手が女性』であったりすれば川水自身で『気の膨れ』が多くなって制御が困難であった奥義ものを、その『克服こくふくのため』でも暗黒が女神として付き添う。





「『膨張と振動が何に起因きいん』し、『起こる現象が次に何を誘発するのか』。『力の奔流が何処へ向かおうとしているのか』も『思考を止めずに先を読み続ける』のです」

「……はい」

「『目で見て思うより速くに水は膨れる』なり、『揺れる』なり……『意思なきも流れが結果を示してくれる』のですから、後はその『先に見えた結果へ自身が何をす』のか、『したいか』を当初に『目指すべき方向性』として貴方自身が設定しておけばよい」

「"——"」

「残る全ては単に『要素』や『過程』や『方法』としても、あくまで『目標に向かう一つ』として『正確な処理』をこそ重ねるのです」

「重ねて……落とし込む。自身の目指す方向へ流れを作っても……『勝利しょうり』を目指せば、『勝算しょうさん』として」

「"その繋がるしきを組み上げる"。競う相手がいるなら、より速く——より高精度に玉体の全てを使っても貴方でかみ演算えんざんを回してやるのです」

「はい!」





 奥義修得での肝要の点には再三の確認をしても、古き女神のアデスで『自身も僅かとはいえ若者の可能性の熱に浮かされた行い』を密かに反省しつつ。

 事実として後先に『神話の怪物たち』と相対して、ともすれば『既に陰謀へ巻き込まれた者』へも政治的な思惑や戦略を兼ねては『せめて視線の動きだけは何とかしよう』との大真面目な試みが続けられていた。





「それも以前には所謂いわゆる五大感覚ごだいかんかく、取り分け『視覚しかく』に頼り過ぎているきらいもありましたので……『超感覚ちょうかんかくかみへの挑戦』を視野に入れても他の多くの認識方法を知って、会得しておくに越したことはありませんから」





「そうしてものの扱いに関しても指折りの精密せいみつさ。実際として『果実かじつ》の扱い』にも荒々しく爪を立てて傷付けるようなこともなければ紳士的しんしてき真摯しんしに極まるものもあって『いと優しく活かせる場面』も——青年にも、"そうした場面"が……?」

「? 何か暗くなってますけど、大丈夫ですか? ……"無理に自分へ付き合ってくれている"なら、今日は——」

「いえ。"貴方のすくよかなる成長"に感じ入るものがあっただけですので……個神こじんの問題ですから、お気になさらず」

「は、はい」





 中途では『女神一推しの青年が何処ぞの美神だれかと行為に勤しむ可能性』を見て。

 その極めて現実感リアリティある予見の出来てしまう神性で声の抑揚が下がっても常から暗い表情に一層の影が差し——しかし、聞こえぬ領域で気落ちしても『色を心配してくれる青年』で魔性は喜びつつ。

 奥義修得が齎す一つの結果として水神で『新たな手札の追加』による『戦力増強パワーアップ』はしたが、感度の良くなれば『却って心で胸に集中してしまう』ようにも——"欲は仕方ない"、"節度さえ守ればよい"。

 視線を動かさずに全感覚器で『胸の大小』や『形状』やを知覚できても、修めて行く過程で一つの成果としても『物質の動きや状態変化に集中する間は無限むげん性欲せいよく一要素いちようそとして置き去りに出来るようになった』から。





「訓練を再開しましょう」





 正におおむね、『大きな胸に向かう視線』の問題は解決しての無事ぶじこれ平穏へいおん

 "表立って甚だしき形を現さぬなら『毒』にも『薬』にも成り得ぬ『内心の自由』まで縛ろうとは酷いですからね"。

 "思うこと自体"は…………やはり、"構わない"のだ。

 青年で暗黒のような者も忘れず、蔑ろにせず。

 真に『他者の行った言動を貴方なりでも偽りなく評価してくれれば殆ど満点』、『更なる追加点だってあげたい』と——上述のような思いは日頃から態度で現す無言。

 多くを語らずにも『師よりの尊重』を弟子でも暗黙にそばと感じる休憩を挟んで、その時点でも殆ど日課にっかとなっていた特殊な訓練が再開される。





「次は周囲に水を展開して、"胸の大きい私の燃え盛る手を完璧に鎮火ちんかして御覧ごらんなさい"」

「はい("大きい"……改めて言われると何か——)」

「早速と気がれています」

「あ、すいません」

「引き締め直して下さい。『あめ』としても要望があれば後で聞いてやりますので『眼福がんぷくを楽しむ』のも、その時に」

「は、はい(それなら、"アデスさんへの感情"も渦巻く力へと変えて——)"!"」





 湿気のある眼差しが実際に消費分の水気を辺りに用意してくれては、急ぎ『恩師の冷ややかな目付きへ興奮する思い』を心の隅に寄せても眼前に起こる事象への分析に切り替えて——『ピリリ』と発泡スパークリング

 自前や外部環境を再現した周囲から『水素』や『酸素』や『二酸化炭素』で温度などを調節し、伝導に最適な状態を『先触さきぶれのあわ』として浮かべても奥義の一端が発現に移る。





「今日の私は『燃える女神おんな』。突き出す炎熱をまして、威力のないようにめるのです」

「"冷まして、止める"」

「意識で口を動かす暇のあれば、先ずは軽く『音速おんそく』から——"行きますよ"」





 そうして腕を引いて構える女神の前。

 玉体内部に情報を載せて加速する水の循環——高速化させた思考領域。




("…………")




 認識では空間にある光の点と点が線で結ばれ、直線でなければ揺らぐ姿に『波模様なみもよう』を見ても束ねられた線が物質の像を結ぶイメージ。

 師が燃やし出す拳の周りにも、炎からの放射状で流れが見える。

 熱の動きに絞っても『始点』から、『何処にどういった形で出力される』のか、『世界に作用する』のか超高精度の予測を可能に。

 曖昧な存在で『渡りの神』としての『器の性能』と『元人間』としての『物への執着』を兼ね備えるからこその——『原因』、『過程』、『結果』を考え続け、『最善の対処を導き出さん』とする素朴な心の働き。





「"…………"」





 瞬きなくしては『語らぬ蛇』のようにも。

 表情筋にさえ動かす力を惜しんで顔色も涼しくなりきれば、片鱗へんりんを見せて。





「……うむ」

「"……"」





 燃えながらアデスの突き出した手——不意に背後から伸び出た『触手しょくしゅ』へと驚きなく進路の予測地点にてのひらを置いた水の構え。





「"……(……? アデスさんが……大きい? アデスさんが大きいのは『世界を背負う小さいけど大きい背中』で——)…、…?"、?"」

「我が弟子。解除を」

「……"!" っ、今、すごい速く、これまでで一番速く動けた気が……いや、記録きろくがあります!」

「はい。『精度』は兎も角、『速度』に関しては迷いを感じさせぬ動きです」





 消火に備えた分の水量で煙を上げて受け止めるも、大幅に加減をしてくれているとはいえ『大神という宇宙の動作』や『はちきれそうな胸元』への『膨大』と『膨大としてしまう演算』の処理をしきれずに——余分な流れが、はなから。

 "青い鼻血はなぢ"のようにも大量に液を溢れさせながらに達成感で屈託のない笑顔を覗かせてくれる。





「アデスさん! 今の御覧になってくれましたか? アデスさん……!!」

「ええ、はい。それはそれは確と、この魔眼まがんによって。……『』と言いつつの『触手しょくしゅ』にも上手に対応できましたね〜」

「アデスさん……♡」

「それでも流石に『溢れ出す艶色えんしょく』に反動や疲れが見えていますので、今日はここまでとしましょうね〜」

「は〜い♡♡」

「少しずつ、私と頑張って行きましょう」





 対してはアデスで清潔でも濡れる顔を触手に持ち出す布で拭いてやりながらに励ます。

 目を細めて笑む彼女は訓練を通して少しずつ『青年の詳細な好み』を把握し、よっては先んじて今後に青年が『如何な大きさの女』を思おうと『魔性の女が真っ先に意識へ浮かび上がってくるだろう』と様々に変えて記憶させた胸の形にもの実感を得て。

 またそもこの世界に於ける『美女』だの『美少女』だの『女神』などは『全て原初の女神たる私に端を発するもの』だから——『つまり青年は誰を愛そうが何時だって私の面影おもかげを追っているのだ』との潜伏する意でも暗黒の微笑を絶やさず。





明日以降あすいこうは熱源を複数で各所に設置して、雨が降って風も吹く環境などで徐々に処理へと負荷を掛けていきます」

「はい♡」

「……そうです。『揺れ』を、『膨らみ』を、『分子ぶんし』や『原子げんし』に『素粒子そりゅうし』に——更にはの委細いさいすべてを『水泡すいほうの変化』で捉えるのです」





 斯くして『二度の臨死体験を経て強化された人間らしい欲望』、『物への執着』が編み出した『奥義』は、多感な時期に様々な事が重なって『中途に倒れても自分はここにいるのだ』と、『いたのだ』と叫ぶ存在証明。

 多分に含まれる『性的な欲心』でも、換言しては『誰かを愛し、誰かに愛されたい』、『愛情のあかしや形としてある結晶けっしょうのようなものを残したい』とも生命の有する根源的な力が徒花あだばなにあっても容易に忘れる去ることは出来ない。





「そうしては焦らず。けれど、完成のあかつきには『名取なとり』としてやってもいいのが貴方という無二むに極意ごくいなのです」





 因りての、ある種は『世界で唯一の転生者』——それは『死を超えた者』。

 境界線を越えて、『死別の恐怖』が身に染みても向き合い続ける『人』や『獣』や『神』や『男』や『女』やの自的な性質を誘惑ゆうわくによっても『なやおのれ』と認める再定義。

 時には『悩むなら、知らねば』、『考えねば』の延長でも『夢や目標を探す青年』に新たな方法論ほうほうろんとしての力が『自身を助けるもの』としても実を結ぶ。





「♡……?」

「即ち師からは一種の『皆伝かいでん』。また『新たな流れの始まり』として固有の名詞を名乗るべき時やもしれませぬ」

「名前……♡ わざの?」

「此れはだ。同源にして完全に同じ過程を踏み得た極みを見つけるのは困難であって、『今日こんにちの貴方が此れまでを歩いて来た足跡に芽生えた極意ごくい』であるからしても、やはり……心の有ることを恥じる必要はない」





 其れ、即ちが正しく胸奥きょうおうに芽生えて羞恥しゅうちすれば秘すべき奥義。

 夢なくしても執着のあり。

 諦めきれぬ思いは形ある物質の観察、探求の果てに辿り着く思考の通過点。





「それも貴方。自身の宿命しゅくめいと向き合っても調和ちょうわおもきを忘れぬ貴方を、私は……誇らしくさえ思うのです」





 その様は波立なみだたぬ無心むしん

 されど、真実は興味に寄せて自己に得られた知見を返す『波』の如き有心うしんが——"有念有想うねんうそう境地きょうち"。

 寧ろ『無心』とは反対に、『内に渦巻く要素一切は全て己』としても極まった思考で『自身に知る中での最善の方策』を探し続ける。





「そうして、これまでは『眼前にてふさを揺らしてしまえば手玉てだまに取るのも容易』であったが——"今日きょうこれよりはちがう"」





「改める名も何か『みず』に関するものでは……『すぱ』?」

「♡……?」

「どこか『事務的じむてきである』ことに主題を置けば『すーぱーなくらー……くりー、くりーきんぐ』?」

「……? (博識のイディアさん♡でないと、良くわからないな……)」

「そのような『女神の発泡形態すぱーくりんぐ・ふぉーむ』? などで……若しくは単に技名を、『有心うしんの』」






ゆえあって詳細を秘密としたければ『有心うしん秘奥ひおう』とでも——好きに覚えて帰ってください」






 そうして熱っぽくなった青年の処理を既に与えている『手伝いの道具』に任せても——閉じる回想。





 ————————————————





「流れの変わった初めにドヤるだけドヤっておいて——『それ以上を何も語らぬ』と言うのか!? 魔王まおう!!」

「……」





 つまり結ぶと『極度の乳好ちちずきに端を発しても芽生えた奥義』が——"ぞくな個人に悪魔の誘惑を撥ね退けて悟りを開くようなのは酷であるから"、しかして既にそうなってしまった者を『慈悲深き魔王は見捨てず』の。

 あくまで『ちからちから』としても大神の助力で不乱に磨き上げ、若者の奥にある『狂気的なまでの欲望』すら認めて引き出す奇特きとくの技が——『有心うしん秘奥ひおう』などと内密に意識される青年女神せいねんめがみの会得した『秘奥義ひおうぎ』であるのだ。



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