『Gale! Blast!!⑥』
『Gale! Blast!!⑥』
そしてからには降りて進むのが光沢を帯びた
「——『自分で作っておいて
『【字列を書き記したメモ】の方を忘れてしまったから』
「忘れたことには変わりないだろう。それ以前に一時間も経たずの過去を忘れてくれるなよ……"本気で
『
入場要件たる各種は女神で突破しての施設潜入が意外にも『すんなり』と。
また通路を進む中途の扉で『自らの設定しただろう暗証番号を忘れた王』もいたが、其処は知識神のワイゼンが『再設定の仕方』を
『何より【複雑怪奇な
「はぁ〜〜……事実として世界の運営が『
『いや、だとしてアデスにも【認知の彼れ其れ】はあろうから。きっと
「へいへい」
足で無機質な
それら高位も高位の揃って妙な一行は『暗黒からの調査依頼を実行せん』とするため、突如として惑星表面に出現した『薄暗い研究施設』へと踏み入り。
『またそういった時の為に
「それも昔に聞いた」
しかし、声を交わす遣り取りの最中にも油断なくプロムがワイゼンを王の
「"……"」
また先頭で『
麗しき彼女で『白にも近い銀』ならば『無言』と相俟っても
仮面に秘された女神の無表情で『戦士』として恐ろしく冷ややかにも只管に『
「……しかし、何だ?」
「どうせ『今は
すると、潜り込んで暫く。
「備品にも乱れなく、隅々まで清潔すぎるが——」
『言われてみれば、何か……使い切った気もする』
「使い切った?」
今日で一番と長い通路の行き着いた先。
当初の流し見どおりで検める内部にも『生体反応は皆無』の『広大な実験室』で王が記憶を思い出す。
『上品に、一滴も残さず』
「何に使った?」
『確か……"あの辺り"』
「"どの辺り"だ」
声では分からぬと言えば、後ろから神を追い抜いて走る光の先で『何か』に到達しての『歪み』を示して見せる輝き。
「データとしてもこの室内に立ち入ってから空間質量に『ゆらぎ』が起こっている」
「……俺が行こう」
即ち『行き詰まった光』によって『物体の存在』を示されても訝しむ神で金色の炎が認識阻害を取り払う奥底からは——"秘されていた
「——? また、けったいな」
「これは……"光の進んで何処かへと奥行きのある"——『
偉丈夫たる男神たちでも見上げて巨大に円を描く其れが、知識の神で既知としてあった『
それも、周囲に多数の配線や奥に伸びる筒のあっても中心にある総体として『三重の光輪』が如く。
何やら内から外へが次第に大きくなる『三つの円』で『煌めく何かが循環』している。
「そうして、真中に開いた『
「……」
『……然りだ。吾でも再びに確かめて、己の馬鹿に紐付いた【各種のエピソード】もジワリジワリと浮かび上がってきたわ』
賢くば思い当たるワイゼンと遠方の王を睨むプロムの眼前で、その粒子が絶えず加速して。
円から飛び出した物(?)が中心へと『色を隠すよう吸い込まれて行く』姿を前には『開発者』よりの言葉。
『そう、吾は【
「……」
「……」
「"……"」
『未知なる奴の存在を知った
突然と語り出す王。
脈絡なく思えるも、この者なりに『設備と関連する思いを
『時に【みたむなく】【むくつけき】【
『【理想】から落とし込む【現実】は今も
内容として恐ろしくも『地母の権能』も持つ大神に言われているのは『暗黒に関する考察』や『研究』やのことか。
「……」
ならばと、頼まれた任務では依頼主へ内容を報告するを得ずに。
しかし、『大神同士で相手の領域へ踏み込む』ような『難局』を抱えさせられては苦く眼光を備えるプロム。
「『
「殆どが『
一方の聞きながらワイゼンでは当初より『未知の危険に臨む者』として表面上にも腹を括っている様。
今回の任務報酬として『多少の内覧は許されている』と揺るぎない冷静の指さばき。
フォトニックの結晶で編まれた手袋を通して命令を走らせる卓上の記録端末からも素早くデータを取得し、また同時には己にも『記録複製の許可』を求めながら『別角度よりの真相』を探し求めて状況と符号する記述を声音の波とした。
『そうして此処では自らの産んだ数多を……【
『【光と反する力】。それ即ち単純の発想では【自由】の対極で【不自由】を、
『その実体を持たねども思いの中で存在した式を、謂わば【小宇宙】に【構造式】を描いては【
続けて『狂った
その
渦を巻く其処で光の失せ際の燃えるような一瞬の輝きが観測されたとして——『弾ける音』の一つだって外に聞こえないのだ。
「では、『搬入の多く』・『搬出は皆無』なら全て
『然様だとも。式に於いて【未知数の解】を求めるのは当然であろう』
暗黒研究の一つの到達点では『最大の好敵手の気質』を部分的にも解した神王が自らに向けられた疑問へ気前よくも応じる。
「だが、『明瞭』を背負う神々の王は元よりとして、大方に内部の予想も付いていただろう『秘密主義の魔』が……こんなものを俺たちに?」
『もしや【不利となること】自体が目的なのやもしれん』
「"敢えて自らの正体に迫るものを晒す"と?」
『ああ。要は【目的】さえ達成されればよい、【納得】さえ出来ればよいのだ』
「……」
『自身の晴れぬ苦悩に対して【これ以上のない程の
暗黒の
『そうだ、吾が子よ。例として吾という大神でも【最高の敗北】を知りたい時は確かにあるのだ』
『実際として、かつては吾で
「……」
『何も"打ち倒されたから"、"負けたから"常に【敗北】ということでもなし』
『要は【勝敗】の結果さえ【式の一部】であって、また特に平易と言っては【負けるのも気持ちがいい】から。【自身に納得の与えられる存在】があれば、それならと足を止めても【休息の時】は得られて構わぬからだ』
大神たちで『大神殺し』を企てているのだろう"挑戦的な神々"を前に。
だとしても『王者』は
『おうさ。頂点に立って【力】に【無限の材】があるともなれば【突き詰めてしまいたくなる】のが大神の
「……『時に自身の敗北さえ目的に至る一部』と、そうして『席を譲れば肩の荷も降りる』と?」
『おうとも。【心の底からの納得】で腑に落ちる為には
また先述よりの『暗黒大神』のかねてから公然とする『真の目的』だろうことについても少し。
『因りて此処に話を研究の主題へ上がった暗黒に戻すと——未知の奴でも【自身の正体に迫らせる】よう、様々の計略を巡らす【狙いがある】ということ』
『吾が最大の好敵手は【最上級】にして【未知の神格】を持つ者。多面であれば極神たる自身の力で【
「……」
「……」
「"……"」
『そうして最上級なら【
神王ディオスという『大いなる術の使い手』から。
"最高峰に俯瞰の視点"を通しても恐らくの『同族』だろう者を『類似』によって見透かさんとする。
『けれど、【
『奴も【今以上に上層の見え難い頂点】に立つからこそ、彼の偉大な王にも【未だ
「「……」」
『即ち【格が未知数】でもエクシズの女神に【チェンジ】は出来て、格の高ければ【ランクダウン】も出来て、ならば残る——【未だ頂点の王にも不可能の真実】とは』
「"
「……"王者にとってもの未到"は、"更なる格の上昇"を目指す——『ランクアップ』の」
『……恐らくは【
『過去の歴史に於いても当事者からの明言はなかった筈だが、少なくとも【近しい視座を持つ者】としての吾はそのように睨んでいる』
推測される真実は『
『吾が目指す【
『未だ【対象】や【発動要件】など実態に不明な点も多く早合点は禁物であるのだが……ああ。それでもやはり、頂点の神で似たようなことは考えるものだ』
けれども『大神』とは謂わば優れた眼力の多種を有しても"世界最高峰の探偵"。
その"
少なくとも此処に神王ディオスが明言とした『世に遍く広がる無限の術式』については知の神らで『答え合わせ』が済ませられる。
『そうして、今日の神王でも【研究成果を晒す】
『【どうせ露見する】、いや【露見した】なら【自分は此処までお前に迫っているぞ】と己の"素早き神威"を示す道具として【有意に使い捨てる】意図があるのやもしれんぞ』
だがしかし、既に張り巡らされた『計画の糸』のようなものが見えた所で『創造主の創る大いなる流れに抗えるか』との問題も大きく健在に。
『また程なくして急造にも出来上がった物が【不自由に嘆く心】……重くも【自由への欲心】をエネルギーに変換して動くマッシィィーン』
『当初は【生物構造に積載を果たさん】と画策したのだが……しかし、世に命は五千兆なぞ優に超えて数多く在るけれど【安定した個】として確立しているのが【暗黒の一柱のみ】と言えば【難易度】の程も窺い知れるだろうか』
『其れ即ち、やはり生半可では
『だからには——"えいっ"』
現に読み切れぬ急展開にも加速器の制御盤が誰も触れずして稼働を開始。
最も近い場所に立っていたのは先導者の女神だが、"常に戦闘へ備えている彼女"も黙って瞑想に耽っていたからには『触れた者』と違う。
「おい、"その口振り"は何をした」
『いや? 折角と作ったのだから【一度は動かすべき】と思い』
「『動かすもの』なのか」
『よっての【負の情報に耐え得るミニミニサイズの実験作】は
『先から【表立っての計画実行は目立つ】と言ったよう早速とアデスにバレて迫る魔の手に
『よって、秒間に掬った総エネルギー量としては凡そ【銀河三つ】でそう大した物は作れなかったのだから——高位のお前たちでも対処は容易だろう』
「——っ! だとしても、な!!」
だが、稼働開始から不穏な振動を伴って直ぐ。
加速器の円を描いた中心の、開く『渦穴』から。
「『惑星の表面で銀河が弾ける』のは——不味いんだよなぁ!!」
異空間より進み出てくる物体が『暗色の機械』に対し、"後の展開"を素早く察知したプロム。
より速い身のこなしを持つ神でワイゼンの前面へと瞬時に移動し、機体上部の口から放たれた光の奔流から身を呈して庇う。
既に『数多の怨念の描いた式』から引き継いだ『狙うべき標的』を設定されての『生者を恨め』との命令で——機体の『渦巻く眼光』に捉える柱へと『攻撃』は始まっていた。
『さりとて【親の日曜大工に付き合うもの】と思って』
「ッ"——てめェ! "好いてもない奴としたくもないことをする"のは『普通に面倒』の部類だぞ!!」
『それでも【不自由の中で自由を探して】? ——"輝いてくれ"。"吾にまた一つの可能性"を見せてたもれ』
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