『女神サーの姫は彦?⑦』
『女神サーの姫は彦?⑦』
「——あ"ぁ"〜〜↓ そう言った所で
そう言って声の音程と共に肩を落とすのは火の神カノン。
赤色をした髪で明度も冷えるよう、吐く息には外部へ逃す熱も載り。
「信じ難くも"初にする
「色々とありまして」
『……これが"第三世代の女神の方々"。けれど、思っていたより"
『
そうした比較的に若い『第三世代』と呼ばれる神々の集う場で、"己に
片手に傾ける杯では己の緊張に冷温を流しつつ彼女らの『高位や大神との謁見の感想』を側で聞きながら。
意識内では"原初の神性からの補足"も
『レイママさんが……星の』
『だからには「残りの
『き、切れ端』
『信仰される要素が多岐に渡る万能の神を除くとしても"思想的・
『また信徒たちにとって"
『……』
『対照に「流れる水」は地域により呼び名が変わっても大体は"青年の
『……範囲が大まかで広くありませんか?』
『宛ら"
『それは、そうかもですけど……』
『真実としては"大神の闘争"で数は少なく、「
「
「?」
「"第三の我ら"とは異質に……それ以前に『我々』と『その上』とで規模だったりの"世界観が違い過ぎません"?」
「それは……そうですね。
「そうですよ。今更ですけど、
「女神ヒキが此処に来るまでに言っていたのでも
『……カノンさんはあのようにも言ってますけど』
『"星や信仰の概念ありきの神"と、"それ以前に在った神"でも仕方ない。共に「
『……"アデスさんのよう"に?』
『ええ。でも、兎角に貴方では良かったのでありませんか?』
『?』
『"綺麗なお姉さんたちに囲まれて"。その筆頭が話の分かる誰かで』
『……』
言われて実際には『美女』とも『美少女』とも言える"絶妙の
気付けば右にも左にも——前にも後ろにも自分にもで乳房の圧は凄く。
心の引かれる其れ、過去で恩師曰くには『若くて
不用意に動けば畏れ多くも"その何か"に触れてしまいそうな距離では間違っても身に触れる
『誰かで』
『……誰か?』
『
『……?』
『誰なのです? ——"青年にとっての
『……』
『……教えてくれないのですか?』
席では
『……』
『……我が弟子——』
「——"美味しい"! "美味しい"のです……!」
けれど、その恩師に含みがあっても怖いので話題を変えようとすれば——"取り放題"の形式で物を取りに来たレイママ。
満面に笑む彼女が『緊張からの緩和でも食事の味が上手い上手い』と皿を手にしながら青年の方へと戻って来る。
『——れ、レイママさんとの会話に集中しますから、また後で』
『……仕方ありませんね』
「共に用意をしては心も通わせた事実で更に印象の快く……よりを言っては僭越ながら」
「?」
「私からの手に持つ運びで——川水の貴方にも」
「え」
「"食べさせる"という体験も……お願いは出来ませぬでしょうか?」
先割れの食器で甘いパンの破片を刺しても、差し出ししても。
川水の青年にも地母神の手作りを味わうことに専念してもらったりの、謂わば『あーん』なる親子のような体験もしたいと。
レイママが寄って更に多く、近くもなる女体の圧。
「そ、それは……」
「……勿論、御指摘を受けた通りに自己本位ではいけず。不可ならば神妙に引き下がる次第に——」
「で、では……
「よ、良いのですか?」
「はい。それで、"貴方が喜んでくれる"なら」
「有難う御座います! では、手間を取らさず早速に此方を——はい。お口を開けて頂いて」
「は、は〜い——あ、む……」
「……どうでしょう?」
「……美味しいです。レイママさんが作ってくれた物も」
「まぁ、まぁ……!」
「……(……なんだ、"今の"——)」
そしては、落ち着かぬ状況で先から大地の神より『母だ』と再三に言われても胸奥はむず痒く。
(……やばい。なんか、これ……"胸"が……!)
なんだか胸の更に下までも熱を持って切なく。
今のように"歳上の女性に甘やかされる味"を知っては、『それをもっと』と。
"心が絞られる"ようの感覚で彼にして彼女の"寂しい本心"が『甘えたい衝動』を加速させてしまう。
「そうしてこれが……模倣であっても"母のすること"?」
「ならば、
しかし、頼みの
素直に行けば目を細めて歓迎してくれるだろうけど、『母親のように甘えたい』とも正直に言えば目の色を変えて暗に包み込んでくれるのだろうけど——まだ日も明るく
(……イディアさん——は……彼女もまだ会話を楽しんでる最中だから……)
また先述に指摘のあった通りで『美の女神』は『美の女神の範疇』で日々体型が変化し続ける女神であったから。
何時しかの過去には毎日のように顔を合わせる青年が友の姿に違和感を抱き、その時でも相手においそれと触れることのないよう距離感を
当事者とアデスからも説明を受けて知るその"美の女神の仕様"もあって——今日は特に大きい友の側さえ落ち着き難く。
(そしたら、他に何処か————)
ならばと、泳ぐ泳ぐ視線。
目と身の置き所を求めて泳がせる目に入ったのが、皆と少し離れ——"物静かな鎧の姿"。
それも銀の彼女は他の女神の多くと違い、肌の露出だって究極神秘に包まれて皆無であったから。
『……イディアさん』
『我が友』
『少し、離れて休んでいてもいいですか?』
『……分かりました。女神レイママなどは私で様子を見ておきますので何かあれば、また』
『すいません。お願いします』
『いえいえ』
「……そうしたら、ヒキさん。冷やしておいた水も此処に追加はありますから、引き続き飲食も無理のない範囲で御自由に」
「お気遣い、有難う御座います」
「自分はこれから少しまた古き神の方々に挨拶をして回ってきますので、どうかその間もごゆっくりと」
「……お気を付けて」
「はい。取って食われるようなこともない筈ですので、きっと大丈夫と思いますが……心配して頂き有難うございます」
「では」
「"——"」
よりて一応は"主催"の立場として『参加してくれる皆の様子を伺いに行く』と建前を述べつつ場の中心に立つ花を友の美神に任せた青年。
現在の姿が碧眼の美少女でも、花園に迷い込んでしまった『百合もどき』のような自認は今も消えずの胸に。
故にはただ皆が良くしてくれるだけでも気が引けた心模様は暗に
「……少しは分かる気がします。周囲で常に他者のいると『触れてしまわぬか』と落ち着きませんよね」
「! グラウさん。お見通しでしたか」
「【(^ ^)/】」
すると、"先を読む力にも長けた光"では歩み寄ってくる者の心情を察してか。
既に作る声音、優しく。
「……しかし、貴方が気を利かせてくれても自分からは大した持てなしの一つさえ出来ずに、申し訳ありません」
その
「いえ。我が同士では"その通り"で構わぬです。それに貴方は
「……」
「故にもは気兼ねなく、私などの側で良ければどうぞ自由にお使いください」
「……分かりました。では、ご厚意に甘えて暫くを」
「【(^-^)ゞ】」
「恩に着ます」
二者では、それ以上を特に。
"互いが複雑な内面を抱えている"と知る者同士で視線は交差しても静かな場を求める利害の一致が多くを語らず。
中身は兎も角に青年の観測範囲で肉感の印象なき鎧の熱を側に、宛ら
『……アデスさん』
『……どうしましたか? 今し方で私の側に寄ってきてくれると思いきや、恥ずかしげにも影へと隠れて……不安に思うことがありましたか?』
裏からは通信。
我慢しきれず念願の、甘える時。
『……また「
『……時には目で思う存分に楽しんでも構わないのですよ?』
『……確かに魅力的な方々だとは思いますけど——けど、これもまたなんですが「自分が幸せの場にいると却って不安を感じる」こともあって』
『……有事に慣れ、そして多くを知ったからでしょう。貴方でこうしている今も何処かの誰かを想っては十分に気の休まらず』
『……』
『しかし、どうか
『……』
『其処では貴方も「私の話し相手」として"気晴らし"に付き合ってくれては間接的にも「他者への一助」となっているのもまた、少なからずが事実としてあり』
寂しさに素直となる青年でああして麗神に囲まれる場は嬉しくも。
時では同時に"不憫な心"、恩師の前では見透かされるようで。
けれど、隠せぬだろう胸中を吐露する以外に"上手な甘えの方法"も思い付かず。
『それに、花を眺めるだけでも悪いことなどありませぬ』
『
聞き届ける神ではその"絶えぬ心労"に寄り添おうとの物言い。
働きを称えながらも休めるように"愉快"の方向にさえ話の進路を取らん。
『……"えんてい"?』
『今では「
『……つまり、"庭の管理者"的な能力があると?』
『うむ。
『……なるほど?』
『また青年にとっての「
『っ……い、いえ。自分はただ「少しでも皆さんに幸せでいてほしくて」、何より「自分ではどんな相手にも確かな幸せなんて約束できません」から……其処までを言われる程の者では——』
『"今に口とした本心でも素養がある"』
数多の世界で本当の多くを見てきた神が
『「皆を完全な幸福に導いてはやれぬ」と知った上で——それでもと「皆にとっての最善に悩む」こと誠実』
『そしては「個としての己に限界がある」とも知るのに"大それた幸福の最大化"を目指し……故に思わず周囲でも手を貸したくなるような"
(……一応は彼女なりに"落ち込んでるのを
『そうです。貴方を囲むのは"若い女"か、"老婆"か。何方で捉えるにせよ情景は微笑ましく——しかし、「
そうして川水でも心安らぐ
『それこそ、"嫉妬に燃える女神"のような』
『……』
『無事に向かって助言をするなら、"複数と同時の交際は
『……はい』
『やはり、"等しく愛を注ぐそれが事実上は不可能と自認"しても「けれど」と皆の充足を諦めず、一体ずつに相手の幸福と向き合わねば』
『……"
『——我が弟子?』
『きっと大神の心で縫い止めたいような時があっても自分が傷付かないように頑張って頂いてるのでしょうし……信頼してますから』
『……』
『ですからやはり、その時も言って頂ければ自分も出来ることで協力したいと思います』
『……なんという、"親愛の表明"なのでしょうか』
————————————————
『——指定の座標で指定の物を即座に回収せよ』
『プロム、了解——"聖剣による回収の完了"を確認。次に向かう』
————————————————
『……そうしては"他の女の所へ通われる"のも
『! あ、アデスさん……!』
『けれど、勘違い
『……いつも有難う御座います』
・・・
斯くして事情知りの女神に話し相手となって貰い、落ち着いてきた流水の心。
ならば、『円満の食事に戻って更なる花を添えよう』と合作のミルクパンにジャムなり飲み物なりで果実の酸味などを加えると更に引き立つ乳製品の
冷えた餡蜜では
「——確かに"作った物を食べさせる"、"食べてもらえた瞬間"も何か言い表し難い"胸で込み上げるもの"があって……それも、他者の面倒をみる"母性"や"父性"といった『
試練の落とし所としては『想うことそれ自体に偽りはなく』——『同好会への加入なら認める聖剣の儀を執り行っても構わず』、『監視下での交流なら許可』とは大神の言葉。
よりて通達に感激のレイママは色々を取り計らってくれた青年に更なる感謝を述べ、浮かべる笑顔には涙すら滲む様相。
「……はい。今日は本当に有難う御座います。青年女神の方でも私のことを思い、このような催しや体験までご用意を頂けて……地母でも
「いえ、やはり喜んで頂けたのなら自分でも良かったです」
「そして、忘れてはならぬのが詫びの一つ。大いなる女神に注意されたよう私は自己の目的に
「いえいえ。現に危なっかしい所があるのは事実ですので、そこまで恐縮なさらずとも」
「ですが……」
「それにきっとレイママさんも自分のそうした面を"心から心配してくれての行動"だったのでしょうから……寧ろ自分からも礼の一つを言わせてください」
「このような自分に目を掛けて頂いて、守ろうとさえしてくれては少なからず安心できました——"有難うございます"」
「は、ぅ……っ"!」
「ですので貴方さえ宜しければ今後も何より負担にならない範囲で『お話しの機会を頂ければ』と思います」
「そ、そのようなことは……勿論です! はい!」
「……何やら生意気にも
そうして遠目に聖剣を持つのが『今度こそは真に歓迎の儀を済ませよう』との大神なるけれど。
「
「では、また世話の機会を頂けては、それを重ねた
「い、いや。
「であれば、『それを待てば口にしても良い』と——よ、"
「えっ——! いや、それは……」
「——"何を言っている"? 前言撤回で■■■」
「落ち着いて下さい、女神。
「
「魔眼の圧も収めて、どうか平和的に」
「実態としては"母性の暴走を父性で包み込む"ように、有ろう事か『あの青年に父性や母性を感じて甘える』などと——何と許し難いことを……っ!」
瞬間には聖剣で禍々しき力も
各方面の顔を立てることに奔走の青年が新たな出会いとの可能性に
ならば果たして『子のない母』と『親のない子』で"健全に関係を育む"ことは出来るのだろうかと——その他にも一癖も二癖もある同好会の神々で『青年への不可侵協定について』が同日から暫くに熱く議論を巻き起こすことと相成らん。
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