『女神サーの姫は彦?⑥』
『女神サーの姫は彦?⑥』
(学生時代の……イディアさん。イディアさんの、"
知的で美的で素敵な友の姿に想像上で
「……」
(彼女は確か……『ヒキ』さん?)
残る『滞水の女神』は
「……こ、こんにちは〜。先程は、どうも」
「……いえ」
「お水が
「……
「それは……お口に合ったようでしたら何よりです」
「……」
「……(一先ずは良かった。飲んではくれたみたいで)」
横目に見れば空になっていた杯へ水を追加するか伺いつつ話しかけてみれば、相手も割と"引っ込み思案"の様子で口数の少なく。
(でも、"食べ物には手を付けていない"みたいだけど……それを言うのも
よっては『無理に会話を繋げるのも馴染みのない自分から負担を強いるような厚意か』と、此処は"孤独を尊重する"判断への舵取りで川水さえ言葉を少なく。
「……そして勿論、何を食べないといけない必要もないので、気楽に」
「……」
「それでも、もし何かあれば遠慮なく仰ってくださ——」
「……"
「……!」
それでも去り際に聞こえた"吐露"に、転換する方針で止めた足。
その"体調の不良を訴える"ような
「……今はそれ故に多くを飲み込めず、
「い、いえ。自分は失礼なんて全然思ってませんので大丈夫ですけど——女神のヒキさんは大丈夫なのですか?」
「……そこまで深刻なものではなく……いえ、"深いと言えば深い位置にある"のですが」
「それは……差し支えなければ、教えて頂いても? 仮に何か問題があれば自分で助けになれるかもしれません」
(……思えばさっきまで酷く動揺して泣き崩れてもいたし、それで何かあっても無理はない)
「……いえ、ただ……"
「……
「はい」
「"焼ける物"、とは?」
「
「それは……胸が焼ける物なのですか? すいません。まだ、そういう経験に
「"痛み"というよりかは『熱を持って
「……」
「私の休眠から久しく目覚めた時に捨てられていたのを見つけ、けれど此度の催しに駆り出されては対処の
そうしてはヒキ
「……しては、『どうしたもの』と。けれど聖剣の複数が重なって"反応する"などしなければ湖の中で"水温が僅かに上がる"程度ですので、河川にまでも深い心配には及ばず」
「……」
「私で後にどうにかしますから、今は流水に聞き流して頂いて結構な
「でしたら——"自分に任せてはくれませんか"?」
「……川水の、氏?」
「困っているのであれば、力になります」
「いえ、関係ない貴方の手を煩わせるほどでは……」
「……自分は大事なことだと思います。"湖の周囲に暮らす者たち"と、何よりは其処に深く関わる"貴方"にとって」
「か、川水氏……?」
「どんな聖剣にだって負けはしません。『身を脅かす物全てから貴方を護りたい』のです」
「
湖とその周辺にも無数の命が生きては——故にも、自らに深く関わることのよう親身に。
自身が『恩師から齎されるもの以外で死の結末を許されない制限』を疑似的な『不死の祝福』として強気に利用を狙い、自らの案じる本心で必死に相手を『助けたい』と傷ついた
「……もっと言えば、"生活の保証"。それによって食べたい物や飲みたい物——やはり水には困らないかもですけど、味わいたい物などもあれば自分が万全の用意をしてあげたくて」
「川水の氏は"場を執り成す言動"から
「"——"」
よっては『誰かを潰さねばならぬ機会も少なくしたい』自認で頷き、その未だ"理想を目指す方法論"さえ見えぬ心境が『それでも』と無限の力の使い所を求めてに言う。
「……でも、事実としてそんなことは出来ない、自分には分からないことばかりで——けれど、だからこそ"目の前に出来ること"があれば『貴方の助けになりたい』と強く思いましたから」
「いや、しかし其処まで急ぐほどの重大でもなければ」
「では、以後は呼んで頂ければ
「覚えのない厚意が波の形で胸を打ち……ヒキでこ、ここまでを言われたのは初めてで、に、にひ……」
「……」
「い、いえ、
「それも恐らく大丈夫です。有難いことに『大神からの護り』を頂けていることですし、処分の仕方も聞いて"なんとか"してみせます」
「た、"大神からを授かる"とは一体、過去にどれだけの試練を越えて——その笑顔の裏に、"優柔の心を持ったままに如何様な苦難"を……?」
「"——"」
"何とも言い難い問い掛け"には乾いた苦笑で誤魔化しを。
「勿論、不都合があれば『何をもしない』と約束し——『
「……で、では、今回で
「はい——けれど、すいません。自分こそ重い言い方で、"選ぶのに圧を掛ける"ようになってしまって」
「そんな、それこそ重さなどでは周囲の女神にこそ勝るものはあって、大した気には……いえ、私の方こそ不味いことを言ったのかもしれません」
「?」
「会ったばかりに『気の重さ指摘する』のは普段から社交をせずの自分。また幾ら不慣れとはいえ相手への配慮に欠けていたのかもと……そ、そういうものなのでしょうか?」
「……実を言うと自分も、"普通の社交"? ……そうしたものによく分からないことが多いので大丈夫です。責めることなんて特には思い付きませんでしたから」
そうしては兎に角に、"早急でなくとも良さげなら"と。
青年で簡単な口約束だけをした後に、"己の考えている腹積りさえ晒す"ことで『
「……では、川水の氏もあまり外部との交流を?」
「……はい。難しいものがありますので」
「……」
「ですからきっと、そういう訳でも"他者との距離感"の取り方がまだ苦手な所があり、先程は巻き込むような形とした気持ち的にも『何か返礼を受け取ってくれると嬉しい』と……そのように貴方のことも忘れて自己本位に走ってしまったのかもしれません」
「いえ、そのような」
「それも、本当に申し訳ありませんでした」
「……川水氏」
「けれど、既に口にした言葉には偽りを混ぜたつもりもありませんので——助力の願いあれば可能な限り、全力で! 応えてみせると約束します……!」
笑んで言うのが"出来ることはないか"と『世話焼き』の側面を出す最年少の女神。
河川の化身で正直の物言いと同時には、けれど表情で言い知れぬ影のあって魔性の域に近付く"危うげな笑み"にヒキ女神は言われ——。
「……でしたら、一つ。川水の貴方に手伝いを願いたいことが」
「——! なんでしょう……?」
「既に恥ずかしながら泣き言として聞こえたかもしれない内容を、この際ですから言いますと……実を言えば"変貌した都市に迷っている"所がありまして」
「"この辺り"、ですか?」
「はい。買い物を目当てに来てみれば、その実で目指す道行きが分からないのです」
「……成る程。"道案内"ですね。でしたら任せてください!」
——同じ水属性の先達として正に意を
陥落ぎみの心で漏らす
「そうしたら、『ヒキさんの買いたい物』を仰ってくれれば、それのあるだろう場所を此方でも探してお手伝いします」
「では、エッチな——あ、『性的な表現のあるゲーム』を求めて来たのですけど」
「……成る程(?)。そういったゲームを、お求めになられて」
「はい」
「でも、それは……探す際の参考として"表現の程度がどのくらい"の?」
「"がっつり"。作風としてソフトやハード問わず——あ、純愛的なものから過激なの問わずで"がっつり"と行為があるのでお願いします」
「成る程」
「以前に訪れた時は取り扱う店舗も少なかったと記憶しているのですが……今ではそれも、どうなのでしょうか?」
「成る程」
(……そう、そういうこともある。何かきっと
そして青年は『助ける』と強くも言ったのだ。
だから『この程度』・『そういった嗜好もある』との自身への言い聞かせは、
(——うん。ただ売ってる物を買いに行くだけだから問題は……ない。きっと、アデスさんも許してくれるはず)
「……であれば、幾つか売っている場所を知っていますので、ご案内を」
「ご存知なのですか?」
「はい。実を言って自分も最近に利用したことがあるので確実な筈です」
「! では、まさか川水氏も"
「……
『我が弟子』
(でも、『私の与えた物があるでしょう』みたいに言いそうだからなぁ……)
『案内には渡すその地図を使うと良いでしょう』
『あ——これはまた、親切にどうも』
『いえ』
恩師の"にこやかな顔"の向きと何やら"話の分かっている風"に地図を運んでくれる中でも力になれそうな機会の到来は事実と。
女神ヒキへは泣く程に気苦労を掛けた詫びでも約束を。
「——えぇと、それで確実だろう場所は此処と此処と、此処で……利用できる通貨みたいな物が必要であれば、此処に」
「はい」
「他にも探す機能があれば声に出したりすると機械——各種の設備なりが検索もしてくれたりするので……それ以外で分からない部分があれば自分が直接に同行して選び終わるまで待つことも出来ますから、はい」
「……やはり、親切の染み入る暖かさ。のみならず細かな配慮までを何度も……有難う御座います」
「いえいえ」
「そして同好の氏ならこれはもう、
「喜んで頂けたのなら何よりです。えぇ、そう親しく呼んで頂けても嬉しいです」
「——でしたら、我が友。もし足を運ぶことになって二者の宜しければ、"私も同行に加えて頂きたい"のですが?」
「! イディアさん」
「——"美の女神"、イディア……!?」
するとそして、健やかな成育を見守られる状況では。
当然に青年の動向を近くで追っていたイディアまで横から件のゲーム
「いや(?)、それは……頼もしいので自分は構いませんけど……ヒキさんは?」
「え……? 『
「では、みんなで行く場合は
『——ですが、急にどうして?』
『青年の安全を見守る補佐を兼ねつつ「美しい性表現」の探求者としても、実は件のような物に手を出してみたかったのです』
『イディアさん……!』
『でも大神より遊びの範囲でその多様なゲームを支給されて多少なりとも知識を持つだろう我が友には……中々言い出せずにいたのです。以前は少し気恥ずかしく、そしても今はその好機だと』
『イディアさん……! それも言ってくだされば何時だってお付き合いしますのに』
『我が友……!』
そう、それは強固に共通する文化的背景を持たぬ個神(人)たち。
互いの言動に
「——え? なら実は
「それに加えて出会ったばかりで優しくしてくれる
「聞こえましたよ。誰がアレソレですか」
「め、女神カノン」
「何であっても節度を守って程々に。またせめて『恋愛シミュレーション』と言ってください」
「そ、それは確かに言われてみると配慮が足りず……実在の他者に欲を抱いても、
「分かれば宜しい」
そうして、既婚者で家庭に生きたこともある女神が特異な現状に興奮する滞水の女神を注意した横では。
「……しかし、もしこれで他にも『多様な属性のヒロイン』が登場したり、『何か要素が隠されていたり』もしたら更に——いよいよ
『……』
『……』
「"何か原因が良く分からずに宇宙の在る"以上、『現実は
「「"……"」」
正に
また同時に『謎の転生者』や『謎の変身権能を持つ者』でもある者たちの間で
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