『女神サーの姫は彦?⑤』
『女神サーの姫は彦?⑤』
「……ならば、『我が
それでも、食に適し難いグラウのような者もいて。
鎧姿に佇む彼女は『自分だけ特別にしてもらうだけでも気は引けるから』と、自らの"銀炎の尻尾"を『料理に使ってくれまいか』と差し出す奇妙の提案。
「『
「そ、それでしたら、お言葉に甘えて……」
「はい。どうぞ遠慮なく、使ってやって下さい」
その燃え盛る厚意によっては本来ならば一時間ほど掛かる加熱の手間を神秘の力で短縮し、『親子でも観られる場面を体験という形ではどうか』と地母へ言った青年。
半端で不安な心持ちを抱える彼女自身も調理を通して皆に笑顔でいて貰えるような心配りが出来て、その実感する今の表情では自然と浮かび上がる笑顔に。
・・・
「——では、どうぞ遠慮なく頂いて下さい」
一通りが完成しては、自然と皆の分もで交流。
今回で助けてくれる者たちの分までも用意し、身を近くしては気まずい距離感にも複数で分けた机の上に其々で
また飲み放題の冷えた
「見たか、女神。あれもまた、"自らに流れを作り出す
よっては遠巻きにされてから呼び出しに寄らんとする古き者たちで、ウィンリルとグラウに囲まれるアデスも
「理不尽に流れる世にあって、
「大して
「"うんぬん"……?」
「例え私のような神へ
「……俗には『
「そう、宛ら魔の視線それすらも魅き付けるような力。故に私の手元に置いても、我が都合の良し悪しに関わらず世界で物語を動かす者——物語を"希望的な前進"に向かわせんとする者よ」
しみじみに
「"私には持ち得ぬ何か"の、
「これまで見せた"
「……難しいのですね」
「
「いやはや『青年の同好会』がうっかり"世界の最大勢力"となってしまうのかもしれませんが、それでも
(……あっちはアデスさんに任せて大丈夫そうかな?)
「そうしては
「【^-^】」
「では、食を楽しむ神の姿を見せてやろう。『頂きます』と皆で年長に気を使わせては私から第一に。貴重の様を存分に其処で楽しむと良い——
(多分、大丈夫そう)
だから、そのよう大神を中心とした年長者たちの輪が机の一つに移って物に手を付ける様を捉えては、改めて自身の身近に向き直る青年。
「そうしたら此方の皆さんも、是非に召し上がって下さい」
「レイママさんも、どうぞ食べて頂いて……
「! は、はい!」
「それに用意も、お手伝い頂いて有難う御座います」
「いえ、感謝するのは私の方こそであって……果たして女神の
「……きっとあの方も悪いようにはしないと思いますが、一応に自分もその辺りで伺いは立てておきますので——今は少しでも安心して、お食事を」
レイママへは盛り付けた小皿を手渡して実食を促し、残りの女神たちへ向ける意識にも開幕式で互いにお
「そうして、ちゃんとした挨拶は初めてとなる女神の方々に
「元はと言えば『自分が頼りない』ことは今回の一因としてあって、"その誰よりも頼りない様"が結果的に周囲を刺激する形で巻き込むことにもなってしまい……責任を感じている所存であります」
「ですから、その節は本当に——申し訳なく」
予測しがたい結果の遠因であって青年に
「……いえ。川水の貴方こそ此方の地母に殆ど一方的に好かれ、振り回される形でありましょう」
「……大神からの圧を軽く、配慮もしてくれた」
「ええ。女神ヒキの言う通りにも貴方は『場を
「……
すると頭を下げられた二者でも、同様は
背丈も青年と近しく。
仕草に垂れる長髪は片や黒混じりの『赤』と、もう片や黒混じりの暗い『青』で何方も若々しく。
当然の如くで麗しい彼女らも場の最年少たる青年へと謝意も表し、下げあった顔でも
「……そうまで言って頂けると本当に、助かります——そうしたら、お名前は確か……」
「
青年の横でイディアが補い助けようとしてくれる支援も受けつつ、共通の知神としての彼女から互いを簡単に紹介する場も此処で改めてに設けられる。
「では、イディアさんの……お知り合い?」
「はい。前者で主に"火山の神格"は学生時代の同級生で、共に『美術』などを学んでいたり——後者で"
「それはまた……改めまして、どうもこんにちは」
「そして此方が川水の神格。信仰を捧げる人々に名を『ルティス』と呼ばれる"我が友"」
各位に固有の名称を美声で呼ばれては再三に辞儀を。
続く真っ先にはイディアの作った流れで女神カノンとの名を持つ赤髪が、青い年に話題を持ち掛けてくれる。
「では、貴方が……"例の"」
「?」
「私で以前から評判も聞いていました。美の女神曰くで『共にいることが冒険であり、しかして同時に心の落ち着く場所』と
「ど、どうも」
「非のなくとも詫びようとする物言いで
その神、この世界で『火口』から転じて『大きな筒』は『カノン砲』の語源でもある有名火山の化身——手指の一つに
"それ
共に"人への愛"を有する『カノン』と『青年』の二者は出会って間もなくも、その営みに興味がある者として波長の合う感じ。
印象の肌に共振を知り、後者の青年が見せた前述の周囲を重んじる対応からも"助け合って支え合い生きて行く人々"を思わせ、温もりのある赤の眼差しから好感度は高く。
「そうして、行いが『人の守護者』とも聞いて立派と、個神的にも"話が合いそう"に思っていました」
「そうです。我が友は『人の都市を護る者として対象の色々を知っておかねば』と殊勝に、それなら『人の言う概念を調べる
「でもそれなら、美の彼女との付き合いで妙なことに巻き込まれていたりはしませんか?」
「? いえ、特に」
「というのも昔からイディアはこのように。方々を行っては一言目にも二言目にも、寝ても覚めても『美の探求』。私が出会った入学のあの頃もそうで……けれど当時の姿は『おさげ』で『
「……何だか
("学生時代"の……イディアさん)
空想の中では今の美神に
彼女らで過去を想っても、歳を重ねた"かつての女学生"に枯れぬ話で花の咲く。
「"美の女神が美術の成績で進級が危ぶまれた過去"もありました」
「だって、納得のいかない、"自他を偽る"ようなのもどうかと思い……なんでしたら今だって提出した物の全てに納得はいっていません」
「相も変わらず求道者。けれど見目に関しては最後に会った時から背丈の小さく、でも胸は大きく……え——今日のそれ、"相当大きい
「そうです?」
「そうですよ。
「いや、ギリギリは……潰す要領で何とか。きっと入ります」
「……何時ぞやの休み時間に"サイズの上がった
「——わ、わ〜〜"! 我が友の前でそれ以上は! 私にも『頼れるお姉さん』の立場が……!」
「その点でも"奇異の神"。微細な点も含めれば常に姿の変わるとは……我ら老いを知らず、時に『不変』の象徴だと言われるのに貴方はこうも変化を見せ——」
「かと思えば何時だって信念を忘れずにあるのですから……まったく、今日も
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