『女神サーの姫は彦?④』
『女神サーの姫は彦?④』
・・・
何はともあれ斯くしての試練が逢瀬、謂わばの交際。
主体は要となる青年に、その付き添う適正を見られるレイママ。
身近にはイディアをはじめとして第三世代が、遠目には角の生えた機体に腰を下ろして湯呑みを手に古き諸神の見守る中で当事者の二柱はテノチアトランでの昼下がりを共に過ごすのだが——。
「——ありました! "
「——(ま、まずい……!)
「行け。女神イディア」
「はい!」
「ふふっ。実を言って川水の貴方と親しむ為には事前の予行も済ませ、当然に水着の用意もしたのですから……どうか是非に"貴方の落ち着く環境"で互いに浸透する語らいを——」
「……(で、でも、レイママさんが自分のことを思っての行動なら——ど、どうすれば……!)
「——女神レイママに我が友〜! この私も混ぜてくださ〜い!」
「違う。そうではない——
・・・
「——で、であれば、その"拘りの伺える着こなし"でも『
「それこそ、我ら自然の身に馴染む"
「女神レイママ。下着は私でお探し出来ます。それに"我々のような大きさ"では各種の取り置きも手間の掛かるものとなりがちですので」
「……あ、あはは……(……助かった?)
「そうしては時間も掛かってしまいますし、我が友もその選ぶ所をあまり他者には見られたくないようですから……残念ですが今回は、また別の所に」
「……分かりました」
「"……"」
・・・
「で、では、更に気を取り直して。以前したよう共に食事でも味わい、円滑な会話に向けた舌の弾みを——」
「"由来の怪しい物"を口にさせるべからず。原則としての青年は私の用意した物しか身の内へと運ばぬのです」
「そ、そんな……!」
しかし、結果として。
過去に持った交流から"衣食にも興味のあるだろう川水"を想っての行動が、その実行する地母神レイママで
何せいくら青年を『女神の
・・・
「ふぅん」
室内での模擬も兼ねて『レンタルスペース』で一休みしても肌身を近くする美少女と美少女でハラハラと、ドキドキと——"駄目です"。
"誰が悪い"どうのでなく、『青年が迷惑を掛けかねない』、『その可能性の高まりを感じた』、その口出しはアデス。
ならば『室内と言った時の遊びを教えてやるか』との介入は、見かねた大神から『青年の好む遊びを教えてやる』との"ご厚意"に。
「無傷。完勝——
机を挟んで向かい合う
先達からは、"どれだけ教え子に食い入りたいような魅力を感じても堅実の順を踏まねばで食い付かず"。
また"指導者として必要の知識や技術"は勿論に、"時には相手にとっての遊び心を尊重して護る教導"も『ゆとりある成育』には"不可欠"との教え。
「『
「?? わ、分かりません?」
「これでは到底に私どころか青年の足元にも及ばず……我が弟子は札遊びでも凄いのです。
「因りて『
師の曰く『公平』に。
購入して直ぐで遊べる構築済み
教える神で『庇護するなら遊びの気へ付き合ってやれる寛大さも必要』と、札の切り方でも手厳しく。
地母神を超えての万能は、本音として『親役を務めるには
「
「対戦勝負の形式なら"相手の未熟な所を突くもの"であって、遠慮こそは全霊の敬意なく……それに、"私はただ山札の圧縮に気を使っていた"ら引きの良く"強力な組み合わせ"の成立して完封も出来ただけで」
「そういう所ですよ。初心者との知識量の差」
「今の
「……」
「何よりそうした心掛けが実際として"高貴"に相応しく……"偉い"でしょう?」
「"……"」
青年より向けられる"非難"の意で湿気のある眼差しに対しても、弁明の師は胸を張る。
(アデスさんのお嬢様言葉は割と好きだけど、だからと言って"初心者狩り"は
「そうです。『悪の令嬢』と言われても肌に馴染むから仕方のない面もあって……まさか。決して何も『上下を分からせてやろう』という訳では——」
「ちょっと下がっててください」
「我が弟子。やはり私は自省だって出来るのです。例え『貴方を奪われてしまうのでは』と危機感のあって、それで
「後にしてください」
「ぐ……す、ん。わたし、何も……"
(——兎に角、今はレイママさんだ)
そうしては、相手を思っても上手く行かぬ所に"初心者への手厚い歓迎"を決められ、地母神の彼女が不安に涙目となる頭上で次第に雲行きも怪しく。
少し意地の悪い暗黒女神が持参の杯に『水の御代わり』を貰って渋々と撃退されても、その残る雲と同期に落ち込んで神の権能が今にも『降雨』として溢れ出しそうになっている所。
「は、『母でない母』とは、"成れぬ者"とは——それでは、"存在の意味"が……ぅ、ぅ"ぅ……!」
(……"相手の
結果として"容易に開示できぬ自らの事情"であっても『相手に可哀想なことをしてしまった』と申し訳なく思う青年——『ならば』と。
(……だったら、自分からも何か——"レイママさんの為に出来ること"は——"!")
床に伏して哀愁の漂う背中へ。
掛ける言葉は稲穂めいた三つ編みが苦しげの
"
行き詰まって塞ぎ込む様へ、『こんなこともあろうか』と選ぶのは彼女に出来る"歩み寄りの手"。
「……でしたら、レイママさん」
「ぅ……?」
「実は自分で、貴方の——いや、『"食材の
「……?」
「だから、それで……宜しければこれから"料理"でも一緒に、どうでしょうか?」
自ずから"共同作業"を提案し、自然と相手も貢献のできるように立ち回る。
「……"一緒"、に?」
「はい。聞けば世に存在する『親』や『子』という関係はそういったことも時にするらしいので……ですから一緒に、美味しいパンでも作りませんか?」
「で、ですが、材料に関しましては"制約"が……」
「それも、此方で用意するので大丈夫です。それなら料理や食事にも問題は——ないみたいです。確認も取れましたので」
「! で、では……」
「はい」
それ即ち曲折を経て大神の指導に心の折れそうな女神へ、青年の差し伸べた手が『新メニューの共同開発』。
これこそも"室内で出来る穏便の交流"と、
「ですが勿論、これも貴方さえ良ければの話で……差し出がましくも、『その親子の真似を通じて何か貴方に得るものがあれば』と思ったのですが——」
「!! ぜ、是非とも! 是非に——お願い致します……!」
「"——"」
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