『女神サーの姫は彦?③』
『女神サーの姫は彦?③』
それは、高位の三柱に意見を棄却されて縮こまるレイママへ——地母の彼女を少なからずに憐んで同情していた青年の手前。
「
「——"!!?"」
大神の横で怪訝に眉根を寄せる緑で、それでも命令への追従。
重ねた掌を
「ちょ——ちょっと待ってください!」
「……
「い、いや……だって……!」
「青年が『魔の手から
「……」
よっては青年女神のルティスで、己を『
その魔王の眼前に立ちはだかる"
「……その剣は
「案ずる事はない。"斬り付ける物"でなし」
「……」
「ただ其処まで
「……」
「"王たる神より授ける聖剣"。その何か『許しを与えるのに相応しいか』を試してやろうと思い」
「——"!" そ、それでは、"この身に
「
「——ま、待ってください、レイママさんも……! それにしたって今のような
だが、意を挟む青年だって曲がりなりにも『世界の創造を担った
実際は心で震えていたとして、それであっても"
「"本当に大切な問題"だからこそ、知者の多角的な意見に検証が必要とされるのです」
「それは——そうかもですけど! けどそれでも他に、もう少しやりようは……!」
白黒の少女で
その
他者への心配では高位らと平伏す者たちの
『……何も此処で「再起不能に
『"変な嫉妬"みたいなのは後にして下さい。後でいくらでも付き合ってあげますから』
『……ふふっ。そうして、"この
(こんな状況だ。そんなに意味はなくても取れる機嫌は取っておこう)
そうして、アデスへ許しを求めた碧眼の憂いが『仕方なし』と溜め息の返事を受けてから。
場を仕切り直す容認も得て、圧を受ける女神たちに慮る行動。
次で先ずは『気休めでも腰を落ち着けられる椅子などを用意せん』と——助ける美神の指を差してくれた先で、長椅子も目に入った緑豊かな近場の公園へと皆を案内で先導する。
『……まったく。我が弟子は』
「はい。アデスさんはレイママさん達から少し離れて座ってくださいね」
今なおに不貞寝しているラシルズは漆黒の
また神々の話す場として市中で
「当然、疑問があれば私にも傾聴の用意はある」
「『世話役として
位置を変えた其処では疑似恒星の日も受けて、深緑の映え。
また合成された小鳥の
その整えられた清澄の空間で天井に
『——しかし、宜しいのですか?』
『?』
『「青年にとっての母」とは、
『……それは……』
"
『……「実の母親」とかで煩くなければ、何よりその立場によって相手が喜んでくれるなら注意する程のことでもないと考えているので……はい。その辺りは大丈夫です』
『……』
『心配して頂いて、有難う御座います』
『……そのようではありません』
そうして、以前の怯えきった様子からも『頼りになる相手』へは少なからず『母性』や『父性』のような、『包容』や『安心の護り』を求める傾向にある"
『……ならば、残る重要は"両者で円満"の筋道』
『仮に青年があの
その"親のなく寂しい事実"を既知とする原初の女神は若い子を案じて、しんみりと。
『しかし、「どうしても」と言ってくだされば、あくまで"興じる"などで形式的にも私とて件の役は担えるのです』
『?』
『また千や億を譲って美の女神もいて、単に見目を問うだけであれば、私でも背丈や胸で……"
『ただ「常時その姿でいろ」とせがまれても、"今の私が
『……アデスさん? 何か話が脱線してきてませんか?』
暗い瞳の少女は先からの流れで聖剣を肩に担ぎながら『それでも特に理由のあれば』と、青年の願望を再三に確認せんとする。
『……"この私では不足"なのですか? よりを言えば「私」と「あの女神」の"
『え、えぇ……"選んだら選んだで問題がある"やつじゃないですか……?』
『はい。私でなければ"嫉妬"。私であれば「見下げてやるな」と"
『けれどならば、明確に答えられずとも「貴方のような者へ相応しい柱」とは、「今回の事例に於ける最善」とは——"渦中の青年ではどのようにしたい"と考えますか?』
『……きっとレイママさんも「母親を象徴とする神格」として生まれ、彼女なりに"その苦悩"があるのだと思います』
『……』
『ですから、あそこまでを言うなら可能な限りで自分も"その解消"? "晴らす"? とにかく何か"手助け"になれたら、「それが一番」だとも考えているのですが……』
『……ふむ』
『ただ自分でも、ああいった形で接してくれる方とは「どれくらいの距離を取るべきか分からない」部分もありますので……どうしたら良いのでしょうか?』
『……"好意を無下にする気は更々なく、しかし付き合い方の分からぬのが正直な所"、と』
『……はい』
こうして認識の擦り合わせが済んでからは、自分は勿論に"何より青年にとっての利"となるかで判断しようと。
少なくとも"断固拒否ではない軟化の答え"も大神で見え始める。
『……ならば、貴方の意を汲んで願いを部分的に受け入れるにしても「真に相応しい者」かを確かめんと——やはり、"
『試練?』
『なに、簡単な状況設定で
『そう。何よりは"青年にとって最も身の落ち着き"、"成育を助けられる者へ"』
『こうして"適任の可能性の高い役者"も揃っていることです。
(……やっぱり何か主題が変わってない?)
経過した時にして瞬きの数度に終えられた秘密通信では、場の支配者たる大神からの決定事項が『今か、今か』と指示を待つ女神へも通達。
「ならばそして、我ら
「——"!"」
「試される内容は"我ら場を発つまでの貴重な半日を使って時の共有"。『自然体の逢瀬』で以て危険や不純にならぬかを神の眼が監視させてもらおう」
「! 御意に……!」
「結果として認可を下ろす場合には『関係の監修済み』と『正当性』を示すため、魔の王よりの証明に此れなる
「大いなる慈悲に感謝しても——はっ! 我が身で
仮に『合格』なら"青年にとっての良き友は増え"、『不合格』なら"
また『青年好みの集まっては丁度いい』と、"深い交わりに可能性のある神"を近くする今日に"不純な交友"へは釘を刺す牽制の意も兼ねて。
『そして、なれど』
『私の青年でもこの機に乗じて魅力的と思う女神を騙すように
『……重々、承知しています』
『宜しい——と、言いましても、そういった点では貴方の誠実性を過去の言動からも大いに信頼しているのですから……
『はい』
『大神との約束です』
更にそれら容貌で麗しい面々に『青年の関心の
「それでは、只今より——"神から神への試練"を開始する」
けれど、結論から言って。
地母神レイママの目が輝いて期待する自己実現の通りには——そう易々と神であっても大神の試練は上手く運べるものではなかったのだ。
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