『vs古き女神たち⑧』
『vs古き女神たち⑧』
そう、双方の陣営で参加していた女神の気配が消えた。
「"!"」
共に女神の『ルティス』と『ウィンリル』という二柱が脱落したことを残る各位が通信に知らされ、されど今尚に続く戦場。
「——"
今度こそは脅威も去った若者たちへの支援が不要となり、余裕の増えたアデスで瞬間——腕の交差に強まる力。
「——く"……っ"!」
「っ、っ、、————! 〜〜ッ"!?"」
「……っ! 天光の、女神——」
重みも増す空間圧で踏み
その敵へ引き付けられる様を横目に視認していたグラウが天の寵姫へ『己の手を伸ばすべきか』を迷った隙には遅い。
「……くっ……おのれ! 女神、アデ——」
「"——"、"——"、"——"、"——"」
無言の神、重ねる銃声。
片手では"とんふぁあ"として腕に添えていた長物を前後に反転させ、もう片手では直接に触れずとも細首を鷲掴みに押さえ付ける黒竜装甲。
「——…………」
寡黙な少女の形は輝きの顔面に近い的へと目掛け手早くに撃ち、熱の障壁を突破しつつ銃弾を叩き込んだ連射。
"真の暗殺者"で、冷淡に。
的を抜いては宇宙の重さを載せた
「……"残るは貴方のみ"となった」
「……そのようで」
因りては他所の戦果と連動して一対一に変化した場で向かい合う極神たち。
グラウの方でも配慮すべき味方が落ちて不在となった今で嘆くことなどなく、寧ろ一層と燃え盛る蒼き闘志の炎。
「"————"」
「ッ"ッッ——"!!"」
されど、一時の静寂で口火を切るのは暗黒。
続く勢いで『残党の神さえ引き寄せて潰さん』とする禍々しき装甲の腕へ——光でも突き出す鋭利の
「「"!"————"/"————"!"」」
周囲の構造物と爆ぜて更地から飛び出す神と神は『弱らせん』との応酬。
互いに加減していても勢い増した魔王では"破壊の権能"で無敵を弱められた所に光の力が隠していた頭部機関砲や腰部小銃の発露を撃たれながらも——怯まぬ超重の進撃が
「「——"!"」」
そうして、空中での激しく火花散らす熱戦。
一旦に弾き飛ばしあっての着地が
「…………」
「…………」
両者に武装で弾切れの音を響かせたからにはアデスで平たい
着色の要素は乾燥の空気に載った
「「…………」」
静けさ、
されど、
漂う緊張で風も日も何処か質感さえ
辺りで構造物は人の住居を模しながらの"無人"であっても
空いた
「……
「……
「ええ。有限の割り振りで不慣れにも
互いに機関銃や小銃や狙撃銃で弾倉を取り替えながらも気安く、掛け合う玉声。
「互いで自明には『
「では、隠れることもそこそこに『我々で身を晒して決着までを撃ち合おう』と?」
「
気安いながらも敵が
時に冷酷無比であって、けれど時に
「
「……」
無敵を張り合うのも程々に競技の原点に立ち返っては『正面から撃ち合って終わらないか』との提案が暗黒から。
「……隠し立てせずに言って、"折角に頂けた
「……」
「"その貴重を終わりとしてしまう"のは少し、私で"物寂しい"思いはあります」
「……」
「……ですが、"焦燥を楽しむ日常の外で
「……」
「やはり、
対しては同様の考えへ乗り気のグラウ。
その色良い返事を鎧の内から述べられる間では——
「はい。私でも構いません」
「……決まりですね」
皆が意を同じくして、直ぐには。
「"
両者で頭上の空を撃つ弾丸。
されど、直線である筈の弾道は光で跳ね飛ばし・暗黒で引っ張り、動きの読み辛くも神秘の銃撃戦が御業。
「——くっ……!」
その
撃ち、脆い
「——触れては、光でも身を呑まれますか」
防御の触手動員と同時に少女の影から地面を伝って溢れ出す色の見えない
「——むぅ……!」
「"——"、"——"、"——"!"」
炎の作る壁を割って装甲付きの
『"
沈ませては、自身で弾が少なくなっても魔王。
今回は単に『足手纏い』と味方を使い捨てて構わぬ
首輪の効力で控えめにも体重が世界一の女は薄めの神秘障壁を連続蹴りにて何とか相殺——したからには的を狙って屋根上からの狙撃が伏兵のイディア。
「"女神イディア"」
しかし、イディア。
当然に潜伏を予測していたグラウで立て耳の放つ波動が迫り来る弾丸を破壊。
また索敵を兼ねる波の反響で位置を正確に探っても、銀河さえ一歩に収める神は。
「? ——"!!"」
「"動かないで下さい"」
「——ぁ……」
自身も良く知った顔の狙撃手を、位置替えの為で素早く屋根から降りた先で背後に待ち伏せ。
今は敵として静止を聞く訳もない美神の抵抗に持ち出す銃を弾いてから、流れる動作は的も容易く粉々とし——けれど、今の
「……! これほど正確に——"未来に攻撃を置いて来ますか"!」
移動の動きで遅れを取っても井戸の底に叩き落とされていたアデス。
空となった機関銃のスカして鉄を打つ音を聞き付け、即座に。
美神を隠すのに与えていた自身の力を分離から"優先の重力源"と変えて——その側に来るであろう敵の位置を予測の『時間軸に基づいた偏差射撃』が此方も秒の誤差さえなく的確に来る。
「"時空についても
因りて探知器たる蒼炎の輪郭が弾丸の回転に揺らめいた神で、咄嗟に身の変えた角度が強靭な獣の耳で射撃を受け、阻み。
残る片手、井戸に撃ち込む機関大回転が此方でも弾切れの音を知らせても。
「——っ"!」
既に放たれた神速を井戸中のアデスは数も最後で虎の子であった小銃を"弾に寄せる性質"の盾と変えて辛くも防戦。
またその破壊されての爆炎の最中。
休まぬ次では徐に突き出す拳で開通の
「"そうで——なくては……っ!!"」
だが、対抗の術式で逆回転の矛を真下に突き刺すグラウでも——神々に造られた砂の嵐は忽ちに千切れ飛んで霧散に解散と相成った。
「——女神アデス」
「……今ので弾の残りがなくなってしまいました。どころか銃さえ失いました」
「……ふふっ。大変に申し訳ありませんが私でも銃を持つ手は軽く。"
してからは、その僅かな時でも起きて消えた
即ちの
「では、互いでどうにも、これ以上撃つ手がなくなってしまったようですが——」
されど、両者の
顔を向けずとも神秘的な輝きの眼中には——"脱落した美神の落とされて残した拳銃や小銃"へ。
小休憩的に話ながらも暗黒で既に
イディアがリタイアして銃や通信機器を扱う資格もなくに終戦まで伏せていても——でも、側で散らばった"この装備は使える"。
「「——"!!"」」
故には、駆け出す両者で光の方が秒さえ要らずに足は速く。
けれど、暗黒卿の引き付けが敵の辿り着くより早く物体を先から持ち出そうとして。
「くっ————」
「ふ——っ、ぐ……ッ"!」
その油断ならぬ術者を吹き飛ばす指からの光線。
またそれでも身の押される大神で銃は自ずから追従するように動き——それも神の光速が追っては『先ずは本体へ』の権能同士が潰し合い。
数少ない貴重な銃の転がる様を近くには、"壊さぬよう"にも加減をより繊細としながらの奪い合いが
引き続き謎の火花も散らして、仮に銃を手に出来たとて無駄撃ちの極力に許されない終盤で『暴威の動きを縫い止める』のもより重要となろう。
だから玉体そのもので進み出る極神同士は邪視や盾や触手や装甲や鎧で、己という武器の
「……ならば——」
それでも課される力の制限へ眉根を寄せながらに吹き飛ぶ大神。
多少の熱を覚悟で頭巾の中より露出させる眼差しが武装神格の爆熱光輝を捉えては——"敵の放つ光はそのまま
「"——"——""『!』""——"——"」
だがその神聖直視に痛みながらも、炙られながらも眼圧に限りなく。
神と神を取り巻く世界に起こるのは原初の神が知り得る秘密で超重による範囲限定——物質に命じられる『停止』の空間。
「————」
「……本当に、手間を掛けさせて——」
其処には風もなく、物の動きもなければ。
因りては"風化"や"酸化"に代表される『老朽』の概念さえ一時的には大神の定めで存在しないものとされて——なれど、"風のなくとも揺らめく炎"。
「————、"、"、""」
動作の止められた世界で神の兜——"従わぬ自由で開閉機構が牙を剥く"!
「、"、"——"!!"」
「Waooooooo"o"o"o"o"h!!! ————Gurrrrr……ッ"!!"」
響くのは
放つ音で突き刺さるような波が『ズタズタ』に大神命令を時空で引き裂き——魔術の破壊。
緩和される重みでは更に吠えた神で後ろの背部から
光が尾を引いて宇宙に回る日輪の軌跡を背負うかの如く。
蒼炎、色味を薄くしての
"地上に現れた日没"のようにも身を沈ませたかと思えば、既に動きの鈍い暗黒へ『我こそは』と——燃える四足が大気を駆け抜けて"到達している"!
「——Bow"! wow"! ッ"ッ"——ガウッ! グガァッゥッッ"!!」
迅速の
叩き付けた獲物、倒れ伏す少女へ。
獣の始祖は不可視の結界を
「——ややも驚かされたぞ」
「Gaw"!! Bow"!! Grrr"r"r"r"——!!」
「突然に凶暴となって——大丈夫なのか。女神」
「ガウッ! ——あ。大丈夫です」
「ふ」
「心配をお掛けして申し訳ありません。ですが『全てを解き放った』ということでもありませんので、
「ならば、良い」
「仮に『全てが脱ぎ外れてしまえば問題』でしょうが、今でそのようなことも必要はありませんので——はい」
対する暗黒では自立稼働する頭髪の防御——"なんの追撃"、"なんの
炎熱によっては青年に編んでもらった白が焦げて形をなくすのを惜しみつつ辛くも的以外の部分で被弾するも『何がこれか』で絶技。
掌に開けて見せる渦穴で何とか顔の上に向かう銃弾を吸引しながら、格闘。
「つまり、大丈夫です」
「ならば、ならば」
「? 大丈夫です——」
「ならば、"代わりに
「——"???"」
それでも苦しい大神で必要なのが、やはり"美神の残した拳銃"。
今やそれは弾き飛ばし合った両者の間に落ちてあり。
無敵性を無敵性で
「遂には
極まる間もなくが射撃の
競技の記録には情報統制をしながら、荒く
それでも、互角に等しい光の
「——いきます。"
「"鎧を"!? ——あ、でもであれば安心しました。きゅ、急に何を言い出すかと思えば、いえ、別に他の世界観では『皮膚を
「"がはっ"」
「————"女神"!?」
最後の一押しには『心理戦』。
未だ
揺さぶっては光速の早口の唱える間に、装甲を『えいや』とあざとくも脱いだ暗黒で自身の腹に突き刺す拳が——
「めが——」
「"————"」
「——"女神"!!」
その『空洞で起こる崩壊』から格段に高まる"特殊の重力"は『少女の姿』こそが
"
"通常なら惑星の一つなど一瞬にして
ならば、遅れて漸くに
「「"————"!"」」
突き付け合う両者で引いて——
重なっても響いた銃声は二つ。
軽く愉快な掛け合いの最中であって、それでも口火を緩めていなかった戦の女神でも狙いに気付けば、神速の同時に。
「——…………」
此処でも誰より早く決着を知った鎧。
戦意の輝きが喪失、からの暗転。
照れで極々僅かでも首を傾けた女神で逸れた軌道に——撃ち放たれた銃弾が軌跡を描いたのは"的のすぐ真横"であって。
「……"当初から一騎討ち"であれば勝負は分かりませんでした」
「……ご謙遜を」
「事実です」
「……身に余る——勿体なき御言葉」
「
「……」
荒野に立ち尽くす二つの柱で最後までに的を残した者。
"勝者の暗黒"から、"加減に努め果たした敗者"へ——
「我が真実として貴方は——"自らの支える
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