『都市を曳く①』
『都市を曳く①』
容赦ない日の光、照り付ける殺風景。
("…………")
それでも、色の鮮やかなるが世界。
宛ら
その対比でも反射が際立たせてくれる
「"飢えた
その乾いた大地の一地点で対照的なのが
「……」
「対処も、"貴方の望むまま"に」
「"——"」
つい先刻までは担いだ棒の両端から
顔を隠し、青年。
選択の自由を示してくれる恩師の声を背に感じながら、向き合う己の先では
「「"————"」」
大気を揺らして、唸り声。
黄金の毛に混じる青で拡大する輪郭。
そうした
(——"落ち着いて")
内心では自他に語りけるよう。
有事に備えた恩師の見守る側で明度を上げる青の
神の
そうしては発奮に揺らいでいた獣の瞳を表情ごとに落ち着かせ、
「……よし」
身を低くに歩み、寄り。
「よ"——、し」
差し出した手で
続けて飲ませる水も飼い猫の舌で含ませるよう、喉奥からは猫撫で声も聞こえて獣と穏やかに。
「……やっぱり砂漠にも色んな生き物がいるんですね」
「"厳しけれど窮屈でない空間"には、そうであるが故の魅力もありますから」
争いなくに示したのは望んだ景色。
透き通る空ではなく乾燥の砂地にある水の化身。
暗い青色の柱は『オアシス』の立場も兼ね、複数に配置した
フンを転がす虫や熱に強い蛇、後頭部に放射状の
「……"競合相手が少ない"、のような?」
「それも大きな魅力の一つでしょう」
「……確かに静かな見晴らしが
果てには今さっきのよう"集まる獲物"へと獅子さえ牙を剥き出しとしてきたが。
それら命を背にして
各動物体内の物質循環にやんわり干渉しても、作り出した中立地で其々の捕食をさせず。
「あの鳥は……
「はい」
「名前は?」
「……近場では『
「蛇を……食べたり?」
「主食ではないようですが……時には、そのようで」
細かく調整した水も餌も、肉食や草食に大別して与える温情。
考えなしに人が、特に『素人』が野生動物へ『餌やり』などで軽率に干渉しては『狩猟能力の喪失』や『危険に対する警戒心の低減』などが後々で悲劇を生むこともあるだろうが——彼女、
"人の心があっても玉体に権能を有する神"なれば。
野生に住む者たちの喉を潤しても『誰かに何処かで与えられた』とも恩恵に与る各位で認識できぬ改変が、今の奇跡的な光景を現実のものとしている。
「……
「用途は」
「『絵を
「
故に狩猟採集の方法を忘れて腹を空かし、また人を恐れぬ熊が里へ降りて来るような危険性を彼女は増やさず。
虫だって蛇が、蛇だって鳥が——鳥だって獅子が近くに居るというのに水浴びをする程で和やかな時空。
今は神の集う祭り、その旅の途中の一場面。
冠羽が特徴的で面白い猛禽の姿を、暗黒神によって魔眼の見て撮る——撮影。
その場で現像もしてもらい、懐から取り出された実物を頼んだ青年で受け取る一幕。
「有難うございます」
「今回も絵の出来上がりを拝見させて頂ければ、実に安きものです」
「……評論は、お手柔らかに」
青年では美の女神と不定期に行っている『
翼の内側に水を掻き込む鳥の写し姿を
・・・
「まさか砂漠の飢えた獅子までを
「何か感極まって、涙も出てしまう。こんな……こんなことが
青年が水と食料を配り始めての暫く。
砂丘の一つを上に離れた位置では日射の脅威に備えて薄布を頭に巻いた行商人。
恐る恐るで丘の
「心も洗われるようで……良かった。優しき者と出会えて」
「いえ。此方も目的地までに荷は降りて、足の運びも容易くなりましょうから」
「だとしても、余り物とはいえ水の恵みは本当に助かった。これは正に天からの見守る者と旅の守護神……出会いの幸福は
その互いに旅の途中で出会い、水を配る青年と役割の分担で聞き込みをしていたのが人に扮する美の女神イディア。
「……だが、そうした神にも認められるだろう殊勝の者たちで、本当に『あの都市』へ向かうのかい?」
「はい。
「……今、我が身の立ち寄った
「……"不穏"とは?」
「どうにも『土地の取り扱い』について揉めているようだった。聞けば『古代の神域が家の下』、『地下に埋まっていた』ことが分かって『立ち
「……場所は此処から、見えるあの山に向かって間もなくで?」
「あぁ。だから、今に訪ねるのは『よした方がいい』と思うんだがなぁ……」
「お気遣い有り難く。けれどそうした問題を見逃しては我々でも得意先を失いかねませんから。『様子見』程度に」
「其処までを言うなら
「今日のこの感謝は語り継いで忘れない——どうか達者に、息災に」
仲間と似た暗色の装いは問題の起きている詳細な場所も聞いて確かめ、疲労に効く水との交換的に情報を入手。
話の終わる合図では眼下の青年に向かって手振りが合流を促し、次の目的地とする噂の都市へと女神らは遠征の足を伸ばさんとする。
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