『期間中の活動方針について②』
『期間中の活動方針について②』
「では、期間中の大まかな方針は以下のようにて、決定とします」
「「"——"」」
「以前に話していた『食糧や水の配布支援』を移動しながらの基礎とし、各地で集まる者たちからは時々に話を伺う形式」
「そうして多く命の
「「はい」」
斯くして、覇を競う拾信の祭にて身の振り方を決定とした女神三柱。
拠点の大広間から繋がる新設の扉の先では新たに『製造』や『販売』で使える空間を暗黒大神は忽ちに作成してみせ、案内された青年らで
「時には形から入るのも心を切り替え易く、"如何にもな移動販売"を行いたい場合も此処を自由にお使いください」
「我が友! "仕切られたこの空間"も何か『秘密基地』のようで胸が弾みますね……!」
「は、はい。それらしい雰囲気で……所謂『キッチンカー』や『フードトラック』と呼ばれるものは、その"特殊な乗り物"の感じも不思議な面白さがあると思います」
「確かに『
その料理に必要な機材や道具を揃えられた『
虹色の髪で黄や橙の朗色を濃くするイディアで、宛ら"目にするもの全てが楽しく思える"ような『好奇心旺盛な少女』の側面。
歳で千を越えて"あどけなさ"も兼備する彼女のお陰は窓を閉じてからも空間に光源をくれるほどに——"新しく
「……そうしたら、作る食べ物は広く親しまれる『パン』の形式で主要な献立も用意するとして、種類は"新しく開発"もしなくてはいけませんね」
「基本として同分野での裁量は我が弟子に任せます」
「……でしたら、定番の品目として五つほどを既に作れるものから選定して……始めは少しずつ、
「
「……はい」
大神恩師からも計画の御墨付きを貰い、安心を重ねた青年でも
「……そうと決まれば早速、先ずは練習がてらに作れるものを作ってみようと思うのですが——」
「食感に味や栄養素なども、"どの生き物が摂取しても大丈夫"なようにしたいのですけど……また、力添えをお願いしても?」
「……まったく、青年は
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「——ほぼ満点です」
「水は勿論にこの全てが青年の賜わしてくれた手製、味わい深き情報」
「因りて私にとっては濁すよう言うこともなしに……小遣いは足りていますか? 増やしてもよいのですよ?」
「い、いえ。現状でも足りてますので大丈夫です。そんなに貰っても使いきれませんし……」
「己を
その後ではイディアにも調理を手伝ってもらい、アデスへは夢のような栄養成分の実現を窺いつつ暫くの生地を捏ねても——。
また焼いても——自作を味見してもらったり。
「そして、我が友の基本的な骨組みとなる考えは
今では『卵』や『納豆』、『玄米』や『乳製品』に『
既に女神たちの完食した定番の献立は『あんぱん』、『クリームパン』、『カレーパン』、『焼きそばパン』、汎用性の高く自由に使える『食パン』など——どれも試験的なこともあって極々単純な作りに思えるが、それ故に
「私でも味わってはその設定を守り通せているように思いますから、暗黒の女神も保証した通りに商品としても申し分はないでしょう」
「有難うございます」
青年で『社会的な労働が難しい』と知って以来は恩人たちのためで他にやることもないので趣味の料理に一層の時間を割き、故に幾つかは既に商業販売も見込める領域へと到達していた。
よって今後はそれらの改良を怠らぬままに、この先でも見て取れるだろう多様な
「それなら次は『販売』や『包装』などでも意見を頂きたいと思うのですが」
「勿論です。知恵をお貸ししましょう」
水の操作によって商品を囲む透明な包装紙の案を己で示し、直ぐには実物も用意してもらう神秘。
実際の販売形態などは『接客』も色々と怖い事情があるので原則は先達の助言に従うとして——女神たちの交わす議論は
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「……"普通に遊んでる"みたいな感じがするんですけど、一応は競技中なのに、こんな……『のほほん』としていても宜しいんですか?」
「宜しいのです。先述したように私が
次には、機体から飛び出して。
本や資料で学んだことだけでは実際に世の動きが不透明な部分もあるので、細部も詰めたい今では実物のパン屋の見学。
陳列された商品は勿論に内装や販売形態なども見て『自身の研究・企画開発にも活かせるか』と、昼時は
女神らで足を運んだ其処では『研究用に』と流れで一品を買ってしまったものの青年で食物の全部を食べられず。
「再三に言うよう寧ろ我々で青年が遊んで楽しんでくれますと嬉しいのですから……作業に区切りが付けば息抜きとしても時間に『遊びのゆとり』を持たせましょう」
「それならそれで、気楽に出来て有り難くは思いますが……」
緑あふれる公園。
長椅子で共に座るイディアに『甘いチーズ』のパンを食べてもらっては若者たちで味覚の同期中。
驚かないように希釈された風味や食感の情報を大神の力によって青年が送信してもらう一時だ。
(……濃厚な甘さで、美味しい)
(でも、こういうのを自分で作るとなるとちょっと"冒険"な気もするから……次に増やすのは無難に『ジャム』や『メロン』の辺り……?)
また風景には
そうした食物の行先一つを見て『やはり落としても問題のない素材にするのが無駄もない』との得られる実感。
故に『最悪は捨てられても誰かしらの益に』、『放置されてもそれとなく養分となるよう』——『何よりは誰の害にもならぬよう』と"試行も続けねばならぬ"と心持ち。
(……普通は
「……」
(そうしたら基本的に、俺が考えて決めるべきは『味』や『食感』といった"色んな需要"に応えられるように、献立で種類とバランスを意識することで——)
"皆を幸せにする方法"などは未だに皆目で検討も付かず。
よって此処で『食べられること』・『美味しい物を好きなだけ』は多く広くの『"食事を必要とする生命共通の普遍的価値"』と捉える青年も、その不足しない最善に至る道筋を
「また『誰かのこと』を考えていますね」
「——あ……すいません。また何か話を聞いてませんでしたか?」
「いえ。ただ考え込んでいたようですので、一応に心配の声掛けを」
「それは……はい」
「恐らく"私も含んだ他者"についてでしょうから、取り立てて責めることもしませんが……」
「……」
「それこそ女神イディアのように『
「……?」
「そういった"
「悩みながらで『幸福探し』も私と一緒に努めましょうと……今は、それだけ」
この世界で永久機関は既に成立してあるから『食物の循環連鎖』や『労働』なぞは茶番に等しく。
けれど、『若者の姿勢も虚無にあらず、これまでの事実として他者を想う見事』と恩師に温かく見守られる中で——そうこう日常をしているとの、"異変"。
(——"!")
感知。
視界の端に収めていたトリケラの近く、雨でもないのに大粒の落ちる波の調子。
「……我が友? 急にどうされました——」
故に即座で非日常へと切り替わった気は、直ぐにも立ち上がった青年で視覚でも補足した『涙を振り落とす人の姿』へと向かわんとする。
「あそこで人が——"子どもが泣いてませんか"」
「そのようです」
「なら……"自分が行ってきても"?」
「ええ。"我が弟子の
「……っ(——まさか、"俺にも何とか出来そうなもの"を選んで……?)」
「貴方が向かわないのであれば『魔王の私』で対処に当たりますが……ついついに"威圧"をしてしまうやも?」
(でも、だからってアデスさんが
「——兎に角、行ってきます!」
「っ! わがとも——私も付き添います!」
それは『手始めに丁度よく』、パン屋を本格的に始める前でアデスが青年に"
その主は、泣きじゃくる少年少女から。
"水道管に詰まって出られなくなった
「——"鼓動が聞こえる"。血液の循環に、酸素も取り込めているから呼吸もまだ、大丈夫……(早く来れて良かった)」
「安心してください。これでしたら自分でも何とか助けになれそうですので——」
「そうと決まれば早速——行ってきます!」
そして、流体化で直接に
進入する中で思ったよりも
その救助を果たし、
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