『開幕—競覇拾信祭—⑤』
『開幕—競覇拾信祭—⑤』
一堂に集いし、
「「「"————"」」」
各大神で自他の顔ぶれが揃ったのを見るや否や——鋭い目配せは『最強としての更なる
「……息苦しく、面倒この上ないのですが……似合いますか?」
「……」
「"我が弟子"」
「……あ、え——は、はい。良くお似合いだと思います」
「ふふっ……では、少し行ってきますね」
"装着と解除の何方も三つ同時でなければ不可能"のチョーカー型の『拘束具』を身につけ、宇宙の壊れる出力を制限。
極まる神聖の場、誰にも見える空で天体を初めに宇宙の縮尺は変化。
大神の力が星の形さえ曖昧と改め、黒いような白い、青いような神秘幻惑の天体色に包まれた世界で王たちが儀礼用の冠を被りて開幕を誓わん。
「此処に集いし
「……」
「……」
「古代や中世に、近代や現代を生きとし生ける全ての——"面倒"だ。全てひっくるめての『
ガイリオスの側からディオスは瞬間に離れて立ち位置を変え、左右に他の二柱を臨む其処で手を上に振って『上がってくるよう』の仕草。
「"神秘たる未知の消失"。それは、"新たなる全知という神の誕生"」
「また"全知が不在"となっては、其処に"またも未知の領域は展開"され——それら連鎖の、"終わりなき
「諸君らの前に今——『
順を追って進み出た其々で先までなかった足場が表出と同時に薄く光で浮遊し、会場で大神の位置関係が描く正三角を狭めるよう寄り集まる柱たち、足取り。
「その神とは『寛容』であり、『狭量』でもあり、故に『不平等』として『平等』でもある」
「……」
「……」
「理由の貴賎や有無に関わらず時として全てを与え、一方ではまた全てを奪う」
語りを主導する神王ディオスで明かすのは、大神各位の掲げる"幸福の形"であった。
「『無限』・『完全』・『よく分からないので全てを知り尽くしてから判断しよう』の——我ら大神、"其々の幸福論"の前に」
「"落ち"は余か」
「未知に立ち会って感じるのを『好奇心』や『恐怖』で大別すれば、後者の"恐れる"という、それ——」
「己の常識が通用しない相手へ、その受容を難しく思っての『排斥』に繋がる心理を一つ『機会から変えてしまおう』というのだから——やはりは王の認める所、偉大の幸福論」
定位置への到達が足を止め、口を動かすことへの専念が神王で更なる語調を引き立てる。
「それら幸福の
「「……」」
「その前にして、願え——"願え"!」
「皆で心の、"己の欲さんとする所を"!!」
そうして、大神からの宣言が
「よって宣言する。此処に
「
同じ会場中心の一地点を見遣った大いなる神らで掲げる指先、其々の力。
最もの速度を持って輝ける神は『三つの光輪』の中軸に『一本の柱』を通して『王』と。
また同じく『三つの数に神聖な意』を持たせる神は『
最後に慎重かつ物静かな未知の大神が斜めの左から、次いで右からと指を振り下ろして描いた『二つの斜線』を交差させる『X』で——此処に『各位の
「「「"——"/"——"/"——"」」」
その浮上して空中で集いし様は『
混ざる
「そうして! お前たちは幸福だ!」
「今に目覚めては神の! "世界の恩恵"に与れるのだから!」
ならばして大気の振動が引き起こす観衆への
盛り上げて、『ならば早速』と——
「しては祭りのメインを前、"景気付け"——いくぞ!!」
為されて、手始めの恩恵実演は——光の放射。
期間中の催しによる事故を防ぐためでも展開した領域効果の実証。
星の生命を標的として感謝感激の
(まぶし——っ……、……、、"?")
回復に然したる手間いらずの神を除いて。
開いた掌から上空で弾けて、誰も反応できぬ間に空を埋め尽くした無限触手の如く光が降下——神の撃、容赦がなければ通常は即死の、それ。
しかし、光の速度が一瞬の直撃は既に視界の晴れた者たちで少し痺れる程度の感覚からは、"肩凝り"や"腰痛"といった——。
"神の目線からは生命維持に然して影響を及ぼさぬ範囲"で、持病や不調の諸々を——解消。
「——な、なんだぁ!? 急に肩が、"身が軽い"……!」
「久方振りに見えた、今のは……"光"? ——そ、そんな、"目が見える"!? 寧ろ老眼鏡が邪魔だっ!!」
「"凄い
「フォッハッハ」
「う、う"ォ"ォ"ォ"ぉぉぉ!! 我らの王が神! それは『神王ディオス』!!」
「くるしゅうない——ぞ☆」
「「「「「ウオ"オ"オ"オ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォォォォォォ——!!」」」」」
ほぼ全ては"霊魂の祖たる神"よりの激励。
謂わば『ツボを押されて』大いに喜ぶ人間たちで感謝に讃える声が
「「「「「"神王"! "神王"! "神王"! "神王"! ————!!!」」」」」
今に花鳥だって全盛期の到来に踊り、歌い——人目に付きづらい菌的な微生物も各所で躍動。
ドブ川のミジンコだって、天にも昇る気は胸の脚から身動き——。
例え今の此処が定められた箱庭だとしても『踊りたい』衝動が水の中で——四角を描くボックスステップを踏み始めた。
「そして、
「許される限界間際の
そうした吾が子らの喜ぶ様を観測しての、破顔。
長い銀髪の大男、調子良く高らかに太い玉声を続ける。
「で、あるならば!」
「余計な怪我のないよう準備もよく、手っ取り早くに我ら神の参加する此度の"競走"についてを説明しよう」
「——戻りました」
「お、お疲れ様です」
「覇者では世界に示す己の可能性。大神さえその言葉には耳を傾ける"更なる権力"を勝ち得て、吾のような
「開催期間は大神に
「事前に各地へ『願いを用意しろ』と言った筈であるから、それを神の各々で適切と判断する形に叶え、成就によって得られる"信仰を集めてもらう"」
簡単に概説を述べ、指で神王自前の照明が指し示すのは——透明な
「勝敗に繋がる判定には、このシステム『
「また今回の"信仰心を測定される対象"は、神とその他大勢の関係性からして
「考え事が得意で、いつも
謂わば候補者別に自動で仕分けがされる『投票箱』のような測定器を兼ねたエネルギー容器。
その一つを持つ大神ガイリオスから他のチームリーダーたちへも同型の物の設計図が音も形もなくに送られ——各自でも早くに生成を完了。
内で『∞』の表象が写る、それ。
容易く配られても『信仰』や『想い』といった
「一応に
(……
「原則としては加点方式であるが、あまりにも『あんまり』なことをすれば減点がされるようにもなっているので……視点を神のみならずで広く、多く持ちながら助ける相手のことを思い、行動するように」
斯くして、王が注意事項も述べては出発までの時間が残りで数分ほど。
「獲得を水増しするような精神操作・認識改変はナシ。あくまで情報統制の程度、要らぬものを辞退する程度に留めて」
大会の
また『常人には状況の俯瞰が難しいだろうから』と、この後でも歌って踊っての『
「身分を隠していても計測は可能であるから、後は好き勝手に神で——"暴れよう"」
それら説明も大方が終わった今で
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