『世界で最も自由な者②』
『世界で最も自由な者②』
「——連れ帰って内情を聞き出す前に味見だ! お前には
男性二人と女性一人の、三人の大人が囲んで一人の少女を詰める険悪。
「や、やだ……っ——」
「お前に選べるものねぇよ」
不運な少女は近くの村落から少しの遠出で薪拾いに来ていた者で、掴まれる長髪は灰を被ったかの如き
また全体の外見として
「"死にたくなければ大人しくしろッ"!!!」
既に片脚は腫れて碌に歩けず。
大声に驚く
まだ恋も知らぬ人の純情は今日の暴虐によって"永遠の傷"を負ってしまうのかと思われた——だけれども、気も沈むその暗所。
「俺のはもう
「ちょっとやめませんか。"
けれど、そう——これは"神話"。
昼も夜も何時だって世の闇に差す"光"はいて、"
「あ"……? ——なんだァ、テメぇッ"! いきなり現れやがってッ!!」
「まったく、話を伺いに来てみれば……
「——ぁ"?」
「性の欲とは確かに欲望であるが故に
「……」
暴漢の背後から通った玉声、薄暗い森を背景に
だが、当然として呼び止める声に振り返った賊たちでは『母親ぶる麗神』など知る
「俺たち兄妹に
「……まさか。顔だって一度も見たことないね」
三人の男女が『謎の乱入者』を訝しく見て警戒しつつ互いに顔を見合わせる呆れ顔を前。
創作物のような"助ける
ともすれば神は"信じて送り出した自らの子と実際に話す再会"を『心の底から嬉しく』思っているのかもしれず、その貴重な機会に際しての高揚らしき心が語調を活気に走らせる。
「「「……」」」
「……えぇ、えぇ。『◯◯負け快楽堕ち』しても、"落ちる
「『ん"ほおぉぉぉ♡"♡"! ◯◯◯◯気"持ちいいのぉ"ぉ"ぉ"♡"♡"♡"!!』——と言って、"崩壊の
「「「……"?"」」」
「何せそれだって"全知"、"全能にある"ということ。だから"そういった気分"であれば肉欲の相手をしてやらんこともなく」
「世界の最強・頂点に立つ・
「……こほん。そう言っての、結論」
「「「"……"」」」
「"今は他に優先すべき目的があって気分ではない"からして、"賊の吾が子たちで早々に
「……イカれてんのか?」
「"イカれ"だ」
「
「——ちょっと! また下品に言葉を使って! ちゃんとボクのお説教を聞いているのですか!」
「「「……」」」
「今のお母さんは『話をしに来ている』のであって、そういう
「これは"警告"、間もなくの最終勧告です。一応は貴方の"
「それに"アレ"が母親だとして、もしそうなら今だってあのデカ
「言えてる」
「だが違う。そんな訳はない。"実の親に興奮する筈なんてない"から、つまり——『俺が
だが、人外の神が思いを伝えようとしても話を聞かずの三人は更に有ろうことか"狙い"を装飾品などで身なりも豊かな美女と変え——捕まえていた少女を乱暴に木へと叩きつけて奪う順番を後に回すのだ。
「——"!" 吾が子!」
「はっ! 頭がおかしくても体は極上。いくらでも"使いよう"はある」
「だがこれ以上で訳の分からんことを言われても興が醒める。口は開くようにしつつ喉を潰して歯を抜こう」
そうして盛んな熱気は眼前の美貌にあてられて。
制御しきれぬ衝動が彼らを"無謀"へ走らせる。
「"待ちなさい"、『待たれよ』と言っているのです。"言語の統一"があっても話をする気がなければ——」
「うるせぇ!
「"嘘"など、そのようなこと——」
「
「信じられるのは『金品』だ、『肉』だ——『
先陣を切っての突撃。
長男と思しきが前に出す掌は肉身を揉みしだかんとする荒々しい手の振り、空気を切って。
「イカれは黙って揉ませ——」
下品で無慈悲の
だが、生身の人間が手を伸ばす先にあるのは——あるもの、それは"玉体"。
「……"今はそうした気分でない"と言っていたのに——残念です」
失意に浮かぶ空虚の顔が自らの子を受け止める。
「ろ——
「……残念です」
「「——?" …………"!??"」」
高位の神とは存在するだけで、存在そのものが防御にして攻撃——それ即ち"突っ立っていてもの
今の瞬間では剰え"極神の光輝"に触れて、掌——掌から全身へ瞬時に熱は伝わり、男は
「は——え……っ"?」
「——な、何だっ!? ……何が、起きたッ??」
「……言いませんでしたか——"無限膨張の
その人であった粒、今でも玉体の放つ熱気には触れられず。
粒子が自ら
「『
「人の言う
「往々にしては実態、"
「即ち只の
そう、"暗黒の絶対
「因りて
「……?、? なにを"、言って……っ"」
「『人の吾が子には荷が勝ちすぎた』のです」
時に『
「常日頃からの"温度にかける情"がなくしては、こんなもの。"粒子の結合さえ神は溶かす"」
「か、"神"ぃ……っ——お、お前! シヌゾーを何処へやった!」
「"肉体だった物"はまだ、ここいらに」
「"
「だから
「う、胡散臭い"宗教"の話なんざ、してねぇ! 小細工で『神隠し』のつもりだろうが、"神様気取り"でふ、ふざけやがって!"!"」
「眼前に立つは『世界の熱』と知れ」
「な、何言ってんだよ"ぉ"……! コイツ、さっきから聞く耳も、もたねぇ……ぃ"、っ"!」
「や、ヤバイよ……や、"
「あ、あぁ! ——やるぞ! シヌヨ!!」
けれど、敵意と恐怖で
「……"吾が子"」
「ぃ——ひ、っぃ、っ……!」
超常の在り方を前にして、理解の及ばぬ事象へ声にならぬ悲鳴。
また熱気に歪む大気では光景の屈折。
今だって背景の夕空で
「そして、どうあっても話を聞いてくれぬのなら……——"原初女神の法を借りて宣言する"」
「お疲れ様でした。吾が子」
「イキり急ぐなら"現世での務め"は終わりだ——"
逆巻く炎で周囲を満たす瞬間の煌めき。
上げる間などない悲鳴も光炎へと呑まれて。
「"葬送の時"」
新たに聞こえた女性の声や瞼の裏にも届く
続くだろう痛みに耐えて、けれどその来ない静寂に彼女が恐る恐るで視界を開く頃には——怖い三人の賊の姿などは影も形もなかった。
「——…………」
孤独に立つのは、王。
自らの"未だ知らぬ領域"へと送った三つに思いを馳せ、熱き
その銀の蛍めいては木枯しに乗って死者と同様に、光の粒も
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