『学知に触れる②』
『学知に触れる②』
場所は
勉強熱心な美の女神が『転機に際して学び直したいことがある』・『読み漁りたい』との気分で習慣的に足を運ぶ地へと同伴。
地上は色取り取りの虫に鳥にと生物相の豊かな様相で、その最中に突如現れては順路を整えられた"トロッコ"——上部を板で仕切られた内部には長椅子が置かれただけの簡素な無人の貨車に乗り、周囲で透明な
(——!)
"地下"へ。
「……この先に都市が?」
「はい。樹海の地下に築かれた都市。私も訪れるのは数年ぶりではありますが……道に変わった様子もなく。案内については、お任せを」
早過ぎず遅過ぎずの速度、心地よい風が撫でる顔表面の水。
青年の横では異彩の髪に付け毛を載せたイディアの美髪は棚引き、その手で抑える仕草も麗しく。
「……」
長身玉体の一つ横、奥から流し目を送ってくる赤は大神の"牽制"。
『"……"』
『……分かってます』
二柱の外出を護るアデスは『青年の視線の動かし方』についてを言外に視線だけで注意。
及び"例の秘密の訓練"を開始した以後で若者が『目と目』での意思疎通を以前よりも"自然体で
「此処で降ります」
数分の利用時間で車体は停止。
先導の美神に従うままの降車。
「後はこの先を行けば、都市自体には間もなく到着となります」
そのまま降りて直ぐ、左右に
(……
揺れる水は人の波長。
穴を進んだ先の開ける視界では月光めいた菌類が天井部で怪しく——けれど地下の暗がりに青白い明かりをくれている幻想的な都市の姿。
「……本当に地下で……都市が」
「えぇ。空調や水回りは勿論に、その
大きめの階段を暗黒権能でフワフワと浮かされて省略、ここでも護られる青年が段差のある下部を見ないように仰ぎ見る景観。
まるで"大地を支える神"のように分厚い柱が幾つも立ち並び——そう、正しく"都市全体がの地下神殿"。
その石柱の間を埋めるよう設置されているものが人の利用する建造物で、それらは景観の美よりも"機能の美"を重視したのか大小様々な四角形を縦に横に重ねて造る学びの場。
其処でやはりは建物に合わせて設けられた窓の
(……凄い)
眼前を行き交う人々の少なからずが白衣やマスクやゴーグル着用で、他には種類が幾つもの『制服』と思しき共通の"型"に袖を通した『学生』も多く。
そういった人工物も人もその殆どが『学問・研究機関』に属し、昼夜を問わずに学徒それぞれの興味へ注がれる熱で都市は冷めず——また眠らぬ場所がこの"聖地"。
「英知の集う場所——"学術都市"『フォルマテリア』」
「"知識の神"『ワイゼン』を祀る"学問の聖地"へ——ようこそ。我が友」
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