『矛盾の女神⑥』
『矛盾の女神⑥』
「め"め"め"女神アデスが——っ!?」
「ちょ、直接!? 今から! ——此処に!?!」
まさに
青年たちから聞かされた事実に驚愕、手も首も
「え"え"え"、"
日暮れの森林で振動の光輝玉体が見せる残像。
遠征からの帰りの足で暗黒神が立ち寄ろうという場面を前に光神は続けて動揺し、その生える尻尾が『ブンブン』と振られる様子を見ながらに若者たちは連日の礼を尽くさんとする。
「は、はい。グラウさんには大変お世話になって、それで当初は自分とイディアさんでなにかしらの返礼が出来ればと考えていたんですが……」
「原初の女神は『返礼の
「ぐ、ぬぬ"……ぬ"ぬぬ」
「……ですが、他でもない女神グラウが難しければ『無理に強い気もない』とのことであり……如何いたしましょう?」
「……勿論に光栄——いえ、
「『神は
「……も、もう少しの
「『待ちましょう』」
虹の髪を黒く染めるイディアを神託の巫女のよう介しての意思疎通。
極神同士は間接的に言葉を交わし、地上で光は鎧を『がちゃがちゃ』言わせながら急ぎの身支度だ。
「か、顔を合わせ……いえ、あの方も私も
「だがしかし、いやそれでもっ……
装甲の内部で
他者の全ては勿論に、何より今から顕現せんとする暗黒への干渉可能性も極力に排除して、即席で光の粒子が作る
「……ですが、それなら今までは一体どのように彼女と連絡を?」
「……ぶ、
「……であれば確かに、直接の顔合わせには期待と不安が入り混じるかもしれません」
「は、はい。なのでもう少ししてから決断を——ま、待ってください。せめて鎧に飾りでも増やして——いや、待たせるのも悪いですので点検を! 全体の点検をもう一度だけ……!」
「では、"謁見の機会に
「え、えぇ。なのでもう一回、もう一回だけ——……"大丈夫"、"できます"」
「でしたら……神の厚意を、我が身に」
「一目でも、挨拶だけでも——御願いしとうございます」
『イディアさんに続いて自分の方でも承諾を確認しました。大丈夫だと思います』
『ご苦労様です。では、その
『はい。では——』
「あ——もう地上にいるみたいです」
「"!"」
「こっちに歩いて来ます」
陽光の波が歪まされる空間。
歩き迫る小柄で隠れ蓑の下に赤の眼差し。
「不在の
ルティスに、次いでイディアと会釈を交わしてからの魔王は見上げる高さに『殺さずの神』を見ようとする。
「本当に良くをやってくれた。私からも
「…………」
「有難う御座います——女神」
「"女神グラウ"」
交差する視線。
魔王少女で頭巾を持ち上げての屈託のない笑顔が"褒美"として神に贈られるのであった。
「……」
「……いえ」
だがそして、花笑みを見せられて硬直のグラウ。
「いえ」
同じ音を繰り返した後、
またそのまま女神アデスより距離を取った場所で停止したかと思えば神は空を見上げ、優しい眼光によって進路上の生類に
「"失礼します"」
瞬間の
周囲の多くの者にとっては何も起きていないように見えても、しかしは星に鎧の残像を残して自身は宇宙の光となる。
・・・
そうして、恥じらい頂点でのぶっ飛び。
神の描く光の直進は——。
『そう、大神とは即ち、時に愛情は病的な
『星々で繋ぐ
『以て
頂点の神の——だのなんだのを言っていた神々の王の術式たる天体配列を破壊。
億の年を掛けて微調整に微調整を重ねて作ったその物を瞬間に粉と変え、
・・・
「……? 女神グラウ……?」
「……彼女は既に此処にはいません」
「……?? (どういう……?)」
「
「あ——もしかして、さっきまでなかったあの星が……?」
『——暫く帰りません。宇宙空間で身を
イディアが指差す空は昼と夜の混じる時で紫。
さっきまで其処になかった一等星を明滅させて天の声はグラウ。
大して発信と受信で時間の差が生じぬ光は遙か彼方よりの通信で少なくも言葉を交わす。
『急を要する場合には秒より早く戻れるようにしておきますので、はい。どうぞよしなに』
『また女神アデスに
「——いや。
『い、いやいや。いえ』
「その詫びと褒美も兼ねて"次の機会"には鎧の点検も我が
『"!!"』
「"貴方の為に"、予定を空けておきますので」
『——、—、、@☆○"……^→w!? あ、あわわわわ——』
その約束をされての点検。
後に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます