09 まもるために



 僕はある事を考えた。

 それは、ずっと前から考えていた事で、やっちゃいけない事。

 だから、今まではやらなかった。

 

 それなのに、どうして体が勝手に動くんだろう。

 僕は家の扉をあけて、台所にあった物を掴んだ。

 そして自分の部屋に行く。


 どー君に大声で何かを言っているお母さんの背中が見えた。

 僕は、お母さんの事嫌いじゃない。

 叩くのも大声を出すのも嫌だけど。

 だって、僕のお母さんだから。


 でも、どー君の事も嫌いじゃない。

 一緒に遊んでくれるから。二人で遊ぶと楽しいから。


 どうにもならなくなったら、どっちか一つを取らなくちゃだめなのかな。


 人の気配に気づいたお母さんが振り返る。


 僕はその人がこっちを見る前に手に持ったそれを振り下ろした。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る