第4話 破片とサンドスターとセルリアン
すし詰め状態でとしょかんに到着した一行。
『……これは一体なんの騒ぎなのですか?バスが壊れてしまうのですよ。』
『もっと丁寧に扱うのです。』
としょかんの玄関前で2人は呆れたように首を振りながら言った。
『あぁ、すいません……みなさんに、手伝って頂こうと思いまして。』
かばんが片手を当てた頭を下げながら言う。
『手伝う……アレがですか?』
博士が指を刺した先には、何やら揉め合う4人がいた。
『アンタの道具のせいで狭いったらありゃしないのになんでゲームも積んでくるワケ!?』
カラカルはバカでかい筐体を叩きながら言う。
『仕方ないじゃない!言っても聞かないんだから!』
『だってぇ……みんなと遊びたかったし……』
『ケンカはやめよーよー!!』
『あはは……どうしたもんかな……』
かばんは苦笑いしながら頭を掻いた。
『みなさーん!こっちに、来てくださーい!』
かばんがみんなを呼んだ。
『あの、ギンギツネさん、破片を……』
『あぁ、そうだったわね。こんな時にケンカなんかしてる場合じゃなかったわね……』
ギンギツネはコートのポケットからさっきのら破片を取り出し、博士に渡した。
『これは……なんなのです?見たところ食べられそうにはありませんが。』
『食べられない以上、面白みが無ければ捨てるしかないのです。』
『実はこの破片は、大型セルリアンを撃破したフレンズさんが持っていたものから落ちたものなんです。』
そうかばんが話した時、博士たちの顔色が一瞬変わった。
『まさか———』
『落ち着くのです。助手。まだそうと決まった訳では……』
小声でやりとりする2人の声は、かばんたちにはわからなかった。
『あの、どうかしましたか?』
『なっ、何でもないのです。』
『調べておきますので、大人しく待つのです。』
慌てたように奥の部屋へと2人は消えた。
————博士たちの部屋———————
『やはり、かなりの濃度のサンドスターがあったと見られるのです。』
『破片となり、さらには回収されここへ運ばれてくる時間を経てもまだサンドスターが残留しているのです……』
『これなら、セルリアンを一人で撃破したのも納得がいくのです……』
2人は破片を顕微鏡のようなもので細かく調べながらそんな話をしていた。
『しかし、そうなると一体誰がこんなものを開発したのか、ですね。』
『それに、誰が持っていたのかも気になるところなのですよ助手。』
—————その頃のアラフェネ——————
『アライさーん。なんか最近たくさん食べるねぇ〜?』
『モッ、アライさんにも、モッモッ、わからないのだ!ガツガツ…』
ジャパリまんを頬張りながらアライグマが答える。
『まぁアライさんがいいならいいんだけどさぁ〜』
『アライさんはこれでいいのだ!』
あはははっ……
2人は笑っていた。
——かばんサイド————————————
『あ、博士!』
『案外早かったわね。』
『レアリティはどのくらいだったのかなぁ?』
『だからそれゲームの話でしょ……』
博士が少し暗い声色で話す。
『これは、かなり強力な武器なのです。しかし——』
『しかし?』
かばんが食いつく。
『これを使ったフレンズは、間違いなく、早死にするのです。』
『そ、それってどういう事?』
カラカルが少し焦りながら尋ねる。
『これは、おそらく使用者のサンドスターを大量に消費・莫大なエネルギーに変換して戦う武器なのです。』
『この破片からも、サンドスターの残留を確認したのです。とてつもない量のサンドスターを使った証拠なのです。』
『じゃあ、あのフレンズさんは……』
かばんが顔を蒼くして言う。
『これの持ち主は、おそらくサンドスターをかなり早く使い切るのです。明らかに放出された量が多いのです。』
『それ、持ち主は知ってるのかなぁ…?もし知らないで使ってたら、危ないよ!』
サーバルが心配そうに言った。
『でも、誰だかわからない以上、伝えられないわよ?』
ギンギツネは残念そうに言った。
『うーん……次にセルリアンが出た時じゃ遅いだろうしなぁ。』
一行が頭を抱える。その時だ。
『大変でありますよーー!!』
重たい空気を切り裂いた声の主は、オグロプレーリードッグ。
『何よー!いきなり叫ばないでよ!』
『びっくりした……』
カラカルとキタキツネは少し怒ったように言った。
『失礼したであります!実は、また大きなセルリアンが現れたのでありますよ!』
『えっ!?じゃあもしかしたら……!』
『うん、持ち主に会えるかもしれないね……!』
『じゃ行ってみようか!』
『アンタたち、良くそんなアクティブになれるわね〜……』
走り出すとかばんたちをカラカルは少し後ろから眺めて言った。
かばんたちの次の目的地はこはんエリアだ。
続く
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