第30話 わたくしは男の子が嫌い


 気持ち悪い……。


 いつもそんな気持ちで男の人と話していた。


 視線が気持ち悪い……口調が気持ち悪い、顔が気持ち悪い、体つきが、全てが気持ち悪い。



 なぜ私の髪をジロジロ見るの? 金色なのがそんなに珍しい? なぜ私の顔をジロジロ見るの? なぜ私の胸をジロジロ見るの? なぜ私のスカートの裾をジロジロ見るの?


 少し顔が良いだけで、スポーツマンだからって、私がなびくと思っているの?  すぐに身体に触れてくる、すぐにキスしてこようとしてくる、すぐに……すぐに。


 男が気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!


 私がハーフだからって、私がちょっといい家庭で育ったからって、皆が私に嫉妬する……。


 だからずっと隠れてきた……ずっとずっと小さくなって生きてきた、目立たない様に今までずっと生きてきた。


 でもあの時から……中等部の時、彼に出会ってから私は……変わった。


◈ ◈ ◈



「あの、落としましたよ」


「え?」


 中等部2年の春、廊下で突然後ろから声をかけられた。


「ハンカチ……先輩のですよね?」


 そう話しかけてきた彼……私は一瞬彼を女の子かと間違えそうになった。


 その顔立ち、その体つき、その声、どう見ても女の子だった。

 でもスカートを履いていない……ブレザーも男子用……ネクタイの色は一学年下の色。


「……あ、ありがとう……」

 ハンカチを受け取った私は……その一見女子の様な顔立ちの男の子に一瞬で惹かれた。

 

 奇跡の様な男の子……私が……気持ち悪いって思わなかった始めての男子。


 でもその思いは一瞬で壊れかけた。


 彼の目線はやっぱり私の髪を捉えていたから。


 この人も他の男子同様に……そう言う目で私を見るのね……ああ、気持ちわ……


「身長高くて良いですね、僕低いから憧れます先輩」

 そう言ってニッコリ笑う彼……その笑顔がとても眩くて……私は彼の笑顔にトキメイタ、凄くドキドキしてしまった。


「──え、えっと……ありがとう……」


「いいえ、外国の方何ですか?」


「あ、いえ、ハーフです」


「ああ、そうなんですか、どうりで綺麗な……あ、すみません」


「……ううん良いのよ」


「1年の朝比奈です、先輩宜しくお願いします」


「2年の阿佐見よ、何でも聞いてね」


「はい!」

 私に屈託のない笑顔でそう言う朝比奈君……そう……彼は一度も私の髪も、胸も見なかった……ただ一途に私の目だけを、キラキラとしたその目で純粋に私を見ていた。


 それはそれで……ちょっと悔しい気もしたけど……でも私が唯一気持ち悪いって思わなかった始めての男の子。天使の様な可愛い男の子……。


 それから私は彼をこっそりと見続けた……偶然を装って彼に接触した。


 そこでわかった事は……彼はその容姿から隠れファンがとても多い……特にその手の趣味の女子に凄くモテるという事だ……。


 しかし彼は、彼に近寄る全ての女子に対して、全く興味を示さなかった。私も含めて……。


 だから最初、彼はやっぱり見た目同様女の子なのかと、心は女の子なのかと思ったけど……彼は男子に対しても全く興味を示さなかった。


 隠している? もしそうだとしたら諦めなくてはいけない……彼は女子に興味があるのかどうか? それが知りたかった。そして私は彼をストーカ……追尾していて遂に一つの証拠を発見した。


 本屋さんで彼がこそこそと手にした本は……エッチな本……。


「良かった……」

 私は今までそういう物を手に取る男子に対して気持ち悪いって感情しか無かった……でも今……彼がそれを手にした時に思った事は……良かっただった。


「そうか……これが……恋なのね……」


 その彼の姿を見て、今までに無い感情が芽生えた。安心した。そう……私は恋に落ちた、いえ落ちていると確信をした。


 彼が好き……朝比奈 陸君が好き。


 そこから私は今まで隠す様にしてきた性格を、容姿を、髪を全部さらけ出した。


 彼に見て貰いたい、彼の興味をひきたい。


 でも彼は中々私を見ては下さらなかった。

 

 私だけでは無い……彼は他の誰にも興味を示さなかった。


 ただ一人を覗いて……いつも彼の視線が捉えていたもの、彼が興味を示していた物は、妹さんだけだった。


 恐らく彼はシスコン……でも大丈夫……相手は妹……なんだから……。


 ううん、そんな考えじゃ駄目ね、私彼が好き、将来は結婚するんだから、彼が好きな妹さんも好きにならなければ……。


「うふふふ……いい小姑になるように、妹さんにもちゃんと好かれないとね」


 彼はまだ中学生だったから子供だったから抑えていた、でいよいよも高校生になった彼……。


 私には彼しかいない……私は跡継ぎを残さなければいけない身。

 このままだと……両親の決めた人と結婚させられるかも知れない。

 そんなのは地獄だ……気持ち悪い人と気持ち悪い事をしなければならないなんて……。

 私には彼しかいない、彼以外には考えられない……。


  【あとがき】


 カクヨムコン大苦戦中(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

 

 読者選考終了まであと僅か

妹に突然告白されたんだが妹と付き合ってどうするんだhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054884994656

クラスでカースト最上位のお嬢様が突然僕の妹になってお兄様と呼ばれた。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054887001599

義理の妹が彼氏の僕を女装させイチャイチャしてくる。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885906659

国による恋人マッチングシステムを使ったら、選ばれたのは隣の席の大嫌いな女子だった。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890642651

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