第29話 絶対に叶わない夢


 あんな事(今朝お兄ちゃんにベットで抱き締められていた件)があったのに、今、私は何食わぬ顔で授業を受けている。

 

 遅刻寸前だったのでお兄ちゃんと今朝の話はしなかった。


 でも……すごく嬉しくて……幸せな一時だった……ううう、駄目授業中なのに顔が綻んじゃう、笑いが込み上げて来る。


 ああ、今もまたお兄ちゃんの胸の感触が、匂いが……私の頭の中を駆け巡る……当たり前だけどお兄ちゃんにおっぱいは無かった……やっぱりお兄ちゃんは男の人……。

 

 そして力強く抱き締められていた感触が、腕や背中にまだ残っている。

 小さい頃、凄く寒かった日にお兄ちゃんと一緒のお布団で抱き合って寝た事があったけど……あの時よりもずっとずっと力強くて……やっぱりお兄ちゃんは男の人……。


 そうなの……お兄ちゃんは男の人なの……当たり前だけど……。


 今までずっとお兄ちゃんはお兄ちゃんだった。クラスで格好いいって言われている人や、学校で人気があるって人を見ても、私の目にはただの異性……男の人だ……って思っただけ。


 私は異性に興味が無い……かといって別に同性に興味があったわけでもない……私はお兄ちゃんにしか興味が無かった……。


 そう……私の愛した人はお兄ちゃん……実の兄だった。


 実の兄を好きになってしまった……何度も諦めようとしたけど、出来なかった。

 だから私は……将来も諦めた。子供も……暖かい家庭も……全部諦めた。


 お兄ちゃんに彼女が出来て……結婚して、子供が出来て……でもお兄ちゃんが幸せなら……お兄ちゃんの奥さんを衝動で刺しちゃうかもなんて思ったりもしたけど……私はそれでいいって思った、思う事にした。


 逆に……もし、もしも……私の夢が叶って……お兄ちゃんがずっと私の側にいてくれたとしても、それは……お兄ちゃんが不幸になるだけ……実の兄妹で……暖かい家庭を持つなんて……出来ない……出来るわけ無い……私はそれでも良いかも知れない……でも……お兄ちゃんが不幸になるのは嫌……だから諦めた……お兄ちゃんを諦めない変わりに、自分の将来を未来を諦めた……。


 でも今は違う……お兄ちゃんは男の人……これからはそう見てもいいって事なんだ。

 そして将来も……空想じゃなく現実として見てもいいって事なんだ……お兄ちゃんのお嫁さんになってもいいんだ……そう……私はお兄ちゃんのお嫁さんになれる。


 どんなに願っても、どんなに努力しても叶えられない夢が叶えられる様になった……将来の事はわからない、これから先どうなるかなんてわからない……でも、夢でさえ見てはいけない事が……今は現実として実感できる……こんなに幸せなな事はない!


 私は今天にも昇る様な気持ちで……。


「……ちゃん……空ちゃん!? ねえ、お昼だよおお、起きてええ?」


「……はうう!」


「……きゃはははは、空ってば目を開けたまま寝てるし、マジうける」


「……あ、あれ?」

 今確か授業中だった……あれ?

 私の耳に音が戻って来る。ざわざわと騒がしい教室、友達が私の事を取り囲んでいる。


「大丈夫? なんかあった?」


「うん、なんか空ちゃん幸せそうな顔してボーッとしてたし」


「まさか! 彼氏ができたらとか?!」


「え? 空って彼氏いないんだっけ?」

 

 そんな会話が聞こえる……で、でもごめん、今はそれどころじゃない……。

 何故か今はお昼休み……お昼休みと言えばお弁当……そう、学校で唯一お兄ちゃんと一緒にいる事が許されいる……お昼休み、私とお兄ちゃんとのイチャイチャタイムが、1秒でも惜しい、今すぐお兄ちゃんの元へ。


 私は振り向きお兄ちゃんを見る…………ええええええええ……。


 お兄ちゃんの席に、お兄ちゃんの前の席に……金髪巻き巻きの女が……会長だ、またあの生徒会長がお兄ちゃんにちょっかいを……ああああああああああ……駄目えそこは私の指定席!


 中等部の時の様に……もうこういう事を黙ってやり過ごす事は出来ない。

 もうそうやって黙って遠くから、お兄ちゃんを見守る事は……今の私には出来ない。


 私は立ち上がりお兄ちゃんの元へ向かう。

 

 だって今、私は……お兄ちゃんの彼女なのだから!





 【あとがき】


 カクヨムコン大苦戦中(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

 

 読者選考終了まであと1週間弱

妹に突然告白されたんだが妹と付き合ってどうするんだhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054884994656

クラスでカースト最上位のお嬢様が突然僕の妹になってお兄様と呼ばれた。

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義理の妹が彼氏の僕を女装させイチャイチャしてくる。

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国による恋人マッチングシステムを使ったら、選ばれたのは隣の席の大嫌いな女子だった。

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