第24話 レインボーブリッジ


「ふわーーーここ通れるんだあ」


「うん、でもちょっとうるさいね」


「ううん、平気……高くて景色良くて……気持ちいい」


 僕と妹は今レインボーブリッジを歩いている。


 レインボーブリッジ遊歩道と言う名のここはその名の通り歩行者専用で、あまり知られていないが、実はレインボーブリッジは歩いて横断が出来る。

 ちなみに道路は自動車専用で自転車はこの歩道を専用の器具を付けて押して歩く事になる。


 ゆりかもめの芝浦ふ頭駅を降りると目の前にレインボーブリッジが見える。

 そのままレインボーブリッジに向かって歩くと巨大な橋の橋脚が見える。

 そこに遊歩道への入口がある。ビルの入口の様なホールを抜けるとエレベーターあり、それに乗ると遊歩道に行ける。ちなみに無料だ。


 エレベーターを降り通路を抜け扉を開けると遊歩道に出る。

 遊歩道は一般道のすぐ脇にあり橋の両端を通行出来る様になっている。

 お台場側と晴海埠頭側の二コース、僕たちはお台場コースを選んだ。

 

 お台場を見ながら遊歩道を歩いていると、橋の中間部分をゆりかもめが通過していく……。

 

「きゃ!」


「おっと」

 遊歩道は道路のすぐ脇にある為、トラック等大型車が通過するとかなりの威圧感があり道路側すれすれを歩くと風圧でよろけそうになる。


「お兄ちゃん……ありがと」


「うん……」

 少しよろけた妹の肩を抱きながら、妹と見つめあう……初めてのデート……一緒に出かける事は今までもあったが名目はいつも買い物だった。


 ただ、僕の中ではそれもデートだった。心の中でデートをしていた……だから今日もその延長だって、そう思っていたけど……やっぱり違う……今ここに来て、妹と二人お互いデートと認識してこの場にいる……何か感慨深い物があった。


「お兄ちゃん?」


「ううん、何でも無い……えっと寒くない?」

 まだ4月、海に面しているレインボーブリッジ、しかもかなり高い位置にある遊歩道、両端は金網があるだけなので冷たい海風に晒されている。


「大丈夫……あ、でも……手袋持って来なかったから……えっと……手がちょっと寒い……かも」

 妹はそう言うと口に手を当ててはーーっと息を吐く。

 僕は妹の方手を取ると手を繋ぎ自らの手と共にコートの中に突っ込んだ。


「片手だけでも……」


「……えへへへ……お兄ちゃんの手……暖かい……」

 寒さからなのか? それとも僕と手を繋いだからだからか? 妹の頬が赤く染まって行く。

 あああ、か、可愛すぎるだろうが!


 き、気を取り直し、道路からなるべく離れ、お台場の象徴の様に建っているテレビ局の球体を見つつお台場方面に歩いて行くと、ちょうど真ん中辺りに島が見えてくる。


「お兄ちゃんあれ何?」


「ああ、あれって確か大砲の跡地だっけ?」


「大砲?」


「うん、黒船から江戸を護る為に作ったとかなんとか、だから砲台がある場所でお台場って名前が付いたとかって」


「へーーーー、じゃあ、あの島に大砲があるの?」


「いや、流石に大砲は、それにあそこは船でしかいけないし立ち入り禁止らしいよ」


「ふーーん行けないんだぁ……」


「あ、でももうちょっと先に、お台場から陸続きになってる第三台場跡っていうのがあるよ」


「大砲ある?」


「いや、でも大砲の跡はあるらしい」


「行きたい!」

 妹は目を輝かせそう言った。ふふふ、前から歴史物好きだしなあ……まあ僕が好きだからなんだろうけど。

 この後は海浜公園を散歩してイタリアンでも食べようと計画していたけど……。


「よし、行くか」


「わーーーい、早く早く!」

妹が僕の手を強く握り引っ張って行く……楽しい……こうやって妹と大手を降ってデート出来る日が来るなんて思って無かったから


 楽しそうにはしゃぐ妹を見て僕は更に妹の事を好きになっていく……もうどうしようも無く好きに……。






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