第14話 お兄ちゃん……どうか……はしたないって思わないで下さい。


 当たり前だけど私たちは兄妹として学校に通っている。

 勿論私達兄妹が血の繋がっていない義理の兄妹だったと言う事は、私とお兄ちゃん、お父さんお母さん以外は誰も知らない。

 

 なので当然だけどいきなり学校で私がお兄ちゃんとイチャイチャしたりすれば、こいつら兄妹で頭でもおかしくなったのか? と思われたりする……かも知れない……。


 今の所その事を兄妹では無かったと言うことを私もお兄ちゃんも誰かに言うつもりは無い。


 無いが……それはつまり、学校で私はお兄ちゃんに対して何も出来ない、お兄ちゃんにアピール出来ない……と、言う事だ。


 今や学校ではお兄ちゃんに対して私が他の女の子達よりも有利な点は無い……でも、私は周りの人に、お兄ちゃんのファンの娘達に勝たなければいけない、これ迄とは違う、お兄ちゃんの一番にならなければ、なり続けなければいけない……。


 実の妹というポジションではなくなったのに、学校では実の兄妹を演じなければいけない……つまり学校ではお兄ちゃんにアピール出来ないというハンデを背負ってしまっている。


 でも私は……誰よりも、学校にいる誰よりも有利なはず、だって……私はお兄ちゃんと一緒に住んでるのだから……。


 だからお兄ちゃんを誘惑……って言うと聞こえが悪いね……これはアピールだ!


 そう……まずはお兄ちゃんに私は妹だけでは無い……私は女の子だって認識して貰わなければならない……。


 今日お兄ちゃんと一緒に登下校して思った……あんな事があっても、お兄ちゃんはいつも通りのお兄ちゃんだった。

 それは嬉しい事でもある、変わらず私を妹と思ってくれている……そんな優しいお兄ちゃん……でも駄目……もうそれだけでは駄目なんだ……妹だけではいられない。


 お兄ちゃんは、良くも悪くも私を妹としか認識していない……血が繋がっていないと知っても……だから学校でも……ううう、私ばっかりお兄ちゃんの事を見てた……。

 

 皆……他の女の子も皆、お兄ちゃんをチラチラ見てた。


 皆お兄ちゃんを見てる……お兄ちゃんはそれに気が付いていない……皆の視線にも……私の視線にも……気が付いていなかった。


「ずるい……ずるいよ……私はこんなにもドキドキしてるのに、こんなにも不安なのに……」

 私は今まで通りの態度なんて出来ない……だってだって、だいしゅきな人と恋人になれるかも知れないのに……恋人に…………なれるの? 私はお兄ちゃんの恋人に……お兄ちゃんの一番にこの先なれるの?


 はあ……ここに来て妹だった事が、妹だと言うことが枷になっている……重荷になっている。


 もし初めから妹じゃないってわかっていたら、お兄ちゃんがそう……認識してくれてたら……。


 血が繋がっていないって始めから知ってたら……お父さんとお母さんが結婚して無かったら、家族じゃ無かったら……お兄ちゃんは私を、私の事をどう見てくれたんだろう……どう思ってくれたんだろう……。


タラレバを言っても仕方がないのはわかっている。わかっているけど……自分に自信が無い……妹じゃなかったら私なんて……全く相手になんてして貰えなかったかも知れない。


 ううん、お兄ちゃんとそもそも出会ってなかった……かも知れない。


 だから仕方がないんだ、そんな事を考えても、過去を考えても仕方がない。

 今を……これからを考えなければ……。


 やるしかない……はしたないって思われるかも知れないけど……まずはお兄ちゃんにアピールをしなければ……私が女の子だっていう事をお兄ちゃんに認識して貰う……しかない。


 私はクローゼットから一番露出の高い服を取り出す。

 外では絶対に着れない……お兄ちゃんに、お兄ちゃんだけに見せる為に買った服……。

 いつもはもう少し押さえ気味だけど……今日からはそんな事言ってられない。

 アピールしなきゃ……お兄ちゃんに私は女の子だってアピールしなくちゃ……。


 私は制服を脱ぎいつものように下着を取り替え…………取り替え……る?


「──ブラ着けない方が……お兄ちゃん喜ぶかも……」

 ノーブラ……は、恥ずかしい……でもでも……これくらいで恥ずかしがっていたら……。

 一緒にお風呂にだって入っていたんだ……これくらいしないとお兄ちゃんだってドキドキしない……むしろこれくらいじゃドキドキしないんじゃ?


「っていうか……お兄ちゃんって……今さら私に……ドキドキするの?」

 友達から恋愛相談された時、一番困るのが相談相手の好きな人が幼なじみだって時……。


 相手の事を知りすぎてしまってる……相手が自分の事を知りすぎてしまっているが為に、お互い家族の様になってしまっている。兄妹、姉弟の様になってしまっている。

 

 だからドキドキしない……つまり恋愛に発展しない……って言われる。

 そんな事を相談されると、私は困ってしまう。


 だって……私は幼なじみよりも……もっともっと近い存在、家族に、お兄ちゃんにドキドキしてしまうんだから……。

 

 でもお兄ちゃんは? お兄ちゃんは私にドキドキしない? してくれない?


 私は幼なじみ以上の存在……いわゆる負けキャラ?


 嫌だ……それは嫌だ……絶対に嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ!!


 やるしかない! お兄ちゃんをドキドキさせる!


 ずるいよ……私ばっかり……ドキドキして……私ばっかり好きで……。


 私はブラは戻してパンツだけ履く……さ、さすがに……ノーパ……はねえ……。

 

 そして、ピンクの肩だしニットを着て……紺のミニスカートを履いた。

 ウエスト部分を折り返してさらにいつもより短く……は、恥ずかしい……。


 駄目……こんな程度で恥ずかしがっていたら……だって私はお兄ちゃんとこれから、もっともっと恥ずかしい事をするつもりなんだから……。


「よし! さあ……行くぞ!」

 鏡の前で気合いを入れ机の上に置いてあるノートと参考書と文房具を手に取る……。


 お兄ちゃんをドキドキさせる……私の方を見させる、私を見させる、振り返らせる。


 さあ私の戦いが、今始まる!



【あとがき】


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カクヨムコン短編出品作品

『妹に彼氏が出来なかったら、俺が責任を取る事になった。』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054893367777


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