第7話 どうすれば……


「うあああああああああああああ……」

 誕生日会を早めに切り替えて、僕は慌てて部屋に戻った。


 そして持ってきた封筒からもう一度戸籍謄本を取り出し机の上に広げた……間違いない……やっぱり書いてある。


 慌ててスマホで検索をかける……この記載内容を、何度も何度も確認した……間違いない……。


「……妹は養子縁組されてる」

 再婚で連れ子の場合結婚するとその子供は筆頭戸籍人、要するに父さんの子供として基本的に養子縁組される。(養子縁組しない(養父)となる場合も確かあります)


 さらに戸籍謄本を見ると僕の本当の母親はすでに天国に召されている事も判明した。


「……そうか……連れ子なんだから母さんは僕を産んだ母さんじゃないんだ」

 

 少しショックだった……でも……すぐにこの感情は自分で否定した。

 血なんか繋がっていなくても……母さんは母さんだ……産んだとか関係ない……母さんはずっと昔から僕の母さんだった……。



 そう……それよりも問題は……空だ……。


 妹とは血が繋がっていなかった……。

 そんな事一度も思った事ない、だってずっと前から妹は僕のとなりに居たんだから……

 まさか……僕達が赤ん坊の頃に再婚してたなんて。

 

 名前だってそうだよ、空と陸だよ? なんか兄妹っぽいし……。


 でも確かに妹は美人で可愛い、僕とは比べ物にならないくらい綺麗だ。まさか……兄妹じゃなかったなんて……。


 ショックだ……僕は空の名前の横に記載されているこの養子という文字を見た瞬間パニックに陥った。


 どうしていいかわからなくなった。


 だから妹にバレないように自然に誤魔化し、僕の精神状態がバレない様に、わからないように部屋に戻った。


 助かった事は僕のプレゼントがよっぽど気に入ったのか、妹はネックレスばかりに気を取られ、この戸籍謄本には興味を示さなかった。


 僕の中で嬉しいのか悲しいのかわからない感情が渦巻く……どうすれば良いのか? どうして良いのかわからない……。


 そもそもこの事を妹に伝えるべきなのか? 母さんに真実を真相を聞くべきか……どうして良いかわからない……。


 そうだ……妹が、空が……もし……僕と本当の兄妹じゃないって知ったら……もしかしたら今までの関係が崩れてしまうんじゃないのか?


 だって……僕と妹は血が繋がっていない、事実上他人って事なんだ、つまりは…………。


 結婚出来るって事だ……。


 僕が実の兄じゃないって知ったら…………。


「あああああああ、どうなるんだ……空はどう思うんだ?」


 僕は立ち上がるとベットにダイブした。


 仰向けに寝転ぶと枕に顔を埋めた。


「ああああああああああああああ!!」

 音が漏れない程度に、妹に聞こえない程度に僕は叫んだ。


 そして仰向けに寝返りをうち今度は枕を抱き締めた。


 そうか……なんで妹の事が好きになったか……ずっとわからなかった……。

 明るくて優しくて美人で可愛くて、天使の様だけど、空は妹……妹に惚れる兄なんていないって、僕は異常者だってずっと思ってた。


 でも……正常だったんだ……僕たちは血が繋がっていなかったんだ。

 

 どうしよう……告白? いや、先ずはこの事実を伝えなければ……。


 そして……もし……もし妹が……空も同じ様に、僕と同じ様に……僕の事を好きだったら……。


「ははっ……そんなわけないよな……」



 

 【あとがき】


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