第二死「バックグラウンデッド」
薄暗い部屋の片隅を、モニター画面が青色に照らす。
人影は、未だそこに在った。
「……」
軽快なクリック音と共に、モニター画面が少年の顔を拡大する。
乱射される弾幕の中、銃弾を背に浴びながらも平然と逃げ惑う少年。
その顔に焦りはあっても、苦痛を感じさせる顔も無ければ、血の気も無かった。
「……ふぅ」
妙齢の軍人は、モニター画面から目を外し、眉間を揉む。
「仕事熱心なことですね」
部屋の扉を開けて、若年の軍人がコーヒーを持ち込む。
「ありがとう」
白髪を一束にした軍人は、受け取ったカップの中に溜まっているコーヒーを眺める。
その顔は、悲愴で満ち満ちていた。
「あれから4日……完璧な包囲の中、忽然と行方をくらましましたからね」
パソコンのモニターを見た青年は、そう呟いてコーヒーを啜った。
「……ああ。まさに忽然と、だな。なんだ……日本にはそういう話もあるそうじゃないか……あー、神隠し?と言ったか?」
青年は目を丸くする。
「教官……もしかして、スレンダーマンを未だに信じてるんすか?」
老兵は眉間を狭めて、口を閉ざす。
「いやいや、冗談ですって……それにしても、本当にどうやったんですかね?あのゾンビ野郎の目撃情報も掴めませんし……」
若兵がそう言うと共に、老兵は勢いよくコーヒーを飲み干し、カップを机に叩きつけた。
「……あれは、『ゾンビ』などでは無い」
上官の、突飛な行動には慣れていたつもりの青年であったが、これには流石に驚いた。
「では、一体何だと言うのです?」
少々湧き上がる、無礼さを弁える気持ちを抑え、好奇心のままに尋ねる。
「……お前は猫になりたいか?」
「……サー、ノー、サー」
そう返すと、若年の兵は迷彩の帽子を金髪に深く被せ、部屋を後にした。
僅かな騒がしさが去り、部屋にはいっそうの静寂が満ちた。
「……それが分かっていれば、どれだけ楽な事か」
そう独りごちる老人の首元には、銀の十字架が光っていた。
この世界に来てから、夜を数えて4日が経った。
僕は今、狩りをしている。
とは言っても、僕が狩るわけではない。
「ゴァァァァァァァァァァッッッ!!」
僕は今、熊のようなモンスターから逃げている。
この世界におけるモンスターとは、前の世界での動物と同じような扱いだそうで。
またぎが熊や鹿を狩猟するように、森に住む種族は、森の中に棲息する熊……のようなモンスターや、鹿……のようなモンスターを狩ってその肉を飯としたり市場に出したりしている。
そういえば、ククじぃとやらとロクシの関係を聞いてみれば、肉親だそうで。
要するに、ロクシは所謂、人外であった。
ワーエルフ……基本的には人間と同じなのだが、ある環境下に居ると、エルフの特性が濃くなるのだという。
通常時であれば、エルフのような特徴は発現しないので、見た目は本当に人と変わりない。
だからこそというのか、人間として、途轍も無いほどに美しいと感じたのは。
ちなみに、そのエルフとなる環境というのは。
「……すぅ……ふっ!」
どこからか飛んできた矢が、僕を追うモンスターの眉間に刺さる。
モンスターは予想外の出来事に仰け反り、僕とは正反対の方向へ逃げ走る。
「よし、これで、後は血痕を追うだけですね。囮役、御苦労様です」
いつもの白に緑が混じったような髪を垂らし、耳の尖ったロクシが弓を片手に樹から降りてくる。
ワーエルフのエルフになる条件……それは、明け方の森の中で自作の弓を扱う、ということらしい。
似たような名前のワーウルフに比べれば、よっぽど楽な条件である。
というのも、エルフになって得られる能力が、ワーウルフのそれに比べれば見劣りする性能だかららしい。
具体的には、視力強化、視覚変化、聴覚強化、嗅覚強化、集中力強化、といったものである。
目は遠くの物をはっきりと、そして普通であれば見えぬ物も見えるようになり、耳は遠くの音も拾い、必要な音だけを正確に聞こえるようになり、鼻は如何な臭いも精密に嗅ぎ分け、無臭と思われているものからでさえも臭いを感じ取る事が出来るようになる。
狩猟に必要な視覚、聴覚、嗅覚と、集中力を底上げする能力。
発動中は、耳も尖り、伝承にあるような一般的なエルフの姿となる。
正直な所、ワーウルフよりも簡単な条件で、さしたるデメリットも無く、そのような強化が得られるのであれば、ワーエルフの方が余程良い様に感じられる。
しかし、本人曰く、
「確かに便利なのですが……便利であるだけです
「僕自身は人間として生きたい
「森の中にさえ居なければ、見た目なんて完全に只の人間で、人里でも馴染んでいました
「けれども、人間離れした寿命は、幼い僕から友人を、いとも容易くひり剥がしていきました
「その時からです
「ワーエルフの身体を諦めるようになったのは
「人間としての生活を捨て、エルフとして生きていくようになったのは
「エルフであればともかく、ワーエルフならば、そうと知られていても人間は然程も気にせずに受け入れてくれます
「なにせ、森の中に入りさえしなければ只人なのですから
「……ですから、僕は生きていける事は別として、この暮らしを喜ばしくは絶対に思いません
「この身体を、恨みさえしています
「なのです、が
「あの子を拾ってからは、そうもいかなくなりました
「どうにも、あの子が居れば、僕は幸せで居られるようで
「あの子は、幸せを運ぶ青い鳥なのか
「それとも、僕を堕落に導く可愛らしい悪魔なのか
「……嬉しくも、怖くなります
「あの子の名前は、僕が付けました
「うちの一族は、ずっと東、この大陸から幾千も離れた所から来たそうでして
「ククじぃが僕によく聞かせてくれた話です
「ロクシと対になる言葉は、シロク
「そして、ロクシとシロクが合わされば
「人間が産まれる……と
「ワーエルフという曖昧な立ち位置に居る僕らの、希望と言いますか
「心の、拠り所だったんでしょうね
「僕自身はそんな伝承、間に受けてはいませんでしたが
「そもそも、あの子と僕は同性ですよ
「間に受けている人がそんな名前を付けていたら
「それはもう、愛を告げているようなものではないですか
「……僕の両親、父親の名前が、ロクシです
「これは風習でも何でもない、僕の我儘のようなものです
「僕の本当の名前は、別にあるのです
「ですが、それはククじぃ以外は誰も、シロクにさえも伝えた事はありません
「僕の両親は、僕がこの世に生を受けたと同時に、逝きました
「正確には、父の方が少し早かったのですが
「……エルフとしての生活を望んだワーエルフの集落が、土地開拓を狙った人間によって襲われた時です
「父は、僕を身篭ったままの母を守り
「母は、人間たちに捕まり、慰み者にされ
「やがて、衆人に囲まれたままで僕を産み
「出産を終えて、恥辱の余りに自ら生命を絶ったそうです
「僕は暫く、そこで奴隷として狩猟業をやらされていましたが
「とある人里の長に買い取られ、そこで今の小屋に住むまでは、暮らしていました
「その人里の長というのが、ククじぃです
「ククじぃは、父とは離別した、別の集落の長だったのですが、襲撃を平和的解決に抑え込み、土地を明け渡す代わりに治めさせて欲しいと交渉したそうです
「何故その要求が通ったのかは、今でも疑問ですが
「そして、今までの奴隷生活とは決別の意を込めて、ククじぃから、ロクシの名を貰いました
「なので、僕にとっては、本当の名前というのは、奴隷であった頃を想起させる名前なんです
「いやいや、別にそこまで嫌っている訳でも無いですよ
「名前を貰った事も含めて、嫌な事ばかりではありませんでしたから
「ただ……それ以外の事も、どうしても思い出しちゃうので
「何となく、人にそう呼ばれるのを避けたいだけです
「……ほら、もうすぐ獲物が来ますよ
「それじゃあ、頑張ってください
「囮役さん」
……お察しの通り、熊のような姿のモンスターに散々追われたのは、この会話の後である。
色々と重い身の上話を聞かされたのだが、まあ、襲い来る生存の危機には思考も叶わなかった。
とりあえず思った事は、やはりこの世界における人間も、前の世界とは大して変わりないなという事だけだった。
それにしても、うーん。
どうして、ここまでの事を僕なんかに話してくれたのであろうか。
信頼されているのであれば重畳であるが、どうにも4日間お世話になっているだけではこうもいかないであろう。
現に、素の彼との会話をしたことが無いのだ。
しかし、僕からそれをねだるのも、色々と怪しまれるし、蔑まれると思う。
シロクも中々、僕とは話してくれないしなぁ。
遠巻きにこっちをよく見ているのだが、向いてしまうとそそくさと隠れてしまう。
子供なりに警戒しているのだろうな。
他の活動拠点が見つかるまでは共に過ごす仲なので、2人とも、もう少しでも近付きたいところではあるのだが。
僅かな期間だが、共に生活もしていれば、2人に対するやましい気持ちも薄れてくるのだ。
これがきっと、同棲し始めてから冷めてきたカップルの心情なんだろうな。
ともかく、ロクシには家業を手伝う事で(今まではシロクが囮役だったそうだから、「シロクを危ない目に遭わせずに済むで!」と本人は歓喜していた。こいつサイコパスなのでは?)、自分が有益かつ無害であるというアピールをしている。
シロクにも何か、良いアプローチ方法は無いのだろうか。
たまたま、ズボンのポケットに入っていたミニ小説を読みながら、いつも通り朝餉までの時間を潰す。
僕が朝餉に関わって良かった事が無いからだ。
出来の悪くない、と思えるのは、やはり僕が素人だからなのか、小説を読みながら、そんな考えが出てくる。
ロクシは勿論、シロクも調理の手伝いなので、僕は小説を読むくらいしか出来ない。
むしろ、こうしていた方が、本人達の目の届く範囲内で無害である事を示すのに有効なのではないか。
居心地の悪さを感じては何度も達した結論に浸りながら、数えきれない程に目を通した文章を目でなぞる。
「それ、異世界の書物ですよね。異世界の人は大体が文字を読めるなんて、未だに信じられないです」
朝食が運ばれてきた。
今朝はひと握りのパンに、肉入りのスープだ。
質素と思うかもしれないが、これでもかなりのご馳走なのである。
危うくこの肉となってしまう所であった僕が言うので間違いは無い。
実際には、肉よりも、このパンが貴重なのだ。
異世界なのにパンが存在していた事に感涙を流した僕は、色々と訊いた。
僕はパン派なのである。
ご飯も嫌いではないが、雑穀米に勝る飯は無く、それでも、コッペパンに勝る事は無い。
箸も丼も必要無い、あの手軽さは日本食には出せない価値だ。
だが、僕の知っているような、ふにふに、もちもち、ふわふわのコッペパンではなかった。
どちらかと言えば、カリカリのフランスパン。
さらには、ライ麦パンのような硬さもある。
簡単に言えば、パンとしてのランクが低いのである。
しかしそれでも、この家に存在する中では僕の唯一知る穀物料理だ。
モンスターの肉を使ったスープも、独特のえぐみは自然ならではの味と考えれば、風情さえ感じるほどだ。
それに、パンを柔らかくするための貴重な手段だ。
久々に柔らかいパンにありつける。
もぐもぐと、少しずつ、よく噛んで食べる。
ここに来て、僕の健康状態はかなり改善されたのではないかと思う。
……いや、ゾンビに健康状態も何も無いだろ。
とツッコミを入れて欲しい所ではあるが、異世界に来て初日から、僕のゾンビライフは終わりを告げたのである。
しかし何も、生き返ったわけでも、蘇った訳でも無い。
ただ、単にゾンビではなかったと。
確かに、ゾンビにしては瞬足だったり、回復力が高かったり、陽の下でも大丈夫だったりと、おかしな点はあったのだ。
僕はそれを、「そんなゾンビも居ても良いじゃないか」と楽観視していた。
楽観視……否、特別視していた。
自らを、特別視していた。
そもそも、何故うちの家系がゾンビの一族であると分かったのか。
何故、僕がこんな体になったのか。
まとめて、詳しく整理しよう。
まず僕は、学校の図書室に寄った。
これ自体は何でもない、ただの僕の気まぐれだ。
別に、唯一のクラスメートだから少しは仲良くしようとか、そんな事は思ってない。
いや、本当に。
……結果的には、会話をしてしまったんだが。
楽しかった、うん。
女子と話す事は何度もあったけども、放課後の図書室で二人きり、なんてシチュエーションは中々体験したことが無かったから。
いや、ここは掘り下げる必要無いだろう。
まあ、その、彼女と話している中で、この町に関する、所謂、都市伝説的な話題が出た。
彼女はそういう、オカルト的な事が大の好きだという、小学生男子のような趣味をお持ちでいた。
別に、蔑視でもなんでもなく、ただそんなイメージがあるだけで、僕もそういった話は好きなのだ。
今は使われていない廃病院に、人影がよく現れるとか。
ただ、その時には、廃病院に何かしらを取りに来た、誰かしらが居るものだろうと思っていた。
そう、好きは好きなのだが、僕は都市伝説はあまり間に受けない方なのだ。
遭遇したことが無いし、遭遇する事も無いだろうから、話半分に聞いているのだ。
だからこその、面白さというものもある。
しかし、彼女から話された都市伝説の数々は、彼女の巧みな話術により、僕の中に何かを残したのだろう。
帰ったら、蔵の中を探してしまっていた。
いや、ガラクタに溢れた蔵があって、摩訶不思議不気味な話を聞いてしまえば、少なからず冒険に出てしまうのが少年心だ。
普通であれば、何事も無く終わり、高揚感は僅かな失望となり、大人の静けさに嫌気がさしながらもそれに耐える痛苦を味わうものだが、そうもいかなかった。
ハプニングが発生した。
ハプニングハプンドだ。
蔵の上段、それも3メートル近くはある最上段から、弾みで壺が落ちてきた。
というより、蔵の中に壺が多過ぎる。
それぞれ違う訳でもなく、同じ柄の、同じ形の壺が、幾つもあった。
そしてそのうちの1つが、僕の脳天に直撃した。
重量は恐らく12ポンド程で、それが人一人分くらいの高さを自由落下の上に、しゃがんでいた僕の脳天をカチ割ったのだ。
当たり所が良ければ、まだ助かったかもしれない。
例え良くなくとも、悪くなければ生きていられたかも知れない。
しかし僕は、当たり所が悪かったのだろう。
鈍器を脳天の、最も遅くくっ付く頭蓋の割れ目に落とされ、それだけでなく、不安定な体勢からの首への強力なダメージで脊椎がお釈迦。
実際には天に昇らず、現に残るのだが。
しゃがんでいたというのも、ゾンビの家系について、それらしき書物を見つけたからで。
棚が揺れたのも、棚の奥に落ちていた書物を取って立ち上がる時に棚に頭をぶつけたからで。
要するに、僕のドジである。
そして、目を覚ませば同日の夜中で蔵の中。
何も分からず、気絶くらいで済んでいたと思っていた僕であったが、父の未だ帰らぬ家に戻って、見てしまった。
人ならざる者となってしまった、我が顔を。
人生で一度も見た事の無かった、流れる血と、染まって紅くなった顔を。
それでまあ、手に握っていた書物を読んで、血統の事を知って、それが良からぬことを齎すって事を知って、とにかく身を隠そうと都市伝説に聞いた廃病院に逃げ込んだら、どこからともなく謎の部隊が強襲してきて、てんやわんやである。
そう言えば、廃病院の事を教えてくれた事もあるし、彼女は今、何を思っているんだろう。
僕は行方不明扱いだろうし、高校二年生になって初めて喋ったであろう友達をその日のうちに失って。
それなりにショックだろう。
他人ではないのだから。
いやさ、究極的には他人になるのだが。
流石に、彼女がそこまで人間性を喪っているとは思えない。
話は出来たし、なんなら面白かったしな。
あぁ、そうだ。
名前、一応言っておくか。
最後の同級生だったし、唯一のクラスメートだったし、話の合う仲でもあった。
僕はここまでの関係を以てしても、未だに他人を気取る程に薄情では無い。
名前も、覚えてしまってたしな。
何処かで聞いた時に、すぐ思い出せるようにも、確認はしておくか。
4日ぶりだな……えーっと、確か。
彼女の名前は……上谷 五花(うえや いつか)だ。
「……全ての準備が整いました」
くすんだ赤茶色のローブに身を包んだ老人が、恭しく頭を垂れる。
先には、藍色の豪華なドレスを身に纏った、如何にもと言わんばかりの、王女が居た。
「良い。では、開始せよ」
王女は座に着いたまま、扇をパチンと閉じ、老人を指すようにして前に突き出す。
「はっ……!必ずや、捜し出して御覧にいれましょう」
老人はそう言うと共に、巨大な広間の片隅にある影へと消えた。
その顔を覆う歪んだ口角が、嫌に吊り上がっていた。
「良かったのですか?」
老人が姿を消すのを見届けてから、座の陰より、小柄な甲冑が現れた。
「かの目は、人を欺く事を厭わぬ、狡猾な獣の目で御座いました。そのような者に、協力を仰ぐなど……」
「口答えをするな。そして、その話し方もやめよ」
王女は、座に肘を起て、頬杖をつく。
甲冑の女性は、やれやれよ言わんばかりに肩を竦める。
「あーぁ、はいはい。どうせこの場を見られても怒られるのは私でござんすからねぇ」
甲冑からは一転して、陽気な声が響く。
「それにしても、そんなに彼が大事かい?」
王女は溜息を吐き、遠くを見やる。
「本来であれば、ここまでするつもりは私にも無かったのだが……」
その様子に、側近の騎士は反応せざるを得ない。
「おやおや?もしかして彼にほの字かな?」
「ああ、そうであるな」
王女は否定することも、嫌がる素振りも見せずに答えた。
騎士は少しつまらなさそうに言う。
「ちぇー、姫さんたら、張り合いねーの」
王女は淡々と答える。
「知られて恥じる恋なれば、せずとも良いものよ。それに、二人の時は私の事は名前で呼べと、言ったであろう?」
甲冑の隙間から、溜息が漏れ出す。
「その喋りさえ止めてくれれば、もっとスムーズに事が進むのにってなぁ……」
「これが私だ。止めるも何も無い」
「へぇへぇ。おしめ履いてる時からの付き合いさ。わぁーってますよ」
騎士は兜をポリポリと搔く。
「それじゃ、現実的な話だ
「あいつに貸した捜索用の兵なんだが
「勿論、タダじゃねぇ
「場合によっては数を減らされるが
「そこんとこ、どうお考えで……?」
「……イツカ」
「……安心せよ。損害分は補填して余りある保証を取り付けた
「約束を守る保証は無いが、その時こそは我が国の総力を以て彼奴を潰す
「そして、兵が空いた間は、なるべく他国との干渉を避けよ
「商人はいつどこで口を滑らすか、気が気でないのだから」
「……あいよ」
そう言い、騎士は音も無くどこかへと去った。
残された王女は、座に着いたまま、見栄に虚飾を散りばめた豪華絢爛な広間よりも遠くを眺め、溜息を吐いた。
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