第2話 機械使いと龍。
……あーあ、おこられちゃったねーアリア。
フニウ! あれは別に怒られたんじゃないよ? ルイスは注意してくれただけ。まあわたしが悪かったからねー。
……あはは。しょうがないなー。そういえば南西の海岸沖に小さな龍が生まれたよ。
んー、わたしが行かなきゃダメ?
……まああれならまだ騎士団に任せておいても良さそうだね。
ならおっけー。わたしがあんまり出しゃばると良くないよね?
……人は頼りすぎるからね。アリアの父親も結局それに殺された様なもんだから。
ああ。お父様は力の強い
結局最後は龍に負けた。
その地域の被害は甚大で、人々は負けた父を恨み、補償をしろと押しかけ、そしてわたしたちは着の身着のままおうちを追い出されることとなったのだった。
怖いな。
いつも、そう思ってる。
このチカラはあまり人に知られたくない。
わたしがそう思っちゃったのもフニウはわかってくれるかな。
……わかるよアリア。だけど、逃げちゃダメだよ?
うん。ありがとう。
お父様から聞かされたこの世界のこと。
「この世界には太古の機械が山ほど存在するんだ。ほら、此処にも其処にも。見えないけど在る」
「えー。見えないの?」
「此処よりも高い次元に丸まって在るから人には見えないのさ」
「ふーん。フニウは見えるよ?」
「ああ、フニウはお前のナビゲーターだからね。よく話を聞いて、よく学ぶんだよ。りっぱな
「うん。がんばる。わたしパパみたいに龍を退治するのー」
「そうか。アリアは素質があるからな。頑張れ」
そう言ってよくわたしの頭を撫でてくれた大きな手。
懐かしいけど思い出すと悲しくなる。
ルイスはフニウが見えなかった。
双子なのにね。
最初は、
「お前ばっかりずるい!」
って言われたりもしたけどお父様が龍に負けて亡くなってからはそういう事は言わなくなった。
たぶん、わたしのことはちゃんと理解しているはずだと思うけどそれでも誰にも言わないでいてくれる。
ルイスなりに、わたしを守ってくれてるんだってそうもおもうのだ。
がしゃん。
あ、しまった。
箒の柄が当たって壁際に飾ってあった花瓶が落ちて。
「あなた、何をしているの!」
と、通りかかったのはクローディアお嬢様だった。
「掃除も満足にできないのかしら! ほんとダメメイドね。ほら、さっさと片付けなさい。メイド長に話しておくから後でしっかり叱られるといいわ!」
そう一瞥してそれだけ一気にまくし立て、お嬢様は部屋に戻って行った。
ふう。今日はあれだけで済んだかぁ……。
……よかったですねー。いつもなら10分はお小言が続きますからね。
おトイレにでも行きたかったとかかなぁ。何にしてもよかった。
わたしはそうフニウと会話しつつ、右手を落ちた花瓶にかざした。
意識を集中する。
花瓶を持ち上げ確認。
うん、割れてない。
そのまま壁の棚に戻しお花もそっと持ち上げそのままもとの状態に生ける。
お水を生成して満たし、床を乾かす。
汚れやゴミを集め。
染みも綺麗に剥離。
終わってから。
周りを確認するけど見られてないよね?
……大丈夫だよー。
ありがとうフニウ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます