第4話 年越し入院の利点と欠点
もちろん、年越し入院などという悲しいことは、するべきではありません。
痛い、苦しい、辛いという人間の嫌なことを、わざわざ受ける必要はないのでは、と思います。
ただ、お正月は訪問看護センターはお休みになります。
訪問介護ヘルパーもお休みする事業所が多いです。
もちろん、デイケアやデイサービスもお休みする事業所が多いです。
つまり、1週間ほどは家族がしんどい思いをすることになります。
下手をすると、1人で苦しむ可能性すらあります。
難病患者は、通常であれば、車イスに座って落ち着いているとか介護ベッドで、静かにしている患者さんが多いのです。
家族からすれば、お正月の寒気の中、インフルエンザ等が流行している人混みの中に、ただでさえ免疫力の落ちている難病患者を連れ出すことは恐怖でしかありません。
そのため、1人寝室に寝かせて外出したりするのです。
もちろん、患者にしても自分の寝室ですので、テレビは、見放題。
自力で車イスに乗り換えることができる患者ならば、湯沸しポットとカップ麺、電子レンジが、手の届く場所にあれば、様々な食事も、インスタントコーヒーでも自由に飲めますよね。
下半身不随等という重い障害でも、トイレの対策さえ、できていれば、自室の方が快適なわけで。
そういう対策が取れるかどうかは、ケアマネの腕の見せ所ですが。
神経難病は、ほとんどが、原因不明で治療方法のない病気ですので、残念ながら、ケアマネにコントロールできるわけないのです。
神経難病の専門家である、神経内科のドクターや神経難病病院の看護師ですら、把握できていないのです。
ケアマネに、そこまでの状況が伝わるわけは、ありません。
したがって、患者本人が、もしかして、将来できなくなることを理解して、準備できるかできないかにかかっているのです。
筆者の場合、病院の看護師さんのアドバイスと作業療法士のアドバイスが、効を奏して、入院するぐらいなら自室にいる方が楽という状況を作れております。
幸か不幸か、入って頂いているすべての事業所が大晦日まで通常営業と訪問介護は元日からお願いできる、訪問看護は2日からでしたが。
自宅内とは言うものの、LDkと自室をうろちょろできると、朝食は、焼きたてのトーストに、たっぷりマーガリンを塗って、湯沸しポットからインスタントのカップスープにお湯を注ぎ、コーヒーメーカーから淹れたてのレギュラーコーヒーをマグカップに注ぎ、少し低く作ったキッチンで、スクランブルエッグを作って、冷蔵庫からオレンジジュースを出して、リビングの大型テレビで、朝の情報番組を見るという、優雅な朝を楽しむことすらできております。
問題は、大小の排泄でしたが、ここが、難病専門の看護師さんのアドバイスで、ベッドからでも車イスからでも自由に小用が足せるように工夫できました。
大については、訪問看護師さんに浣腸していただき、リフトで簡易トイレに移動してという工夫ができました。
これは、難病専門病院の作業療法士さんのアドバイスが、効を奏しております、
介護ベッド、移動用リフト、車イスも含めて、全て電動ですので、筆者の部屋にはソーラー発電と蓄電池で、停電しないように装備してあります。
球脊髄性筋萎縮症ですので、近い将来、球麻痺から、酸素吸入も必要になりますので、転ばぬ先の杖として、装備しました。
1年365日、なんらかの形で看護又は介護又は介助の手が入って頂けるように態勢が組み上がり、1人でも、自宅内なら自由に動けて、停電対策までできていれば、普段の生活では、病院より設備が整っているということになってしまいました。
これは、当然らしいです。
病院では、自分だけのための準備はできませんよね。
自宅の自室であれば、自分自身のためだけの準備を、専門家のアドバイスの下で、完璧を目指してできます。
上手くいくと、公的補助が受けられる場合もあります。
年齢によっては、障害福祉と医療福祉と介護保険の三つ巴で準備を進めることもできます。
この公的補助は、制度上のややこしい組み合わせが必要になりますので、ここが、ケアマネの腕の見せ所ということになります。
そういう対策が整っていない患者は、場合によっては入院して、看護介護を受けられる方が良いでしょう。
もちろん、体調が悪くないのに入院は・・・と、なりますが、重病で長期療養が必要な患者には、レスパイト入院と呼ばれる、家族等の介護者の休息を目的とする入院が認められておりますので、その制度を利用させて頂きます。
そうすることで、患者は、安心して年越しができて、家族も安心して初詣等の外出ができるようになります。
最低限の血液検査やレントゲン検査、最低限のリハビリを受けることができるので、筆者はリハビリ強化合宿のつもりでレスパイト入院している次第です。
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