第2話 病室での紅白歌合戦

緊急手術の当日は、痛みや不安で眠れない患者さんが多いとのことで、看護師さんが、1時間に1回という頻度で確認に来てくれるんですが。

申し訳ないことに、筆者は、しっかり爆睡しておりました。

筆者の手術を担当してくれた先生が、上手な方で、肺胞から膿を掻き出す手順を、排出ポンプを接続する穴から施術できる先生だったので、ドレンホースが排出側と、洗浄した体液を戻す側の2本のホースが身体に突き刺さっているのですが。

しかし、筆者の場合は、ホースのための穴から掻き出せたために、膿を掻き出すための穴を開けていないので、その傷口分、1箇所少ないのです。

もちろん、点滴と口からと鎮痛剤や抗生剤をオンパレードで投与されてはいますが、それでも、激痛なはずだと言います。

しかし筆者は、幸か不幸か、難病、球脊髄性筋萎縮症のおかげで、ドレンホース側の半身が、感覚がなくなるほどにシビレてしまっていたのです。

ドレンポンプを、可動式の点滴棒にくくりつけてもらって、電動車イスを運転しながら、押して動くという暴挙で、デイルームと呼ばれる、見舞い客との面会場所で、紙コップ自販機のコーヒーを楽しむようになってしまいました。

しかも、このデイルームには、大型テレビとWi-Fiまであるしまつ。

そうなると、日中、このデイルームに入り浸りになります。

朝食までの時間は、湯沸かし室からお湯をもらって、病室でインスタントコーヒーを楽しみながら、朝のワイドショーで過ごしますが。

朝食後は、デイルームでスマホで、メールのチェックとSNSのチェック。

朝の時代劇数本を観賞するのですが、年末になると、特別番組になりますので。

今なら、このサイトで執筆となるのでしょうが、当時はまだ。

暇をもて余していた筆者を、将棋に誘ってくれたお爺さんの患者に、将棋を教わりながらお相手するようになって。

もちろん、太刀打ちできるはずはありませんが。

そんなこんなで、なんとか暇を潰しながら、迎えた大晦日。

病室の消灯時間は早く。紅白歌合戦が始まる頃には消灯時間になってしまいます。

もちろん、絶対に笑ってはいけないも同様です。

しかも、担当の看護師さんによっては、カーテンを締め切り、消灯した上で、イヤホン使用なら、紅白歌合戦だけ許してくれるということになります。

笑いそうな番組は、許してくれません。

できることなら、紅白をタイマーで視ながら、寝落ちするのがベストだと思います。

笑い声が出そうな番組はやめてくれと。

まぁ、眠っておられる方がいらっしゃいますので、当然ですが。個室でもない限り、自宅での年越しのようには過ごせなくて当然ですよね。

それでも、ICU(集中治療室)にいると、テレビがありませんので、紅白歌合戦すら見られませんので。

早期に、一般病室に移れることを最優先して、個室が良ければ、順番待ちというのが理想的なようです。

現在は、厚労省によって、1人の患者のスペースの広さが定められているため。

ほとんどの病院で、4人以上の大部屋を作れなくなっていますので。古い建物の病院なら、昔、8人部屋だった部屋で4人になっていますので、けっこう広くなってはいるのですが。

それでも、個人の主観的問題になりますね。

病院は、公共施設ですので、最低限のマナーは守らないとなりません。

少なくとも、患者が病人であることを理解して、治療に必要な規制は守るべきと考えます。

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