第3話 楽園のような森
ボップ! ボップ! ボップ! ボップや!
誰かがボップの名前を読んでいる。女性の声だ。
「 … ? ここは? どこ? さっき僕の事呼んだ人はだれ? 」
ボップは夢の中で起きた。
眼を擦り、むくっと身体を起こした。
真っ暗な空間だった。何も見えない。ボップが後ろを振り向くと、ポツンと、一つのランプ、そして、木で出来た小さめの看板がある。 看板には「 Dark sea 」と書かれている。
ボップはそこに近付いた。すると次の瞬間、ランプが上に持ち上がった。
ボップはびっくりして、尻餅をついた。
「 うわっっ! ? ? 何で勝手に上がったの? 誰かいるの? 」
そこ居たのは、ボップのおばあちゃんだった。
ランプを持って看板な隣にたっていた。
おばあちゃんはボップに語りかけた。
「 ボップや いつまで寝てる気だい? いい加減、起きなさい! 」
「 え? どういうこと? 僕は今、起きてるよ。ここは何処なの? 」
ボップはおばあちゃんに語り返した。
「 いいかい ここはダーク・シー 暗い海だよ 」
「 ボップ ここはね、なにもない真っ暗な空間。友達も知り合いも自然も光さえもないところなのよ、ここにはこのランプの小さな光だけ。ボップ ここを明るく元気にこのランプのように、照らしなさい。大丈夫、おばあちゃんはいつでも見守ってるよ。頑張りな 」
すると、おばあちゃんは語ると、消えるかのようにその場からいなくなった。のこったのは一つのランプと木の看板。
おばあちゃんの声はボップの深い心の奥に突き刺さった。
おばあちゃんが消えると、途端に猛吹雪がボップを襲った。強く痛い吹雪が突然襲った。
ボップはぶるぶると震えた。足がすくみ、ついに座り込んでしまった。
「 でも、思い出せない。僕はどうすれば… 」
ボップはなにも思い出せなかった。ボップはおばあちゃんの言葉を思い出してみた。
「 真っ暗な空間… 駄目だ! もう少しで思い出せそうなのに! どうすればいい? 誰か教えてくれ! 」
ボップは頭を抱え悩んだ。
すると、小さな雷のような刺激を頭をよぎった。なにもかもを思い出したかのように。ボップは、はっ! すべて思い出した。
自分はどうすればいいのか、そして、暗闇を光へと変える方法。
ボップは走った。ひたすら暗闇の中を息を切らし、寒いので白い吐息を吐き、ひたすら全力でボップは走った。
すると、目の前に大きな白い扉が見えた。だいぶ古い扉がそこの周りだけ苔やツルがおいしげっていた。まるで何者かから扉をまもるように、囲むように生えていた。
扉の左右にはランプが光を照らしていた。
ボップは、ハアハアハアハアと何回も息を切らし、手を胸に当てた。
その扉には黒い文字で「 Illuminate the light 」と書いてある。
「 光を… 照らせ? 」
「 そうか、これはおばあちゃんが僕に残した言葉。わかったよ、この空間も、みんなの笑顔も、ピクシーたちの暗闇を明るくしてみせるよ! もう大丈夫! 」
ボップは少し悲しそうな眼をした。涙がでた。
ボップは涙を拭って、勇気を振り絞り、真剣な眼差しで、両手で力いっぱいに扉を強く押した。
扉は軋む音とともに、すこしずつ開いた。
悲しい悲鳴のような音だった。
この扉も待ってたんだな。ずっと暗闇の中で一人で、寂しかっただろうな。
ボップはそんな気持ちになった。
扉を開けると、眩しいほどに光が射し込んできた。
光のせいかあたりがよく見えない。
ボップはなぜか一歩を踏み出せなかった。
自信がなかった。だけど、あと戻りはできない。したくない。
すると、そんな立ち止まってるボップの後ろから誰かがボップの背中を押した。
ボップは誰だろ? と思ったが、おそらくおばあちゃんだろう。あの暖かい手はおばあちゃんだろう。そう感じた。
ボップはついに、あの光の射すところへ一歩を踏み出した。
ボップは光とともに、消えていった。
ボップは目を覚ました。
雪は小ぶりになっていた。そして、あの暗かった終焉の怪物もすっかりみえるようになっていた。
すっかり朝になっていた。
ボップはあたりを見渡した。
「 あれ? 僕は今までなにを? あの暗闇はいったい? ? 」
ボップは何が起きたのか状況が掴めなかった。
でも、かすかに覚えてるのは、おばあちゃんが助けてくれた事。背中を押してくれた事。本当に感謝してもしきれない。そうボップは想った。
ボップの目の前には、エルダーの森と書かれている看板がある。顔を看板の先に向けると、あたりはキラキラとひかっている。その中心には凄くデカい樹木が凛々しくたっていた。この木はエルダーの森の中心にある有名な「 Fairy tree 」の名で通っている。意味は妖精の木。
凄く綺麗だった。まるで楽園かのように、綺麗だ。
いままで見たことないぐらいのあまりにも綺麗な光景にボップは驚いた。眩しかった。こんな綺麗なピクシーも見たことない。これが、ピクシーが住むエルダーの森。ボップは感心した。ボップはこんな人たちともっと仲良くなりたい。そういう気持ちで、立ち上がり、拳を握りしめ「 ついに、ここまで来たんだな。 よし! 」
ボップはそう言い、フェアリー・ツリーを目指し、歩き始めた。
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