第7話 境界門と2つのヘイム
背筋が凍る。
「理玖くん如何かしたの?」
ふとその言葉で我に還る。まるで何かに魅せられていたかのように彼女を視ていたので仕方ないのだろうが。
「いえ何かとても懐かしい気がしたので。ただ何が懐かしいかはよく理解できませんが」
「懐かしい?なにがー」
「ちっ!来る」
2つの異能の眼が共鳴して熾る感知能力は一度起こったことを完全に捉える。なので懐かしいは十分に可笑しい状況だが。そして警報がなり響く。
「
「場所は近いな」
あの緋色のミノタウルスといい今日で二度目だ。現在の研究ではワンダーゲートは時空間の揺らぎによる整合性を保つために起こっているとされる。現状グランディウスと地球を繋いでいる隣界に両世界の叡智を集結させた研究機関があり空間固定をしているためワンダーゲートが起こりやすくなっているらしい。
うん?
「この感じ
「レゾナンス?なんですか?」
「頑強な絆で結ばれた人物同士が結べる特殊すぎる契約みたいなものだ。ただ」
対応しているであろう緋色の大剣を取り出す。ドロップアイテムとなった大剣は3mから1.5mとなっている。ただ心臓のように鼓動している。
「それは?」
「今朝戦った緋色のミノタウルスのドロップアイテムです。レゾナンスは視る機会があったので何となくそんな気がして出したのですが」
案の定、レゾナンスになっている。無限収納に収め共鳴先に眼を向ける。ワンダーゲートからそれが現れる。それは
「理玖くん私今視ているものを否定したいのだけど」
会長が怯える表情で尋ねてくる。顔は青ざめ体はブルブル震えている。
「残念ですが眼の基本性能は同じです。アイツは会長の予想通りの存在です」
この気配は間違いなくあの連中だ。なぜかエレオノーラに執着してその身を狙い続ける狂った連中。地球にしろグランディウスにしろ連中の本拠点を見つけることが出来ていない。
「おい皇どういう事だ?」
「…。ワンダーゲートから出てきたアイツは死ぬほど危ない連中だと言うことです」
如何するか?この場で一番の戦力は僕だ。でその次のイリス会長は目の前の光景に自我を亡失しており残り3人では太刀打ち出来ないだろう。エレオノーラを守るためにはアレを早く無力化すべきなんだがこの状況であの場には連れていけない。この距離から殺せないわけではないが一撃では殺せるわけでもないしその一撃で殺せる方法では周囲への被害が大きすぎる。ただ向こうはもう気づいたらしい。こちらに指を差し向け何かを唱える。
「《万物を遮断せよ》」
「《光り輝く障壁よ》」
その魔力の威圧感を感じとったのか2人が一節で防護系魔術を唱えるが拙いな。
「プロテクト」
防護系強化魔法により2つの魔術を強化する。そして放たれる魔力波動。一瞬で2種の防壁を無効化する。予測はしていたが一番最悪だぞ。
「ニヴルヘイム」
至高にあるその氷結魔法を解放する。多少の改編を加えて規模を効果を超えたオリジナルのニヴルヘイムが冷気を創りあげる。その魔法が魔力波動を相殺する。セフィロトを抜き唱える。
「
勝利から栄光へ架かる橋が魔力の光に灯る。ペーは狙撃の魔弾。そして必中の魔弾。攻撃を届かせるためにある魔弾。故にどんな時にも重宝する。
「《炎は揺れる・承が紡ぐ炎・天に繋ぐ陽》」
会長が立ち上がり眼を凝らしてかの存在を捉えて紡ぐ。その絶大な魔力を纏めて練り上げる。ペーが着弾しその場に縫い止める。
「《焔は焼く・世界を覆い尽くす祝詞・鉛直に全てを具現せよ・神代も恐る地獄となれ》」
極炎の地獄が具現する。この戦術級魔術【ムスペルスヘイム】。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます