第13ー7話月夜の悩ましい思索1
脳科学の分野では、真実性錯覚効果と言って、実際にそうかとかと関係なく、しかも事前に嘘であるなどの旨を教えられていても、以前に聞いた事のある文言は真実だと思う傾向がある、ってな事を解明しているらしいです。
しかし思えば、この脳の傾向と言うのは恐ろしいと実に思うのですが、何故かと言うと頻繁に流れる広告で肯定的な宣伝をされれば、そのように信じてしまうし、宣伝活動はメディアなどを使って、巨大政党が語る政策を支持する流れになる可能性が高い上に、これは否定的に流す場合でも報道が意図とは違った形で助けてしまう事にもなりかねない。
単純接触効果なる現象は、以前に見た物を――顔などが顕著になる例ですけど――記憶していなくても潜在的に影響を与えて、見れば見るほどより好むようになると言います。こちらに広告などは近いかもしれません。
では、それを逃れられないのなら規制すればいいのかと言うと、そんなのを全て規制するなんて訳にはいきませんし、これこれの物だけを規制するなんて事も出来ません。だから判断する為の情報を多数にするのが好ましいとしか言えません。
これは、思想の土壌では、複数性を保って多様な視点を得て判断するように促す方が、多角的な視野が身について、多様性を確保出来るのではないかと言う見立てがされている様なものでしょうか。
こんな風な本を読めば、ならどうすればいいのか、自由意志とはどこにあるのか、それならば秋を見た時に影響を受けて、頻繁に会っていたから好印象になっていたのか、それともフェロモンの関係なのか、とか変に意識が飛んでしまいます。
だって、男性は女性が排卵している時に魅力的に思うセンサーがあるみたいな話もあるじゃないですか。これはじゃあ女性同士ならどうなのか、匂いの遺伝的相性もそうですし、子孫を残す意味のないレズビアン同士の関係で、月経周期は関係ないとは思いますが、どこまで思考がクリアな状態で、相手に対する好悪を決められるのか、相当に生物の形質が絶望的に感じてしまうと同時に、でもそんな生物だからこそ、器質的に決まっているあり方を差別しないように、そんな概念を周知する必要もあるのではないかと思います。
だからこの本を読んでくれた人達は、これから先に遺伝学や脳科学などの最新の解明にも気を配って貰って、それを差別に繋がらない様な慎重さを保持しながら、有効活用してくれたらいいなと考えています。
それと言うのもある時期になると、より秋の魅力が強く感じられて、忙しくてイライラしそうになっている時に限って――この頃からより読書とアウトプットにも時間を割く事に注力しだしたので、より時間がないと感じて、神経質さも高まってしまったかもしれないのです――どうも性的興奮とは別に性器の敏感さとか、ムズムズする感覚が強まってしまい、どうしようもなくなって、我慢する事で前頭前野を鍛えられると思ってそうしようともしていたのですが、どこまでも苦しくなって発散をしなくてはいけなかったりして、秋も忙しそうにしていたのでセックスを介する事は少なかったのですが、ちょっとだけの要求なんかもしてしまっていたようです。
だからわたしは、自分の体のままならなさをどんどん感じだしてしまって、SFを読めばどうしても脳のスキャンから電子媒体へのアップロードの技術が出て来る度に、それを羨ましく読んでいて、肉体に澱が堪っているのをもどかしく思うので、肉体の檻から脱出したいと思ってしまうのです。自由な状況で、自己発露で好きな時に秋と求め合いたいの。体が意識よりも先に求めてしまっては、元も子もないでしょう。
イライラした時は、牛肉を食べるとトリプトファンと言う成分が、精神の健康を保つにはいいらしいと聞いて、実際に調べたりもしてみて、どうもセロトニンを作るとかで、それで精神的に参りそうな時はお肉料理を出せないかと、楓ちゃんに頼み込んだりもして、買い物にも付いていったりなんかもして、わたしも食卓の献立を考えるのに、随分影響力を持ってしまったようで心苦しかったのですが、そう頻繁に起こる訳でもなかったと言えば嘘になるかもしれませんし、結構この頃の忙しさは、何の為に通信制の学部にしたんだっけと思う自分にとってのハードさだったのですが、秋も淡雪さんも喜んでくれているみたいでしたし、野菜類も栄養価を考えて楓ちゃんが主に献立を考えてもいたので、それほど評判も含めて悪いようにはなりませんでしたと、言っておきましょう。
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