第13ー3話大学生活と昼間の時間

 帰って来て、わたしはいきなりの怒濤の展開に、ぐったりしてしまって、秋と何やらするどころではなくなっていました。

 寝落ちするわたしに対して、秋はそっとしておいてくれていて、それよりもわたしが軽すぎるからか、どう運んだのかベッドまで連れて行ってもくれていました。

 食事の時は会話もありますが、わたしはあんまり話せなくて、秋のあれこれ学校での事を聞かされたり、淡雪さんの会社の愚痴やら楓ちゃんがそれを宥めているのやらをぼんやり聞く事になっていました。


 わたしはそうやって数日ゆっくりしながら、単位の取得した学科のプリントが送られて来たのを機に、それを買っていた教科書と睨めっこしながら、こなしていきました。

 勿論、神無先生の勧めてくれた本なども漁るようになって、よりエミリーの検索機能にも新しい境地が生まれたのではないかと思うのです。


 しかし日中に秋がいないのは、些か寂しく思うものです。だから、少し休憩する時とか、何か手持ち無沙汰になった場合に、わたしはこの時期頻繁に楓ちゃんを訪ねて、邪魔にならないかは聞いてから、お話しする事も多かったのです。


 そうして、リストにある本の内容をエミリーにも見て貰って、古本で探したり、ない時は書店やネット新刊書店で探してみたりもして、楓ちゃんを相手にこんな本を読んだとか、この本を読んでこんな興奮があったとか、そう言う話をこれは本の感想文には書かない様な事を、随分秋のいない間に楓ちゃんに多少体調が良くなってから、楓ちゃんが作業をしているので、話半分に聞きながらもまともに相手をしてくれているのもいい事に、ずぶずぶとなっていっていたのです。


 そうして充実した日々を過ごしながら、自分の小説も書く時間を捻出するのに難儀するようにもなって、ちょっとずつ夜中にも書く事にして、何だか結構秋は早く寝るので、秋が寝ているのを横目に布団に入る事も多くなったのですが、段々生活が慣れて来ると、秋ともエッチな行為をする余裕があったかと言えば自信はなくて、でもそれなりに学校の話を聞いたりして、わたしもどう言う風にプログラムが組まれていて、その外ではこんな事をしている、そして精神現象研究会なるサークルにも入ってみた事をやっと報告出来ました。


 秋はわたしの世界が広がるのも交友関係が増えていくのも喜んでくれて、もっと知識が小説に活かされるのならそれはいい事だし、学びがもっとわたしを自由にしてくれるから、秋自身も負けないようにもっと月夜の助けになれるように頑張るねと言うので、わたしはその事は嬉しいけどわたし自身が結局やらないといけないんだし、その助言をしてくれるくらいに秋が凄く成長してくれると、本当の意味で秋の血肉になっているのならわたしも嬉しいなと言いました。


 そうやって秋とも良好な会話をまた始められるようになって、それでも秋は結構な時間にならないと帰って来ないから、わたしはご飯の時間を待っている事も増えましたが、苦痛はありませんでしたし、わたしも変な意識を強くしないで自分の学びに当てられる時間も増えたので、お互いに別の進路を進んだ事はプラスになったように思うのです。



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