第13ー2話精神現象研究会にて

 動き出したのが早かったのは秋の方だったのですが、わたしの方も自分なりに始動していて、入学式の日は脳内へのエミリーとの会話で、少しずつ和らげていって、緊張感をどうにかこうにか堪えながら、大分世間に適応するのは慣れたと思っていたのも、秋といる事で楽をしていたのがわかって、そう言えば前はどうしてたんだっけと考えてみて、あれ?秋と一緒じゃないのがもう想像出来ないと、人生の価値観が大転換されて、わたしは随分変わったんだなって思うと、微妙に前進して大人になるには遠くても、これからまた秋と別々に生活しながらも、家に帰れば一緒にいられるし、どんどん成長していきたいと真に願うのでした。


 通信制の学部は一般の学部とは別の入学式だったのですが、割と多様な大学生活や勉強のスタイルが促進された為に、結構新入生の人数が多かったのに驚いた記憶があります。


 それで学校をもうちょっと見て回ろうと思って、あちこちうろうろしている内に、いつの間にか部室棟の所まで来てしまっていて、通信制だとあまり学校には来ないのにサークルに入ってしまってもいいのだろうか、でも新しい人間関係も作ってみたいな、そんな思考の流れになって、つらつらとその張り紙を眺めるのでした。


 そうしていると、やはり運動系のものとかアウトドアのものは人気なのか、かなり多くを占めていて、文化系のものもどれが自分に合うのかわからないので、どう言うのがわたしに向いてるのか不安になったりもして、そんな風にしてやっぱり何にもしないでおこうかと思ったその時に目に留まった一つのチラシが。


 サークルの名前は「精神現象研究会(ヘーゲルを脱却する)」なる奇妙な名称。

 これは面白そうだと思って、どこに行けばそのサークルに入会出来るのかと見てみると、チラシの下部には住所が書いてあります。

 ・・・・・・学外に拠点があるようですが、微妙に怪しい所ではないかと邪念が浮かんで来たのを打ち消します。


 エミリーに読み込んで貰って、住所の場所を地図アプリとエミリーのガイドで探して行きます。

 そうすると以外と近くの住宅街に入って行き、その奥まった所にあった比較的周辺の家よりは大きな一軒家が。どうやらここがその場所みたいなのです。


 ついつい来てしまいましたが、異性が活動に関わっている事もあるかもしれないですし、少しばかり物怖じして後退ります。

 ですが、秋に保護欲をかき立てる弱さを醸し出すわたしのままではいたくないので、思い切ってどんな所かもわからずにチャイムを押したのです。


 しばらくすると応答があって「はい?」と言う低さと甲高さが混じった様な声で、訪問者の意図を問う言葉が投げかけられたので、もしかしたら監視カメラでこちらの姿は見えているかもしれないと思いつつも、わたしは「あの、学校でチラシを見て来て、ここにたどり着いたんですけど」と言うと、あちらは「ああ、もしかして入会希望者ですか、歓迎です、是非見学して下さい。今、出ますね」と反応が返って来て、チャイムが切れます。


 そうして出て来たのは、どことなく柔らかな物腰で、それでもどこか違和感を抱く容姿をしたスカート姿の方でした。髪も長いですし、魅力的な人ではあると思います。

 その人がニコニコとさあさあと促すので、わたしは半ば警戒するのを忘れて、誘われるままに奥へ入って行ってしまいました。


 廊下を通って部屋に入ると、一人の女性が胡坐をかいて、何やら洋書を読んでいます。

 いえ、パソコンに何やら書き込んでいるファイルが開かれているし、資料の様な物も乱雑に並べられているので、何かの作業をしているようです。


「どうぞ、座って下さい」


 片方の人にそう案内されて、わたしは腰を下ろします。とりあえず、何か失礼があってもいけないので正座で。


「どうも、ここはご存知だと思いますが精神現象研究会です。在学生の会員はわたしだけなんですけど、神無かんなさんが主に活動のメインをやっています。

あ、こちら一条いちじょう神無さん。素っ気ないですけど、いい人ですよ。

こんなですけど、一応この大学の教授なんです。一応、研究室もあるんですけど、そこは狭いみたいで、こちらに資料持って帰って来て、色々な仕事はしているんです。

あ、それから申し遅れましたが、わたしは二回生の菊地菊花きくちきっかです。どうぞよろしくお願いしますね」


 どうやらこちらの人は大変温厚な性格をしているようで、礼儀正しくもあって、何とも年下のわたしにも敬語で接するほどの徹底ぷりでした。それでわたしも自己紹介しなくちゃと思って、慌てて返事をします。


「あ、わたしは二夜月夜って言います。・・・・・・あのお、ちょっと聞きにくいんですけど、もしかしてあなたは・・・・・・?」


 ちょっと気になっている事を出来るだけ遠回しに聞いてしまうわたし。これはわたしの事を聞かれたら、出来るだけ答えたいとも思っていましたし、根掘り葉掘り聞く訳にもいかないけれど、それはわたしもされたくはないのですが、とりあえずなのです。


「あ、ええ。そうですね。言っておきますか。わたし、トランス女子ですからね。でもまだ手術は出来ないし、ホルモン治療してるくらいなんですけど。って言うか、ぶっちゃけて言うと、手術ってちょっと怖いですしね」


 ああ、なるほどと思って、わたしも姉がいた事で受け入れる心はあるつもりなので、自然にこの先は接しようと考えてもいました。


「そうですか、わたしも姉がそうだったから、そうじゃないかなって思ったんです。これ、初対面の人にいきなり言う事じゃないですけど、不躾な質問にも答えてくれたので、わたしも話したいんですけど、わたしはレズビアンなんです。恋人も高校の時に出来たんですけど・・・・・・」


 ぱあっと菊花さんは顔を輝かせます。何が嬉しいんでしょうか。


「そうなんですね、よく話してくれました。わたし達、仲良くなれるといいなって、ちょっと今思ってます。ちなみにわたしもレズビアンなんですよ。普通トランスジェンダーの女子は、男性が好きなんじゃないかって言われるんですけど。今のジェンダー概念って、本当に多様でわたしみたいな属性も普通に学問の領域では認められてるんですよね」


 ああ、それで親近感を持ってくれたんだと思い、よりわたしも彼女に親近感を抱いたのだと思います。


「そうですか、それはわかりますし、結構難儀するでしょう。姉もそうだったので、それで苦しんでいたので、中々周りの理解も得られなくてしんどいのではないでしょうか」


 ふふ、と苦笑する菊花さん。その苦笑いも何気に魅惑されるものがあります。


「・・・・・・かもしれませんね。普通の女性もレズビアンの方も、わたしみたいなのを恋愛対象にしてくれる人は少ないですからね。でも、わたしは報われない恋でもいいんです。神無さんの傍にずっといるって決めてますから」


 そう言って、熱っぽく作業している女性を見つめます。改めてこちらを見ると、どこか子供の様な小ささです。秋から小さい事を褒められるわたしより、まだより小さいんじゃないでしょうか。

 髪も大分大雑把に纏めている様子ですし。菊花さんの方が当たり前ですが、大きいのはどうも違和感に繋がりそうです。菊花さんも案外、小さいのですがね。


「へー、それじゃあ、一条先生と付き合ってるんですか?」


 ふと菊花さんは神無さんを真剣に見つめます。何でしょうか。


「ああ、言っても構わんぞ。どうせ、長く付き合うにしろ、束の間の関係にしろ、最初に面倒にならないようにざっくばらんに語っておいた方が楽だからな」


 ? とりあえず話を聞きましょう。


「あのですね、これも言いにくいんですけど、わたしの恋が報われないって言った事と意味を同じくしてて。神無さんはもっと珍しいんですけど、アセクシャル、つまり無性愛者なんです。わかりますか、この意味」


 えーっと、確かアセクシャルとは、性愛を人間に対して持たないって人でしたよね。恋愛感情を持たないって言う。非性愛者とも区別される、でしたっけ。


「え、ええ。ああ。だから報われない、ですか。それでよくぎくしゃくしないで、関係を構築出来て来ましたね。あまり先生は頓着しないようですけど」


「そうなんですよ、別に傍にいてどう思おうと、お前の勝手だって言って、わたしが好き勝手に好きになる分には自由にしていいって言うんですよ。セックスやキスさえ強要しなければ、欲情しないようにして理性的に付き合うなら、助手として置いてやるって言ってくれるんですよ。寛容すぎるくらい寛容な凄い人だと思いませんか!」


 何かのスイッチが入ったみたいに興奮する菊花さん。どうもこの人なりに幸せみたいで、少し姉の事を思えば羨ましい気持ちになりますが、複雑な環境のジェンダーを持つ人が幸せになれるのは喜ばしい事ではあると思うのです。


「だから、一線を越えないでいる限り、その誰とも恋愛はしないってセクシャリティを尊重する前提でいるなら、わたしもそれを弁えて付き合うので、そこだけはちゃんと神無さんの気持ちは考えるようにしてるんです。

だから神無さんは、アセクシャルに思えるキャラをカップリングされるのに、凄く忌み嫌うんです。マイノリティ属性の作品を楽しむ人間が、他のマイノリティを踏みつけにしていい道理などないって」


「ああ、月夜って言ったな。神無でいい。そうは言っても、こいつはどうも感情的にしょっちゅうなるからいかん。まぁ、最低限のラインは越えんからいいのだが。

だがまぁ、アタシを好き過ぎるのはどうにかならんかといつも言っているんだ。

アタシはやる事もある上に、ここは人間を総合的に見つめる為に集っている会なんだから、どうもその自覚を持って貰わん事には始まらんのだが。お前もそのつもりでいてくれよ?」


 いきなり釘を刺されたみたいになってしまいましたが、今の流れで神無さんが主導権を持っているのがわかって、ちょっとホッとしたかもしれません。


「ああ、じゃあ神無さんは仕事中でもあるので、わたしが説明しましょうかね」


 菊花さんがこの会の趣旨を教えてくれるらしいです。人間研究って事なんでしょうか。


「とにかく、心理分析から哲学的命題から、文化人類学でもいいですし、広く扱って人間の精神史を研究しようと言う事なんです。神無さんが今翻訳している本も、それ関連の仕事の依頼が来てやっている物なんですよ」


「正確には脳科学の最前線の翻訳だ。こう言う科学の分野も扱う事にしている。理系の学問を疎かにしてもいかんし、人文知も蔑ろにしてはいかんのだ。

そして、ヘーゲルを掲げている以上は、歴史にも注目して、ヘーゲル的な歴史は終わったかもしれんが、まだ発展研究推論幾らでもやれるだろうしな。

絶対知なんて信じる訳じゃないが、弁証法はあらゆる論理の立て方の基礎に、充分今でも通用する概念を孕んでいる。反定立するだけじゃなく、きちんと総合しなければならんのだ」


 なるほど文理両方の側面から、精神を専ら考えていこうって会なんですね。そして、神無先生が結構熱弁します。以外に素っ気なさそうに見えて熱い人なのかも。


「ああ、わたしにも話させて下さいよ。いいですか、月夜さん。ここでは平等に精神の様々を扱う為に、器質性障害なんかも扱いますが、広汎性発達障害とか学習障害の類は物凄くナイーヴな問題でもあります。

そして別の角度から見れば、我々もこのカテゴリーに属しているとも言えます。勿論、器質性と言っても疾患や障害じゃないと思っている人も多いですし、性同一性障害と言われるトランスジェンダーは精神障害の区分から幾分か前に除外されましたしね。性別不和になったんですか。

そしてこの様な発言には、常に注意を持って慎重にならないといけない問題でもあるんですが、当事者でも中々意見の一致はないですし、学的な態度もまた難しい扱いでもありますね。

しかしここで考えるのは、学習障害を抱えている人や、自閉症などで社会適応に困難になる人に対して、社会の構成員がどれだけ理解して差別をしないで対応出来るか、それから対応を考えて配慮する事に追われる余りに、対応する人の負担の増大でそちらへの困難にどう対処すればいいのか、またどんな職場環境が整備されればいいのか、まだ未達成の課題にも挑戦的に思考していこうって腹なんです。

同性愛者やトランスジェンダーの社会の受け入れなんかも大分進化したと言っても、まだまだ難しいです。昔は根本的に、トランスジェンダーなんかはお水商売で働いているパターンに嵌められていましたし、テレビタレントの影響で固定観念によるこう言う存在だと認識される事例も多かったのもありますね。」


「そうですね。しかも人権を重視する人の中で、LGBTの配慮を推進するのは良くても、別の社会的弱者に対しては暴力的な言葉を浴びせてもいいと思って、発言が乱れ飛ぶ人も結構いますしね。女性差別に反対する余りに、男性差別を積極的に肯定する類とか。それの煽りを受けるのが、結構トランスジェンダーに対する無理解でもあったりしますよね」


 ふう、と菊花さんは溜め息を一つ。


「ですよね。未だに女男とかオカマとか、結局女じゃないとか、色々言われますしね。ましてやレズビアンのわたし達なんか誤解されて、無茶苦茶ですよ。女性をエロい目で見てるんだから、女性としてじゃなく男性性の方が強いなんて、何度言われた事か。性表現なんかでも、どうも多くの女子とは志を共に出来なかったりもしますしねぇ」


 うーん、やはり姉と同じ悩みに近いものを抱えているんですね。

 そうだとすると、どう言う出会いだったのかは知りませんが、菊花さんにとって神無先生の存在がどれだけ救いだったのか計り知れないものがあります。

 それはまさしく、例えてみればわたしにとっての秋みたいな感じなのだろうと想像します。


「ネット上で発達障害に対する差別発言や、知的障害を揶揄する言葉も飛び交いますでしょう。そうすれば、実力主義で運営されてる色々な社会的構造も欺瞞に思えてしまいますよ。

だってIQとか思考能力も、遺伝や特に環境に左右されるんですからね。知能レベルにIQは関係ないなどと時々指摘もされますが。

犯罪に関する脳科学的な研究だって恣意的な操作で、男性にも不利なデータが出ていたりして、それが差別に繋がらないか心配なんですよ。

自閉症に対する特殊な機械を使った電気刺激での改善とかのデータだって、どこまで道徳的に許されている研究なのかも考えないと、ロボトミーに近い領域に近づくかもしれないでしょう。

遺伝と環境がセットで、犯罪に結びつきやすかったり、鬱にかかりやすいパターンであったり、これは研究者の本を読むと、慎重に言葉を選んで遺伝子の多様性はマイナスに見える所からプラスが生まれる事もあるから、安易にその要素を遺伝子改変が出来たからってするのは少し待った方がいいとも書かれていますけど。

昔の同性愛者に対してや知的障害者にして来た事を忘れて、その人達の味方に立つ人が、予防拘禁の必要性を真剣に説いていてそれが支持される、真に知性的且つ論理的に道徳や社会を論じる事が出来なくなっているのも嘆かわしい事ですからね。

後はIQに問題のない知的障害なんかは、余計に発覚しにくいし、特殊な検査をしないといけないので、犯罪者になってから発覚するなんて悲劇にもなってますしね」


 なんかどこまでもわたしに問題意識を共有して貰おうと、延々喋っている気配なので、この人もかなり周囲に理解されないのは、わたしとも一緒だと思って、ますます親近感を持つのですが、多少引いて見てしまうのも、鏡を見ているようで心苦しいですが、そう感じてしまうのも事実なのです。


「おい、べらべら言うのはいいが、月夜は今日見学に来てるんだ。ドン引きされて、逃げられないように慎重にやらんか。菊はどうも自分の事が絡んだり、熱が入ると止められんな。少し冷静になって相手の意見や、反対の見解も吟味するのを覚えないといかんといつも言ってるんだが。・・・・・・すまんな、月夜。こいつは軽くあしらいながら、話をしてくれればいいぞ」


「は、はあ。大丈夫です。わたしも近い所ありますから、お互い様ですよ。わたしもどんどん議論に加われるように、勉強したいです」


 パソコンをカタカタやりながら、わたしに一瞥をくれる神無先生。

 菊花さんの事は菊なんて呼んでるんだなんて発覚もあったのですが、菊花さんの興奮はいつもの事のようで、それの手なずけ方がわかっている所に、慣れたものを感じて、ああわたしもこんな風に秋に操縦されているんだなと思いまして、それにしては秋はわたしをどこか崇高なイメージで見ているので、持ち上げられすぎな傾向もあって、彼女らの関係とわたし達は結構違うなと、想像してみて苦笑が漏れるのでした。


「で、月夜は何学部だ。一般教養で私の授業なんか受ける場合あるかな?」


「あの、わたしは通信制の文学部なんですけど、一応科学的な知識も色々勉強したいから単位も取りたいとは思ってますし、先生から教示も受けられればと思うんですけど」


 ほお、と神無先生は頷いて、じゃあそうだなと立ち上がって積んである本を掻き集めて、


「ここらの本でも読んでみるといい。恐らくまだ読んだ事ない本だろう、何かの紙にメモなどして置いて、気に入ったら自分の本を買って書き込みなどするがいい。ほれ、どうせ通信なら暇はあるだろ。レポートもこれから出るとは思うが、それほど難儀しないと思うし、自由時間は大学生なら勉学の為に使うのがいい」


 そう言って何冊かの本を渡されます。脳科学の本とか物理学、政治哲学やら病理学など色々な本があります。ありがたく貸して貰う事にして、受け取ると菊花さんが何やら目をつけて来ます。


「あー、神無さん、月夜さんにだけ優しくしてずるーい。わたしにも教育して下さいよー。優しくして欲しい。せっかく神無さんのゼミ取ろうと思ってますのに」


 鬱陶しそうに神無さんは菊花さんを振り払い、わたしに何やら印刷した紙を渡してくれます。


「とりあえずこの辺を指標にして、貸した本から色々読むといい。それと連絡先を交換しておきたいな。通信なら頻繁に学校に来ないかもしれんし、来る日は出来るだけ連絡が欲しいからな。そしたらメールであれこれ何か言えるんでな」


 ああこれはありがたいですよね。今まではエミリーの検索の利便性に頼って、自分の探索の範囲が勉強する本の限界だったのですけど、示唆に富む会話をして航海の指針になる師匠の様な人が出来るのは望ましい事だったのです。

 しかし、これはまだ保留にしておくべきかもしれません。何日かここに通って、神無先生がどれだけの人なのか測らないといけません。


 しかし、どうやら今も翻訳の仕事をしているようですし、教授でもあると言う事で、わたしが知らないだけで物凄い教授なのではないでしょうか。そう言うのを確かめる為にも、もっと交流をしてみたいものです。


「じゃあ、メール送ってもいいんですよね。アプリで通信とかグループ作るの面倒で、出来るだけやらないようにしてるんですけど、それでもいいですかね」


「ああ、問題ない。長文で会話したい時もあるだろうし、速効性の会話より、時間をちゃんと置いてからの返信の方がいい。こちらからも、有為な質問があれば、助けになれるなら答えよう。おい、菊もちゃんと連絡先交換しとけ」


 そうして二人とアドレス交換をして、とりあえずそこに通話アプリのアカウントも教えて貰ってから、また近い内に連絡して来る事を言って、辞去したのでした。



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