第12ー4話月夜の立場的な宗教への不信感
そう言う訳で第二弾。エミリーとは、秋の母親の事に関して、信仰を巡った話などもしていました。
やはりどうしてもエミリーは合理的に考えて、彼らが理解出来ないと言いますし、わたしは自分自身の身に照らし合わせて、こう言った宗教的な観点から見るLGBTへの迫害が、恐怖の対象である為に、どうにかして貰いたいと切に思わずにはいられないのです。
だってそうじゃないですか、過激に同性愛を禁忌とする宗教の国から、様々な形であらゆる所に移民は増えて行っている訳です。それで、食事を別に作る要求だけでも、売り場とか給食で難儀するのに、これから法律を作る時に多数派となるであろう彼らが、我々を今日の人権の目線で守ろうとしてくれるなんて、どうやって想像出来るでしょう。
エミリーはこう言います。
「大体ですね、LGBTと言うのは脳の器質に基づく先天的な性質だと、最近でもよりわかるようになって来ているでしょう。昔ならホルモンシャワー説なんかの眉唾な説もありましたが、あながちそう言ったホルモンバランスも影響していないとも限りませんし。それにいつだったか、ざっと検索をかけると女性にはストレートはいない、なんてとんでもない学説まで、統計的に計測してそうだったと発表している物もあるんですからね。まぁ、これも信憑性が弱い話だと注釈を入れなければいけませんが。それに後天的な場合もあると言っても、矯正させる人権無視の治療は前世紀に不可能だった事が判明しているんですから」
こう来て、しかし今でもダーウィニズムを嘘っぱちだ、創造説が正しいんだ、聖書に書かれているからだ、と標榜する秋の母親みたいな人も未だにいるのですから、こう言う科学と逆行する敬虔な態度はかなり危険ですが、広がりを見せていますし、相当根深い問題ではないかと思うのです。偽科学に嵌まる人も危ういですが、それ以上に旧来の更新されていない古い概念で、いつまでも世界を理解していると言うのは、最も恐ろしい状況です。
例えるならば、アインシュタインの相対性理論が既にある世の中で、いつまでもニュートン力学の時空観を引きずっている様なものでしょうか。
絶対時間なんて幻想で、時間は相対的な物であり、絶えず変わらず存在するのは光速度だけで、加速度と質量の関係や、これはニュートン力学でも説明出来ますが、重力ですと質量の重い物体が重い為に引力に引かれる現象が起こり、だからこそ事象の地平面を越えて、ブラックホールに吸い込まれれば、重力の重みにバラバラにされてしまうのだし、重力が強い星では時間の進みも遅いのですし、エントロピーの法則によって、宇宙は膨張すればするほど段々と冷えていくのでしょう。
果たして神がそれほど重要なのでしょうか。普通に生活する時に、そんなにそこに神経を持って行かなくても、周りの人間には感謝こそすれ、科学技術の恩恵を受けていながら、逆行する様な思想に染まっていいものかと疑問です。
勿論、神学の中には、人間の叡智による開発も神の叡智の表れだから、全ての事象は神の意志であり顕現だ、としても構わないとも思うものはありますが、こう言った考え方は科学的な意味での汎神論思想に近い形態を取っていると思われて、だってそれは宇宙の法則や宇宙自体が神であると言ったアインシュタインや西田幾多郎を想起させられるじゃないですか。
それだからこそ、普遍的な真理があると信じていたアインシュタインは、現代の観点からは少し時代遅れに見える様な、神はサイコロを振らないなる言葉を残したのだと思います。
あれは、科学の法則性を信じているからこそ、不確かな重ね合わせや確率分布などを否定したかったんでしょうし。
しかし不確定性原理のように、位置と運動量は同時に測定出来ないなんて言う話もあると思うのですが、アインシュタインはこれを人間が測定出来ないだけで必ず決まっているんだと考えていた風なのですね。
そうなると光量子説でも何でもいいですが、原理的な信仰者は何をこれについて考えているのかと不思議で仕方がないのです。神が唯一絶対な生きる土地として地球を設定したとする、某神学者であるファンタジー小説家は、未だにもしかして地動説を採ったりするなんて阿呆な考えでもないですよね。
それなら、もっと宇宙観から敷衍して、世界像を更新して科学に準じて、様々な新しい価値観を認めるべきだと思うのです。もう唯一の古典的な物理運動ではないのですから。
エミリーには、わたしと言う不安定な病人がいても尚、不合理なものを信じる人間の気持ちがわからないようです。これをわたしは記号的に物事を解釈して、受容する人間のあり方がそんな考えを引き起こすのではないかなと思ったりもします。
何故なら、神と言う概念を、一つの絶対的な必要条件であり十分条件でもある、決定的な記号と見做す事によって、ここから広げていく信仰者の思想が生まれて、その価値観でのみ思考をするから、それに合致しない存在を偽の有り様だと見てしまうのではないかなと、多生盲信する人を数学的な命題のように考えてみるのも一教科と思ったりもするのです。
だからこそそこに神秘を見つけてしまう、わたしの中にもある迷信への恐怖を打ち払わなければいけないと、わたしは固く思っていますし、同性愛者を認めない宗教があるからこそ、宗教とは対立していく事になるのです。
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