第11ー3話クラスのパワーバランス、秋の反応
何日か経過して、学校に同じように秋と登校して教室に行くと、何やら声が聞こえて来ます。
どうやらわたしの事を悪く言っていたグループの子らしいです。また同じクラスなのは、ちょっと嫌だなぁと思っていた所でした。
「だからさぁ、野分ちゃん、今度は保健委員にならずに済んで良かったよ。あいつ、ちょっと調子に乗ってるって言うか、有頂天になってるんじゃない。あの王子様のお気に入りだからってさ、大体あのハーフの女何よ。ちょっと顔が良くて運動も出来て成績がいいからって。それに二夜のやつもむかつくんだよね、何だか休んでも勉強は出来るからって、お高く留まってるじゃない。大体、邪魔なのよね、あいつがちょっと面倒事起こすと、皆配慮しなきゃって空気になるしさ」
延々わたしの悪口を言っている彼女、借りにCさんとしましょうか。もしかしたら、以前言われていたBさんかもしれませんが、あんまり嫌な人は記憶しないようにしているので定かではありません。
と言うか、悪口の度合いもエスカレートしてますね。それに秋の事を悪く言うのだけは、幾ら何でも許せません。
わたしならどう言われても、これまでもそうでしたし、周りのお荷物なのは変わらないと言う自覚はありますが、秋は何も悪く言われる事はないはずでしょう。
わたしはしかし、何も言い返せずに教室に入って黙っていると、すかさず秋がCさん達の方に向かって文句を言います。こんな時は頼もしいですが、あまり恨みを買われる様な事はしないでいて貰いたいのですが。
「ちょっと、今耳に入ったんだけど、幾ら何でも無茶苦茶によく知りもせずに言い過ぎじゃない。野分ちゃんの事だって、どんな子なのかわかってないよ、あなた達。だから、私なら負担でもないからって保健委員に私がなったでしょ。それで僻みなんて格好悪いよ。月夜の体が弱いのは月夜のせいじゃないし、それでフォローして貰うのも当たり前に享受出来なくちゃいけないんだから。それに調子に乗ってるって何。月夜は、自分が周りにして貰う事を極端に嫌がるくらい自虐的に考えてるくらいなのに、どうしてそんな解釈が出来るのかな。それに私が月夜と仲良くしてる事は、それと別問題じゃないの」
そうわたしの事を言ってくれた秋に対して、あからさまにCさんはムッとしたようで、
「何よ。むかつくからむかつくって言ってんの。あんた達、悪目立ちするんだよ。それで贔屓されちゃってさ。野分ちゃんだっていい気なんてしないよ。あんた達こそ、皆の事考えていてくれる野分ちゃんをどう理解してるって。ちょっと出来るからって、調子に乗ってたら痛い目見るよ」
なんて突っかかって来るのです。
もう何を言っても無駄だし、大人しくして無視してれば、そんなにあれこれする度胸もこんなまともな学校に通ってる子が出来る訳もないので、わたしはお望み通りツンとして秋に声をかけます。
「もういいわよ、秋。そんな奴らに何言っても無駄なのは、経験上知ってるから。逆上させるだけこっちが損するから、関わらないように、離れてましょ」
ちょっと何か文句を言いたそうな秋。Cさんも眉間をピクリとさせて、今にも怒り出しそうです。
そりゃあそうでしょうけど、ねちねち絡んで来る手合いの方が危ないですし、これ以上刺激したら本当にその時の反応次第で、いじめに発展しかねません。
これからは、この子達ともとりあえずの交流をしている野分ちゃんとの関係性に気をつけながら、刺激しないように違う世界で生きればいいだけです。
秋の言うように、保健委員に秋がなってくれたのですから、わたしは野分ちゃんには迷惑はかけずに済むのですから。ああでもわたしの言葉も、充分Cさんを刺激しているかもしれませんかね。
わたしは内心、自分の体の事がなくて、秋と同じように健康で素直な性格なら、あんな子達と揉める事もなく、平穏に暮らせていたのになと自己嫌悪に陥っていました。
もちろん、助けてくれる人には感謝しても仕切れないと言うくらいの気持ちがあります。
わたしは、自分が助けて貰う時に、それを当然の権利だとだけ言い張るのは嫌なのです。やはり人間の善意でしてくれる事もあるでしょうから、こちらも感謝の気持ちを忘れずにいたいのですね。
しかし秋はモヤモヤが晴れないようで、
「何なの、あの子ら。絶対おかしいよ、月夜が気に病む事ないんだからね」
なんて強気でプンスコしています。その秋にわたしは達観している様な調子で、
「まぁ、あんな子らはどこにもいるわよ。悪意をぶつけて来る人もいるし、自らの悪意を自覚しないで攻撃して来たりもするし。そんなの慣れっこだから、いちいち腹を立ててたら、精神が持たないし」
そうは言ってもわたしは、ああ言う言葉を聞くと動揺して何だか気分が悪くなって来るのは否定出来ません。
気分が悪くなると言うのは、心情の事ではなくて、本当にしんどくなってしまうと言う意味です。
「でも月夜も嫌でしょう、ああ言う事耳に入ったら。まぁ陰口を聞こえない所でやれって訳じゃないけど、どうもあの手の子らは好きになれないなぁ」
「うん、好きになる必要ないしね。無視よ無視。関わってたら、精神衛生に悪すぎるし、こっちが心臓に悪くて倒れちゃうわよ」
そう言う事でその場は、それで収まりました。それからがまた秋に取って、カルチャーショックだった為か、大変だったのですが。
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