第9-6話冬の月夜さんのスキンシップと学校生活

 初詣には秋と二人で行きました。

 四人で行っても良かったのですけど、秋が楓ちゃんと淡雪さんは二人で行かせてあげようと言ったので、それに従いました。もちろん、おせちは一緒に皆で食べましたよ。


 とにかく寒すぎるのが耐えられないので、暖房を入れながら寝たりしていて、秋はわたしの寒がりっぷりに呆れていたようです。それでも文句は言わないでいてくれるのだから、ありがたいのですよ。

 段々、付き合ってるカップルの関係として、かなり良好なものになっていってるのではないでしょうか。わたしもそんなに発情しっぱなしではありませんし。


 そうして、新学期が始まって、それでもわたしは周囲に示す為に、ラブラブっぷりのアピールに腕を組んだりして、教室の前で別れるまでそうやっていました。

 そうすると、秋のファンの女の子(もしかしたら男の子もいたかもしれませんが)に何だか睨まれてる様な気がして、わたしは周囲の視線が痛いと溢す野分ちゃんにちょっと罪悪感を抱きながら、遠巻きに様子を伺ってるギャラリーを意識して、秋が食べている隙を見て、ご飯粒ついてるよと取ってパクッとやる行為から、ほっぺにキスの連続技を仕掛けました。

 秋はちょっと恥ずかしそうにしてますが、抵抗する素振りは見せません。わたし、受け入れられてます。

 多分、わたしのマッチポンプ的な行動にも慣れて来たのではないかと推測しています。


 それを見た一人の女子がこっちに来て、


「秋様! この女は秋様の何ですか。もっとファンの事も考えて下さいませんと」


 なんて厚かましい事言うもんだから、わたしはムッとなって何か言い返してやろうと思っていたら、秋に手で制されて、秋の言葉を聞く事になります。


「ごめんね。私達、付き合ってるんだ。変に思うかもしれないけどね。月夜は一番大切な人だから、あまりとやかく言わないで、温かく見守って欲しいな」


 更に追い打ちを掛けるように、秋はその女子にもニコッと微笑むので、ショックを受けた、いや受けすぎているくらいに言った方がいいかもしれませんが、とにかくそうして打ちひしがれた様子で戻っていきました。

 野分ちゃんが、うわー秋ちゃんバッサリいくねー、なんて呑気に言ってますが、秋は全然その立場も相手への衝撃もわかっていないようです。

 まぁ、彼女は天然たらしですから、仕方がないですね。残酷ではありますが。


 しかしそう考えると、わたしは秋に偶々目を付けられた訳で、恵まれてるなと思いますが、わたしの個性がかなり強烈だったとかでしょうか。

 とにかくわたしを見てビビッと来たみたいに言ってましたが、わたしの変な悲観的な所が受けたようですし、秋の趣味もよくわかりません。


 そんな風にして調子に乗って、秋にはいあーんとかまでやったりしていると、何か飲み物を買って職員室に戻るだろう桐先生がやって来て、


「何だ、お前ら。本当にイチャこらやってんな。周りもこれじゃ目に毒だろうな。それにヘルプストナハト、お前かなり人気あるんだから、取り巻きがヘコむ様な真似はそんなにするなよ。うん、何だ稲妻。何? もう遅いか。ふーむ、まぁ私はちゃんと学生生活に支障がない範囲なら、好きにやってくれていいから、特に言う事はないが。しかし、でっかいのとちんまいのが並んでると、ナイトとお姫様みたいに見えて来るな。はは、稲妻はよく付き合うよ。お前ら、友達もちゃんと大事にしろよ」


 嵐のようにやって来て、言いたい事だけパパッと言って、即行で去って行きました。本当に通りがかっただけなんでしょう。

 野分ちゃんは面白そうにクスクス笑っていましたが、秋は周りにどう見られてるか、ちょっと自覚したみたいで、少しばかりショックが大きかったと見えますが、わたしは気にしないようにしていましたので、黙っているばかりです。



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